242.エピローグクエストに向けて③
NAME「フローラ」
種族「フォレストワスプ・アサルト ♀」LV40 種族特性「飛行」「昼行性」NEW「怪力」
スキル
「牙術LV5」2UP 「運搬LV2」「棒術LV1」 「水魔法LV1」「危険察知LV1」 NEW「突撃LV4」 NEW「収穫LV1」 NEW「迷彩LV2」 NEW「疾走 LV3」
NAME「マリア」
種族「フォレストワスプ・ウィザード ♀」LV40 種族特性「飛行」「昼行性」「器用貧乏」
スキル
「牙術LV2」「運搬LV2」「風魔法LV7」4UP 「魔力上昇 LV3」2UP NEW「火魔法LV2」 NEW「看破LV1」 NEW「見通しLV2」 NEW「不動心LV1」
フローラの進化先は「突撃」スキルを獲得した事で発生した進化先と思われる。
ここまで来ると方向性が決まってくるためか、種族特性の「器用貧乏」がなくなった。
代わりに獲得したのがエラゼムも持っている「怪力」だ。
自動で割り振られるSPが筋力振られやすくなり、筋力の値に補正も付く。
これでほとんどのSPが筋力と俊敏力に割り振れるようになるので、大分理想的なステータスになるのではないかと思う。
高速で空中を飛び回り、隙を狙って高威力の近接攻撃を行う突撃兵。
よほど面白い進化先がない限りこの路線で成長させていきたい。
続いてマリアであるがこちらは順当な進化先を選んだ。
正当進化を選んだためか、マリアの方は「器用貧乏」を失ってはいない。
いくつか気になる進化先はあったものの、MPか魔法力が上がりにくい種族ばかりだったので今回は見送った。
2匹ともレベル40になったので、さすがにアールヴ皇国近辺のモンスターでレベル上げをするのは厳しくなってきている。
レベル40あればギリギリ知識の国周辺のモンスターに対応できるはずなので、そちらでレベル上げの続きをしようと思う。
そして、今回2匹のレベル上げに付き合ってもらったメリーであるが、一番面白い進化をした。
NAME「メリー」 ウイングの従魔
種族「ハウスドール」LV43 種族特性「魔法生物」 NEW「装備品」 NEW「浮遊」 NEW「ドールハウス」
スキル
「呪術 LV3」2UP 「念動力 LV8」3UP 「闇魔法 LV5」4UP 「読書 LV1」
「掃除LV5」 「指揮LV2」 「空間魔法LV4」1UP NEW「不動心LV1」 NEW「MP回復速度上昇LV2」
カースドール系統は進化によって「装備品」の種族特性を得る事は知っていた。
霊障モンスターの場合は呪いの人形よろしくテイマーの足などに張り付くようになり、よりおどろおどろしい姿になるらしい。
メリーのような「魔法生物」の種族特性を持っているカースドールは、肩に乗せるかベルトに括り付ける、もしくは手で持つ形で装備扱いとなる。
メリーが進化したハウスドールという種族は手で持つか、肩に乗せる形で装備することができるようだ。
耐久力、俊敏力のステータスが1になり、HP、筋力も10まで落ちた。
その代わりMP、魔法力が大幅に向上している。
この辺りはグリモに近いステータスになっただけなのだが、メリーの真価はそこではない。
新特性「ドールハウス」にある。
進化と同時にメリーがその手に持っていた物。
一見鳥かごと見紛うそれは正面が観音開きになっており、アイアンメイデンのように開閉できる。
これが種族特性の「ドールハウス」の本体と言えるものなのだが、その効果が素晴らしい。
現実世界のドールハウスは人形のための家の事を言うのだが、種族特性の「ハウスドール」はそれを拡大解釈した効果を持っている。
メリーにお願いし、ドールハウスを床に置いてもらう。
するとドールハウスはみるみる大きくなり、俺の頭を少し超えたあたりで止まる。
拡大したドールハウスの扉を開けると、中には俺のマイルームが広がっていた。
……今、俺たちのいる部屋である。
俺は黙ってメリーの方を見た。
メリーは表情を変えないまま、俺を見つめている。
「参考になる部屋がこれしかなかったって」
どのように感じ取ったのか分からないが、メリーの気持ちをグリモが代弁した。
ドールハウスの中はカレルの体内空間よろしく、見た目以上のスペースがある。
内装はハウスドールが誕生した場所に依存するらしいが、この誕生した場所というのはカースドールの時に誕生した場所が基本だったはずだ。
「従魔になる前の事は覚えてないって」
グリモを介した確認の結果、従魔になるまで自我がないダンジョンのモンスターはテイムして最初に訪れた部屋が参照されるらしい。
この辺りは俺が参考にした資料にはなかった。
フォローオラズで強引に誕生させたためか、例外的な結果が起こったのかもしれない。
暇なときにテイマーギルドに確認しよう。
もしかしたら、情報料をもらえるかもしれない。
ちなみに先ほどまでのドールハウスは、あくまで素の状態の話である。
メリーに装備品として別のドールハウスを持たせた場合、そのドールハウスを新たに種族特性「ドールハウス」の対象にできるそうだ。
それはさておき、このドールハウスには面白い仕様がある。
このドールハウス内の空間には、道具や荷物を入れることはできない。
では何が入るかと言えば、その名の通り人形である。
厳密には、カースドールやウッドドールのような人形系のモンスターを中で待機させることができるらしい。
この待機しているモンスターはドールハウスの中にいる限りパーティーメンバーにカウントされないという。
なので、複数の人形系モンスターをテイムしておけば、現地で入れ替えながら戦闘を行えるのだ。
入れ替える一瞬だけパーティー枠を超過するかもしれないが、すぐにドールハウスに入ってもらえばペナルティはない。
種族以外にも様々な制限はあるものの、これを利用すれば疑似的に大量の従魔を引き連れる事が可能なのだ。
正直メリーをレイド戦のメンバーに入れてもいいのではないかと思う程のスペックをしている。
ウッドドールを大量にテイムして様々な進化をさせておいて、メリーのドールハウスに待機させ、状況に応じて交代してもらえば相当な対応力と継戦能力が見込めるだろう。
魅力的な案ではあるが、レイド戦までに数を揃えて戦力になるまで鍛えるのは難しい。
ここからウッドドール等を大量にテイムして、それぞれの進化先を厳選していく作業には途方もない時間が必要になるだろう。
そもそもこの戦法は状況に応じて従魔を選択し、戦術を考えなければならない。
様々なドール系モンスターを育てつつ、俺の特訓も必要になるだろう。
とても予定している日程には間に合わない。
ただ、せっかくの面白い特性なので、いつか活用できるようにはしたいと思っている。
現在アールヴ皇国の館は最低人員で回しているので、館の管理要員兼戦闘要員の人形系モンスターを探してみるのもいいかもしれない。
何はともあれメリーをレベル上げに付き合わせるのはここまでだ。
本人も特に名残惜しい等は思わないようで、あっさり館の管理へと戻っていった。
今回、MPと魔法力が大分増えているので、館の管理は相当楽になるだろう。
俺はメリー達館のメンバーに見送られながら、ノーレッジへと転移するのだった。




