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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
6.魔物使いの国
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149.物語の中(破) 続き

 どうやら本格的に物語が動き出すようだ。

 最初の選択肢は自分の目的を事前に話したうえでパーティーを組んだという流れだ。

 特に波乱もなく話が進むことだろう。

 

 2番目の選択肢はこのタイミングで初めて伝えるパターンだ。

 これはひと悶着ありそうな選択肢だ。

 先程の話から斥候の男がそろそろギルドランクがAランクに届きそうだと話していたので、主人公がこれからするであろう提案には難色を示すかもしれない。


 3から5までは主人公がパーティーから抜けそうな選択肢だ。

 3と5は何も告げずに姿をくらましそうだが、4なら引き留められるルートもあるかもしれない。


 ここはあえて2を選択してみる。

 前回のクエストで仲間を探すルートを選択したのに、結局1人で問題解決しようとする選択肢は話が進まなそうだ。

 しかし、なんのトラブルもなく淡々と話が進んでいくのも面白くない。

 ひとまず、水面に一石投じるような選択肢を選んで様子を見てみることにした。


 俺の選択に沿ってアルフはパーティーメンバーにこの町に来た理由を説明していく。

 アルフの説明を聞き終えたメンバーはそれぞれに反応を返す。


「おいおい。今俺たちは大事な時期だぞ。リーダーであるお前を筆頭にそれぞれのギルドランクでAランクに届きそうって時にそんな寄り道してられっかよ!」

「ん~、今回はこいつの意見に賛成だな~。わざわざこのタイミングで行く意味はなさそうだけど……」

「このタイミングで提案されるという事は何か理由があるのですか? それに原因を突き止めたとしてその後はどうするのですか?」


≪彼は何と返す?

1.もうすぐとはいえ全員がAランクに上がるのを待ってられないんだ。

2.虫の知らせっていうのか、胸騒ぎがするんだ。

3.これまでに俺が調べた情報からするにあまりゆっくりしている余裕が無いかもしれないんだ。 ≫


 予想通りパーティーメンバーから否定的な意見が返ってきたわけだが、ここで新たな選択肢が現れる。

 1番上の選択肢は理由もなく唐突に言い出した印象が強くメンバーからの印象も悪いだろう。

 2番はどれほど説得力があるかは不明だが、その辺りはメンバーとの信頼関係次第といったところか……。


 俺は3番目のセリフを選択する。

 理由は最もメンバーを説得できそうというところではなく、今後の困難がどういったものかわかるかもしれないからだ。


 メンバーの職業の話でも思ったが、この物語は伏線というものが少なすぎる印象だ。

 俺の選択が伏線回収を遠ざけている可能性もあるが、情報が少なすぎる。

 主人公のアルフが原因について調べているというのならぜひ聞いておきたい。


 アルフはテーブルの皿をいくつか退かすと、数枚の紙を取り出してテーブルに並べる。

 俺とパーティーメンバーはその資料を覗き込む。

 そこにはどこかの地図らしきものとカレルと同系統と思わしきモンスターの詳細について書かれていた。


 どうやら地図はアルフの出身地周辺のもののようで、村の周りは森で囲まれており森の先には火山があることが記されていた。

 モンスターの資料にはサラマンダーと記されており、スタンピード後に村の跡地で目撃情報があるという。


「なんだよ。ここまで調べてあるんなら俺たちがわざわざ出張る必要ないだろう」

「森に強力なモンスターが出現して生態系が変わるなんてよくあることだよね? おおかたこのモンスターが縄張り争いに負けて逃げてきたから、今まで森で暮らしていたモンスターが人里に降りてきたってことでしょ?」

「……いえ、アルフさんが焦っているのはそういった理由ではないと思います」


 他二人に対して金髪のサイドテールの女性は何かに気づいたようだ。


「えっ。なんかおかしなところでもあるの?」

「いえ、そういうわけではなく……。まず、アルフさんの資料にあるサラマンダーですが、ダンジョンランクで言えばBランクの上位に位置するモンスターで火山に生息していることが多いです」

「それならなんも不自然なところはないよな? 地図を見ても近くに火山があるんだから降りてくることもあるだろうよ」


 確かに2人の言うように資料からだけでは何ら不自然さが伝わってこない。

 サイドテールの女性は説明を続ける。


「問題は火を好むモンスターが森の傍まで降りてきているという点です」

「どういう事?」

「火や熱を好むモンスターは火系統のスキルを持っていることが多いです。間違って森で火事など起これば調査どころでは無くなってしまいます」


 俺はアルフたちの話を聞きながらもう一度アルフの提示した資料に目を通す。

 よく見ればサラマンダーの目撃情報はここ最近のもののようでスタンピードと直接関係があるかは怪しいところだ。

 しかし、火系統のスキルを持っているサラマンダーが森付近に棲みついている状況というのは森を調査したいアルフにとっては一大事だろう。


「なるほど~。確かに頼むとしたら今がベストかもね。それに調査しないまでもサラマンダーは討伐しておかないと調査する森そのものが無くなっちゃうかもね」

「あー。サラマンダーを討伐すれば俺たちのランクアップ的にも得になるのはこのタイミングかー」


 2人が状況を理解したところでサイドテールの女性が発言する。


「私はアルフさんの調査に協力してもいいと思っていますが、お二方はどうですか?」

「ちっ、しゃーねーなー。ただしサラマンダーを討伐した後の調査はできるだけ早く終わらせてくれよな! 最悪途中で切り上げることも……」

「私も手伝うのには賛成かな。そっちの薄情者と違って最後までトコトン付き合おうじゃないか!」

「はぁ! さっきはお前だって調査にいくのは反対って言ってたろ!」

「ふん! 切羽詰まった仲間が目の前にいて手を貸すのは当然よ! そっちこそ事情を知ってなおそんなこと言うなんて薄情者といわれても仕方ないでしょ!」


 再び二人が騒ぎ出すがどうやら協力してくれるようだ。

 話も決まったところでアルフたちは食処を後にした。

 そこで俺の視界が暗転する。


 どうやら元の世界に戻ってきたようだ。

 すると、俺の視界にウインドウが現れ、≪所持している選択の栞をこの本の最後に挟んでください≫と指示される。

 俺は指示に従いアイテムボックスから選択の栞を持っている本の最後のページに挟む。


 すると、「記録しました」というアナウンスが聞こえてくる。

 栞を取り出すと、“序”という文字の下に“破”という文字が追加されていた。

 これで2つ目のチェーンクエストはクリアという事だろう。


 チェーンクエストの本を読み返してみると、先ほど選択した流れで話は進んでいき、最後はこのメンバーで森に向かったと記されていた。

 おそらく次の本でスタンピードの真実が明らかになる流れだろう。

 

 俺は先ほどアルフが提示した情報について思案する。

 サラマンダーが直接かかわらないまでもそれと一緒に出てきた情報には何か意味がある可能性は高い。

 特にサラマンダーが降りてきた原因がスタンピードの真相と関係がありそうだ。


 しかし、このままでは後1冊で完結してしまいそうだな。

 序破急以外の2冊は予備という事だろうか?

 ここで考えていても答えは出ないので、チェーンクエストの本を元の場所に戻し図書館を後にすることにした。


 


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