190.修行②
今回、新入りの従魔達を育成するにあたって、魔石晶従魔術を使い、全員に人族の種族特性である「器用貧乏」を装着している。
最低でも2次進化までは育成するつもりなので、そこまでに多くのスキルを覚える事が出来れば進化先が広がる可能性があるからだ。
俺はハーメルに周囲の警戒を指示しつつ、手ごろなモンスターを探す。
フェンリルジュニア達は基礎戦闘力が高いとはいえ、戦闘自体は初めてのはずだ。
極力こちらに有利な状況で戦わせたい。
≪従魔ベルジュがレベルアップしました。≫
≪従魔シラノがレベルアップしました。≫
≪従魔ベルジュがレベルアップしました。≫
≪熟練度が一定に達したため、スキル「指揮」がレベルアップしました。≫
≪熟練度が一定に達したため、スキル「魔力上昇」がレベルアップしました。≫
≪従魔ベルジュの練度が一定に達したため、スキル「爪術」がレベルアップしました。≫
≪従魔ジェイミーがレベルアップしました。≫
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子フェンリル達は泥濘を苦にしないようなので、中ボスがいる沼地を目指しながら川沿いでの
戦闘を繰り返す。
戦闘スタイルは、それぞれの性格やステータスの特徴が良く表れていた。
シラノは身体能力が高く、勝気な性格も合わさり近接戦闘を好む。逆に、ベルジュは後方から魔法による攻撃と支援を得意としている。
この2匹は神獣としての高いステータスもあり、戦闘要員として高いポテンシャルを秘めているのは間違いない。
一応神獣の2匹より先輩であるジェイミーは、川の中を泳ぎながら水魔法や治癒魔法で支援の練習をしている。
どうも渓流での泳ぎは不慣れである様で、カレルの様に即戦闘に参加させるのが難しかった。
ウィンタークエストで泳いでいたはずなんだが……。慣れていないからこそ帰れなくなったのか。
ただ、本人的には珍しい場所で泳ぐ事が楽しいようで、嬉々として練習に取り組んでいる。
「キュキュー!」
「もう大丈夫だって(/・ω・)/」
中ボスエリアの直前でジェイミーが渓流に慣れたらしく、戦闘への参加表明が来た。
俺は中ボスエリアに入らず、来た道を引き返しながらジェイミーが参加した状態で戦闘してみる。
≪従魔ベルジュがレベルアップしました。≫
≪従魔ジェイミーがレベルアップしました。≫
≪従魔ジェイミーの練度が一定に達したため、スキル「水魔法」がレベルアップしました。≫
≪従魔シラノがレベルアップしました。≫
≪従魔エラゼムの練度が一定に達したため、スキル「刀術」がレベルアップしました。≫
≪従魔ジェイミーがレベルアップしました。≫
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今度は戦闘を繰り返しながら、ダンジョンの入り口まで引き返す。
ジェイミーが参戦した事で、牽制と回復の手数が増えた。それだけで行きよりもスムーズに進む事が出来ている。
ただ他の従魔達の時と比べて、シラノとベルジュのレベルアップがとても遅い。
初期ステータスが高い従魔はレベルアップに必要な経験値が多い事は知っていたが、それにしても予想を超えている。
元々はDランクダンジョンを周回してジェイミーとシラノ、ベルジュを2次進化まで育成するつもりだったが予定を変更しなければいけないかもしれない。
幸いステータスにマイナス補正がかかっていても、Dランクダンジョンである程度戦えている。
1次進化を遂げて「幼獣」の特性が消えれば、直ぐにCランクダンジョンに挑戦できるだろう。
ジェイミーはシラノとベルジュのレベル上げに付き合っていれば、自然とレベルアップしていくはずだ。
≪従魔ベルジュがレベルアップしました。≫
≪従魔シラノがレベルアップしました。≫
≪従魔シラノの練度が一定に達したため、スキル「気配察知」がレベルアップしました。≫
≪オラズ・テイマーのレベルが上がりました。≫
≪従魔ジェイミーがレベルアップしました。≫
≪熟練度が一定に達したため、スキル「付与魔法」がレベルアップしました。≫
≪従魔ジェイミーの習得度が一定に達したため、スキル「気配察知」を習得しました。≫
≪従魔ジェイミーがレベルアップしました。≫
≪従魔ジェイミーのレベルが一定に達しました。種族進化ができます。≫
≪従魔ベルジュの練度が一定に達したため、スキル「水魔法」がレベルアップしました。≫
≪従魔シラノの習得度が一定に達したため、スキル「歩行術」を習得しました。≫
ジェイミーが進化可能となったところで、一度レベル上げを切り上げる。
以前ならその場で進化先を確認していたが、オラズ・テイマーの職業スキルである魔石晶従魔術を活用したいと思う。
フォローオラズを付け替える事で、様々なスキルを付与すれば進化先の幅が大きく広がるはずだ。
本当ならエラゼム達の2次進化でもやりたかったが、あの時は無一文だったので相応のフォローオラズを用意できなかったし、ウィンターイベントもあった。
いつフォローオラズが用意できるかも分からなかったのですぐに進化させてしまったが、今回はそれなりに余裕がある。いろいろ試して進化先を決めたい。
マイルームへ戻った俺は、ジェイミーに装着するフォローオラズを選ぶ。
アールヴ皇国からイニシリー王国に戻る馬車の中で、月光石を始めとする鉱石にエンチャントをして、コツコツとフォローオラズを増やしたのだ。
月光石については、アールヴ皇国にいた時にアートに研磨してもらっている。
アート曰く特別に加工しないのならば、表面を均すだけで十分らしく格安で研磨してもらった。
進化の分岐を増やすため、数十ものフォローオラズを用意している。とはいっても、フォローオラズの着脱はかなりのMPを消費してしまう。
1回のログインでは試行回数が限られるので、数日に分けてテストする事になる。
今回は戦闘でMPを消費していたこともあり、1つだけ試してみる事にした。
フォローオラズ 中 (ムーンストーン※月光石)(アンティークカット)
エンチャント ・・・精霊魔法・光LV1
※他プレイヤーに譲渡不可
月光石を手に入れた時、一度は試したいと思っていた。
精霊石の一種である月光石に精霊魔法をエンチャントし、進化可能な従魔に装着する事でカーバンクルに進化するのではないかと考えたのだ。
ただ、師匠を始めとする住人(NPC)のオラズ・テイマーがこれを試していなかったとは考えにくい。
最上はカーバンクル系の進化先が出てくる事だが、何か面白い進化先が出れば御の字だろう。
「ジェイミー。準備はいいか?」
「キュー!」
俺は魔石晶従魔術のコネクトを発動して、ジェイミーにフォローオラズを取り付ける。
ジェイミーの額に輝くムーンストーンを確認した俺は、進化先を確認するべくジェイミーのステータス画面を開く。
≪条件を満たしたことにより、職業エピローグの条件及び報酬を開示します。
エピローグクエストの内容はログより閲覧する事が出来ます。≫
≪ログにエピローグの項目が追加されました。≫




