155.目的地に到着
≪従魔ハーメルの練度が一定に達したため、スキル「睡眠」がレベルアップしました。≫
≪従魔ハーメルのスキル「睡眠」のレベルが上限に到達した為、称号「眠りの○○」を獲得しました。≫
≪従魔ヌエの練度が一定に達したため、スキル「不動心」がレベルアップしました。≫
≪従魔ヌエの練度が一定に達したため、スキル「遠見」がレベルアップしました。≫
≪従魔エラゼムの練度が一定に達したため、スキル「不動心」がレベルアップしました。≫
≪従魔カレルの習得度が一定に達したため、スキル「不動心」を習得しました。≫
≪従魔ジェイミーの習得度が一定に達したため、スキル「睡眠」を習得しました。≫
≪従魔ジェイミーの習得度が一定に達したため、スキル「不動心」を習得しました。≫
≪従魔ジェイミーの習得度が一定に達したため、スキル「遠見」を習得しました。≫
≪熟練度が一定に達したため、スキル「読書」がレベルアップしました。≫
≪スキル「読書」のレベルが上限に到達した為、称号「本の虫」を獲得しました。≫
≪熟練度が一定に達したため、スキル「魔物知識」がレベルアップしました。≫
≪習得度が一定に達したため、スキル「魔力上昇」を習得しました。≫
≪習得度が一定に達したため、スキル「不動心」を習得しました。≫
≪司書のレベルが上がりました。≫
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俺が馬車に乗ってから、ゲーム内の時間で二十日程が経過した頃。
ようやく次の目的地が見えて来た。
現実の方では大学入試の準備を進め、ゲーム内では読書とフォローオラズの作成・装着などで時間をつぶす日々もようやく終わりそうだ。
魔物使いの国で集めた本も全て読み終えているので馬車が到着次第、新しい本の購入をしておいた方が良いだろう。
結局ノブナガさん達と連絡を取る事は出来たものの、話の進展は無かった。
俺が馬車の長旅中である事もそうだが、ノブナガさん達も刀鍛冶の知己を作れていないことから、刀の取引についてはもうしばらく先になりそうだ。
取引できるようになったらノブナガさんの方から連絡してくれるとの事なので、刀については気長に待つことにした。
それ以外の時間はずっと馬車の中で待機しているだけの時間が多かったので、時間経過のわりに俺たちの強化は行えていない。
しかし、時間だけは豊富にあったので、全員動かないことで習得・レベルアップするスキルが大幅に強化された。
特に俺の読書スキルとハーメルの睡眠スキルは、レベルがMAXになったことで称号獲得することができた。
スキルは基本レベル上限に達すると、上位スキルが出現する。
ただし、スキルによっては上位スキルの存在しないものもあり、そういったスキルのレベルが上限に達すると称号を獲得できるらしい。
基本、戦闘系および生産系のスキルには上位スキルが用意されているので、称号を獲得できるスキルは補助系であることが多いそうだ。
この辺りの話はイトス達との世間話でチラリと聞いていた。
イトス達によれば、スキル上限に達した時に称号を手に入れられるという話が広まったのは、つい最近の事らしい。
理由は2つ有り、補助スキルより実際に行使する戦闘ないし生産スキルの方がレベル上げをしやすいことが1つ。
もう1つは補助スキルが上がりやすいプレイをしているプレイヤーは総じて特殊なプレイをしている為、称号獲得者はソロプレイヤーが多く、なかなか情報が拡散しなかったことが原因らしい。
俺が獲得した「本の虫」は読書で得られる経験値を増やす効果がある。
さらに言えば、読書スキルがすでに上限に達しているので、今まで読書スキルに割り振られていた経験値も職業「司書」と該当するスキルに分配されるようになる。
レベル上げが難しいことで有名な司書であるが、この称号までたどり着ければ後は楽かもしれない。
次にハーメルが獲得した「眠りの○○」であるが、効果を確認するためにハーメルのステータスを開くと「眠りのハーメル」に表記が変更されていた。
どうやら「通り名+固有名詞」のような称号も存在する様だ。
効果は「睡眠中でも行動することができる」という破格の効果であった。
つまり、睡眠による回復をしつつ戦闘を続行することができるという事だ。
一応制限のようなものもあり、寝ながら行動している最中に攻撃を受けると、目が覚めて少しの時間硬直状態に陥ってしまうらしい。
ただ、ハーメルに関しては隠れる事が得意なうえ、ハーメルが攻撃を受けるような状況はすでにどうしようもない状況であることが多いので、特に関係ないかもしれない。
そうこうしているうちに、馬車が検問を受けるべく門の前にできている列に並ぶ。
以前イニシリー王国の王都に入る時に潜った結界が無いようで、1組1組入念にチェックしているらしく列の進むペースはかなりゆっくりしている。
時間がかかっているのは、この辺りの情勢が不安定であることも関係しているのかもしれない。
ようやく俺の乗っている馬車の順番が回ってきたが、やはり入念なチェックが入るらしい。
チェックが終わるのを待っていると、衛兵の一人が馬車の中に入って来た。
どうやら乗客のギルドカードを確認に来たようだ。
俺はギルドカードを取り出して衛兵に渡す。
「ふむ。問題ないようだな。それとここにいるのは全員君の従魔という事でいいのか?」
「はい。そうです」
「であるなら、大きな従魔は先に預けに行った方が良いだろう。ここ、アールヴ皇国の街道はパラティの街道よりも幾分か細いからな」
「わかりました」
俺の従魔の中でカレル、ヌエ、エラゼムの3体は大きな体躯をしている。
魔物使いの国では、従魔ありきで作られた道・施設がほとんどだったので問題なかったが、他の国ではそうはいかない。
このまま街中に入ったのでは通行の邪魔になるのは火を見るより明らかだ。
衛兵が俺のギルドカードをチェックしている間に全てのチェックが終わったようで、俺を乗せた馬車は門を潜り発停所に停車した。
俺は御者に礼を言いつつ馬車を降りる。
今回はそのまま街中にはいかずに発停所のそばにある厩の方に足を運ぶ。
前にコットンから聞いた話であるが、大きな従魔ないし大量の従魔を連れ歩くテイマーは街中に従魔を連れていく事は難しい。
その為、馬車の発停所もしくは門のそばにある厩には従魔専用の転移陣が設置されているとの事だ。
これはモンスターしか使用する事は出来ず、従魔達をテイマーの所有するエリア・ルームに転送、もしくはエリア・ルームにいる従魔を呼び寄せるのに使用する事ができるらしい。
よく考えれば、コットンと初めて会った時に大量の従魔達を連れていた。
あの数を総合ギルドから連れてきたというのなら、かなり交通の邪魔になっていたことだろう。
厩でミーシャと待ち合わせしていたのはそういう理由からかもしれない。
しばらく厩が並ぶエリアを歩いていると、隅の方に大きな広間のような場所があった。
近くまで寄ると地面に大きな魔法陣が描かれており、俺の視界にウインドウが現れる。
ウインドウには転送先、転送する従魔を選択する画面が表示されていた。
俺は転送先をマイエリアに設定し、転送する従魔としてヌエ、カレル、エラゼムを選択する。
すると、選択した3体の体が一瞬輝きその場から姿が消えた。
どうやら、これでマイエリアへの転送は完了のようだ。
俺は残った従魔達を連れ、街道へと足を進める事にした。




