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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
7.エルフの皇国
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160.謝罪

カレルが街道を通れないはずなのに、司書ギルドまで来ているので修正しました。2020/2/9

 ログインした俺は再び司書ギルドに向かっていた。

 今回はカレル以外のメンバーを連れての訪問となる。

 本当は全員を紹介したいところだが、最も図体が大きくなったカレルでは中へ入れないので、再びお留守番となった。

 俺が司書ギルドの前までやってくると、ちょうど図書館の見回りを終えてきたと思わしきニーベルさんとでくわした。


「あっ、ニーベルさん。お疲れ様です」


 俺が声をかけると、ニーベルさんは眠たげに目をこすりながらこちらに視線を向ける。


「え? えっ、ど、どうしたんですか。て、テイマーとは伺っていましたが……。はっ!

も、もしやもう犯人の居場所を掴んで今からカチコミにでも行くのですか?」

「え?」


 俺は最初、ニーベルさんが何を言っているか理解できなかった。

 

「俺は自分の従魔を紹介しておこうと思って連れて来ただけですよ? 今後、司書ギルドの職員たちと協力して事に当たる事もあるかもしれませんので……」

「あっ…………。す、すいません。ウイングさんがフル装備なうえに従魔達を引きつれていたので、てっきり犯人を特定して襲撃に行く前に報告しに来たのかと思いました」


 ニーベルさんにそう言われて自分たちの格好を確認する。

 俺はと言えば黒い司書服の上から黒い魔鉄鋼の鎧をフル装備しており、モフモフの白い本を携え、背中にはアザラシが顔を覗かせるリュックを背負っている。

 ……なんかこう言葉にしてみると異様な格好をしているな。

司書服、鎧、ローブまでは許容範囲内として、白熊装備のグリモとジェイミーの入ったリュックが異彩を放っている。

 今度ミーシャたちに装備を作ってもらう時に、その辺りを相談してみるか。


 それはさておき、俺がフル装備に身を包んでいることに加え、確認できるだけでも4匹の従魔を連れている。

 確かに何処かへ戦いに向かうように見えなくもない。


「流石にこれほど早く見つけるなんてできませんよ。もし、俺でも簡単に発見できる犯人だったなら、司書ギルドの方たちが放火される前に取り押さえられたはずですし」

「そ、そうかもしれませんね」

「それでですね。コペルさんを呼んできていただいてもいいですか? 見ての通り、俺の従魔には体躯の大きなものもいるので」

「わ、わかりました」


 司書ギルドに入っていくニーベルさんの背中を見送って、しばらく待っているとニーベルさんを引き連れたコペルさんが出てきた。


「おー、先程ぶりだな。ニーベルから聞いたが、従魔達の紹介をしたいとか……。すると、君の後ろにいる子達がそうかな?」

「そうですね。ただ、体が大きくてここまで連れてこれなかった奴もいますが……。それと、こいつらもそうです」


 俺はぱっと見で従魔と分かりづらいグリモとフードの中で眠っていたハーメルを紹介する。


「チ……チュウ?」

「 (≧▽≦)」

「大丈夫見えているよ。私の看破スキルは擬態していたり、隠れている物を発見する事にも使えるからね。はは、眠いのならゆっくり寝かせてあげてね」

「あ~、お気遣いありがとうございます」


 俺はハーメルをフードに戻すと、コペルさんに向き直り、順番に従魔の紹介をしていく。

 最後にジェイミーの紹介を終えた俺へコペルさんが問いかける。


「なかなか面白いモンスターをテイムしているようだね。それで今日の用事はこれで終わりかな?」

「いえ、実はいくつか相談をしたいと思っているのですが……、もしこの後予定などがあるのでしたら日を改めますが?」

「相談とは依頼に関わる事なのだろう? 大丈夫、今の司書ギルドは蔵書の整理以外にあまり仕事が無いから都合はいくらでも付けられるよ。……ニーベル! 私たちの話し合いが終わるまで従魔達の面倒を見ていなさい!」

「はっ、はい!」


 急に話を振られたニーベルさんは声を上ずらせながら返事をする。


「あの、別にニーベルさんに見ていただかなくても、そこまで込み入った話し合いをするつもりでは無かったのですが……」

「いや、依頼の件を話すなら建物内の方が良い。君が大した事は無いと思っていても、相手もそうだとは限らん。あー、従魔を他の者に任せたくはないタイプかな?」

「いえ、必要になれば預ける事もありますが……」


 そうして、外で待機することになった従魔達をニーベルさんに預け、コペルさんと共に司書ギルドの1室に通される。


「さて、外の従魔達を待たせるのも可哀そうだ。早速話を……――――」

「その前に謝罪させてください」

「謝罪?」


 俺はイスから立ち上がると、コペルさんに頭を下げる。


「前回、損害は無いという発言に噛みついてしまい申し訳ありませんでした。司書ギルドの長として辛くないわけないのに、言い方が悪いというだけでコペルさんを責めるような事を言ってしまって……」


 俺は前回のログインで最後の質問をした時にコペルさんを責めるような言い方になってしまった事を悔いていた。

 唯でさえ図書館の全焼を受け止め切れてなかったのに、支部長であるコペルさんがなんでもないといった態度をとっていた事が癪に障ったのだ。

 そういった感情が嫌味として出てきてしまった。

 冷静に考えれば、コペルさんがショックを受けてないわけ無いのにだ。

 だから、次に会った時は、真っ先にその事を謝罪しようと思っていた。


「ほほ、そんな事か。頭を上げてくれないか。私は君に感謝こそすれ、怒ってなどいないのだから」

「ですが……」

「いやいや、あの時も言ったが、ここの長たる私が言っていいことでは無かったよ。このような大事に毅然とした態度でいる必要はあっただろうが、そのために本が燃えた事をどうでもいいというような発言は司書ギルドの支部長……いや一員として不適切な発言だよ。それを気づかせてくれた君には感謝している。ありがとう」


 コペルさんはそう言って俺に頭を下げてきた。

 

「いや、そんな。……頭を上げてください。俺は自分の感情のまま言葉をぶつけてしまっただけで……」

「ふむ。 ……ここで言葉を続けても堂々巡りになってしまうか。ならば、今回は両者に非があったという事でこの話は手打ちという事にしておこうか」


 確かにこの話を続けてもお互いの謝罪が続くだけだろう。


「……わかりました。この話はここまでにしましょう。それでは、本題に入っても?」

「ああ、良いぞ」


 まず、コペルさんにお願いしたのは司書ギルドが持っている情報の提供だ。

 本来、依頼を受ける前に聞くべきことだったが、図書館全焼の衝撃から抜け出せていなかった為か、完全に聞き忘れていた。

 いくら忙しかったとしても放火されてから数十日経過していて、何も情報が集まっていないという事はないだろう。


 俺のお願いを聞いたコペルさんは「少し、待っていてくれ」と言い席を立ち、部屋から退出する。

 しばらくして戻ってきたコペルさんの手には、レポートのような紙束が握られていた。

 俺は席に着いたコペルさんに紙束を渡される。


 表紙を確認すると予想通り、放火事件についての情報がまとめられたレポートのようだ。

 俺はコペルさんに許可を取り、内容を確認していく。

 大体30分くらいかけて読み終えた俺はコペルさんに疑問をぶつけた。


「これ、俺にクエストを出す必要ありましたか?」

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