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188.リザルト

 俺は住人達から笑顔で迎えられるアルフの背中を見送る。

 直後、視界は暗転し石造りの地下室に戻ってきていた。


≪所持している選択の栞をこの本の最後に挟んでください≫という指示に従い、選択の栞を白紙のページに挟む。

 「記録しました」というアナウンスが流れる。前回はここで終わったが、今回はそこから変化があった。

 何と、最後のページに文字が浮かび上がったのだ。


 アルフは旅の目的を果たす事が出来なかったかもしれない。

 しかし、あの頃の無力な少年はどこにもいなかった。

 修業して磨いた剣技、信頼できる仲間達と共に力なき者達を救う事が出来たのだ。


 これがあなたの選択が紡いだ物語。

 願いを果たす事は出来なかったけど、大切なものを見つけた物語。    ”


ーーーーーーーー



 馬車に揺られながら、アイテムボックスにしまってある栞を取り出す。

 栞の端の方に“急”という文字が追加されている以外には見た目の変化はない。


 自分で選択したとはいえ、真相を解明できなかった事でしこりの残る結果となってしまった。

 あるであろう裏で動いていた陰謀についてもう少し知りたいところだ。


 そこで気になるのは残りの2冊である。

 “読む人で内容が変わる本”の調査報告書には、知識の国にある本は最後に読むようにとあった。

 おそらく、“序破急”を完成させた栞を知識の国にある本に挟む事で、このチェーンクエストは完了となるはずだ。

 しかし、その前に4冊目の“読む人で内容が変わる本”を手に取る事で何か変化、有益な事が起こるのではないかと思っている。

 予想としては一度だけ選択のやり直しができるか、他者視点で物語を見ることが出来るといったところだろうか。


「くーん」

「クーン」


 物思いにふける俺を心配してか、シラノとベルジュが俺の脛辺りに頭を擦り付ける。

 今回従魔の数がパーティー上限を超えてしまったので、体躯の大きいエラゼムとカレルにはマイエリアで待機してもらった。

 俺は2匹の頭を撫でながらステータスを確認する。



NAME「シラノ」   ウイングの従魔

種族「フェンリルジュニア ♀」LV8 種族特性「夜行性」「月」「幼獣」

HP 350(-100)

MP 250(-100)


筋力 41(-10)

耐久力 35(-10)

俊敏力 37(-10)

知力 29(-10)

魔法力 30(-10)


 スキル

「光魔法LV1」「爪術LV3」「疾走LV3」「気配察知LV1」



NAME「ベルジュ」   ウイングの従魔 

種族「フェンリルジュニア ♂」LV5 種族特性「夜行性」「月」「幼獣」

 HP 200(-100)

 MP 400(-100)


筋力 27(-10)

耐久力 27(-10)

俊敏力 29(-10)

知力 30(-10)

魔法力 44(-10)


 スキル

「精霊魔法・光LV3」「爪術LV1」「光魔法LV1」「水魔法LV1」



 子供とはいえ、神獣と言われるだけあってステータスは高い。

 まぁ、ものすごくマイナス補正が付いているのだが……。

 このマイナス補正は子フェンリル達の種族特性に由来する。


 彼らの種族特性に「幼獣」というものがある。

 これはフェンリル等の神獣や怪物クラスのモンスターが生まれたての時に持っている特性だ。

 この類の特性を持つモンスターは、ベビーやジュニアといった名前が付いている事が多いという。


 普通のモンスターは状態が「幼体」となり時間経過で解除される。

 しかし、種族特性として発現している場合はちがう。

 最低1回は進化ないし進化できるレベルまで上げる事で解除できる。

 まぁ、解除前でもテイム当初のハーメル達より強いのだが……。


 この特性については、オラズ・テイマーに転職した時に注意を受けている。

 間違っても他の従魔にこの特性を付与してはいけないそうだ。

 受け入れられずリスポーンする事は勿論、好感度は最低になり契約が解除されるという。

 どうも従魔から見て、この特性を付与される事は屈辱的に感じるようだ。


 その他の特性は、フェンリルの生態に順守したものとなっている。

 ヌエも持っている「夜行性」は置いておくとして、特質すべきは「月」の方だろう。

 これは月光を浴びている間、随時HPとMPが回復し続けるという破格の能力を持っている。

 回復量は月光の強さに依存する。

 フェアラスさんの話ではアールヴヘイムで大ケガした時は、ひと眠り月光を浴び続ければ全快したとか。

 こちらではあまり活かせないかもしれないが、強敵に挑むタイミングを考える時に考慮したい。


「キュー!」


 ジェイミーが何かを訴えかけてきた。

 俺は何かに気づいて、手元の方に視線を向ける。

 2匹の子フェンリルはいつの間にか俺の足元で丸くなり寝息を立てていた。


「……静かにな」

「……キュー」


 俺はアイテムボックスからアールヴ皇国で手に入れた書籍を取りだす。

 今回アールヴ皇国で手に入れた本は五百を超える。

 特にアールヴヘイムからの報酬としてもらった本は、俺のアイテムボックスに入りきらないほどもらってきた。


 どうしてここまでして本を集めたかと言えば、移動時間の問題だったからだ。

 毎度目的地まで移動するのに、馬車を利用している。

 馬車の中では読書か従魔と戯れる事で時間を潰しているわけだが、毎回移動中に持っている本を読み切ってしまうのだ。


 特に次回の旅では、いよいよ知識の国を目指す予定だ。この旅は今までにない程長期間に及ぶ事が予想されている。

 知識の国へ続くルートは辿り着くまでの環境が厳しく、危険な書籍を保管している大きな図書館が無い。

 一般的な本は知識の国に行けば読めるので、本当に補給の為だけに立ち寄る事になるだろう。


 俺は手に取った本をアーツ『復元』を使って修復した。

 何時ぞやの如く、ログインしてから最初に行う事が最近の日課となっている。

 最近は最大魔力量も増えて、一回『復元』を使ってから回復するまでにかなり時間がかかるようになった。

 しかし、苦労したおかげか『MP回復速度上昇』というMPの自然回復が早くなるスキルを習得できた。

 補正としては微々たるものだが、有ると無いとでは歴然とした差が出てくる。

 流石にログイン中にMPが全快することは無いが、魔石晶従魔術でフォローオラズを作れるほどのMPを回復できるようになった。 


 MPの確認をしている時、ふと称号の欄が目に入る。

 ワールドクエストに参加したおかげか、一気に3つも称号が追加された。


 「アールヴ皇国特別文官」は、アールヴ皇国の皇宮に出入りする許可だけでなく、皇国が管理する文献の閲覧許可が下りる。

 それだけでなく、エルフ・アールヴ皇国住人の好感度が上がりやすくなる。

 上位職「国定司書」に転職する事が可能になるらしいが、転職の条件として定期的にアールヴ皇国から仕事を依頼されるようになるそうだ。

 報酬や待遇はとても良いそうだが、行動に制限がかかる可能性が高いので転職するつもりは無い。


 「神獣を従える者 (フェンリル)」は狼・犬系のモンスター・住人との初対面時、好感度が少し高くなるようだ。

 上位職である「神獣使い」に転職できるそうだがテイマーは既に上位職であるうえ、いかにもテイムできるモンスターに制限がかかりそうなので、こちらも転職の予定は無い。


 「異世界渡航者」は名誉称号らしく、あまり付属する効果は無い。ただ、職業が運搬者だと上位職に転職できるという。

 結構重要そうな称号に見えるが、前述の2つ程の効果が無い。

 意外と取りやすいのか、プレイヤーの使命的にあまり優遇した効果を付与しなかったのか……。


 今回意図せずワールドクエストに参加したわけだが、苦労した分実りも多かった。

 司書のレベルもだいぶ上がったので、今後の戦闘は楽になるはずだ。

 俺はステータス画面を閉じ、先程修復した本を読み始める。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 静かに返事するジェイミー可愛いです(ノ≧ヮ≦)ノ [一言] 称号「古代語の翻訳家」でなれる上位職「考古学者」が忘れられてる気配……なる・ならないはともかく。 辞典の完成で獲得したから、リザ…
[一言] 本が五百以上って大分貰いましたね 国家の危機を救うのに貢献したし、これくらいは出しますか
[一言] 更新待ってました! 精霊魔法光ってなんだろう...私が忘れているだけ? 好きな作品だし最初から読み直すのも手か...
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