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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
6.魔物使いの国
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139.第2の課題開始

 夕食を食べ終えて再びログインした俺はシャーロットさんの家へと向かう。

 シャーロットさんの家にお邪魔すると、玄関には大量のピッケルが散乱していた。

 奥の部屋からは物音が聞こえるので、シャーロットさんはいるらしい。


「すいませーん! シャーロットさーん!」


 俺は奥にいるであろうシャーロットさんに声をかける。

 俺の声に反応したのか、先ほどまで聞こえていた物音が止まり奥から人影が出てきた。

 シャーロットさんで間違いないだろうが、いつもの品のある貴婦人といった出立ではなく、埃まみれになった家政婦のような出立になっている。


「……来たね。……少し待ってて」


 シャーロットさんはそう言い残して再び奥の部屋に引っ込む。

 しばらくして綺麗になったシャーロットさんが戻ってきたが、その服装も普段と違うものだった。

 使い込まれた皮鎧のような防具に身を包んだシャーロットさんは歴戦の冒険者といった雰囲気を漂わせている。


「……それじゃあ、この辺りの道具をアイテムボックスにしまっていって」

「わ、わかりました。辺りの道具で大体何をするかわかるのですが、従魔を連れていく必要はないんですか?」

「……必要はない」


 言われたとおりに辺りの道具をアイテムボックスに収納していく。

 ピッケル、ヘッドライトのような物、麻袋、ノミ…………。

 ここまでそろえば何をしに行くか嫌でもわかる。

 しかし、本当に従魔を連れていく必要は無いのだろうか?

 疑問に思っていることが顔に出ていたのか、シャーロットさんが補足してくれる。


「……これから向かうのは初心者の採掘場だからモンスターは発生しない場所になってる」

「そんなところがあるんですか?」

「……ある。……この国じゃないけど」


 どうやら次の課題はこの国を出る事になるようだ。

 これは想像以上に長期的な修行になるのではないだろうか?

 玄関を埋め尽くしていたアイテムをしまい終えた俺はシャーロットさんに連れられて外へ出る。

 そのままシャーロットさんに連れられてやってきたのは、総合ギルドだった。


「……ここから転移の扉を使って目的地に向かう」

「向こうにも拠点があるんですか?」

「……そう」


 どうやら、覚悟していたほどの長旅になることは無いらしい。

 シャーロットさんとともに転移の扉をくぐる。

 扉を抜けた先は真っ暗で、埃が堆積しているのか息をするのがつらい。

 俺はシャーロットさんの許可を得て、掃除スキルで辺りを綺麗にする。


「……ありがとう」

「いえいえ、俺がやりたかっただけですので」


 そんな会話をしながら光魔法で辺りを照らすと、どうやら小さな小部屋のようで振り返ると転移の起点となると思われる小さな扉があった。

 辺りを観察していた俺をよそに、シャーロットさんは慣れた様子で小部屋を出ていく。

 慌ててついていった先はどこかの作業場のような場所だった。


 中央には大きなテーブルが置いてあり切削道具などがきれいに並べられていた。

 壁際にはよくドキュメンタリーなどで見かける宝石を削る機械のようなものが設置されている。

 まさに宝石を加工する工房といった内装だ。


 詳しい説明を受けるとここはドワーフの国ドヴェルグ連邦国の首都だそうだ。

 俺達がいる建物はシャーロットさん個人の所有物で、魔石晶従魔術に使用する宝玉を加工するための工房だという。


 シャーロットさんも来るのは久しぶりとの事だが、先ほどの転移の部屋と違ってこの工房には埃が積もっていない。

 俺が不思議に思っていると、俺達がやってきた扉とは反対の扉から誰かが入って来た。


 いや、誰というのは正しくない。

 入って来たのは俺と同じくらいの背丈であり、服も着てはいるがその隙間から見える部分が全て木でできていた。

 それだけならば樹人系の種族にも見えるが顔のパーツが一切ないのだ。

 極めつけはその額に輝く緑色の宝石だろう。


「……この子はウッドドール・ハウスキーパーという種族でここの管理を任せているの」


 シャーロットさんがそうやって紹介する木人形はゆっくりお辞儀したので、俺もお辞儀をする。

 挨拶も終えたところで、今回の目的地へと向かう。


 工房を出ると外は炎天下のように暑く、辺りからは金属を叩く音や怒号が響いている。

 俺はシャーロットさんとともに門番のいる詰め所まで向かう。

 門から中に入っていないので、こうやって来たことを報告する必要があるらしい。

 これを忘れると、何かトラブルに巻き込まれた時にとても不利になってしまうそうだ。


 詰め所で報告を終えた俺たちはいよいよ本題の場所へと向かう。

 門から外に出るものだと思っていたが、どうやら首都の敷地内に目的の場所はあるらしい。

 これなら従魔が必要ないのも頷ける。


 やってきたのは首都の中心部に近いところで、そこには大穴が開いており縄梯子がかかっているだけだった。

 昔はとても優秀な炭鉱だったそうで、ドワーフたちがここを目的として集まり、のちに国ができたとか。

 しかし、現在は質の高い鉱石は取りつくされ、品質の低いものが転がるばかりになってしまったという。

 その為、初心者用として無料で一般公開しているのだそうだ。


「……ここで修行用の鉱石を集めてもらう」

「おそらくそうだろうなと思いましたが、集めるコツとかエンチャントできる基準などはあるのですか?」

「……一度、自分なりに集めてみるといい。……最初から正解を教えると修行にならないから」


 という事でシャーロットさんとともに初心者用の炭鉱へと降りていく。

 少し奥まで進み、持ってきたピッケルで炭鉱の外壁を削る。

 削っていくと、壁の色とは違う石が出てくるので判別していく。


 第1の課題の時に鉱石や宝石に関しては勉強してきているので、ある程度種類を判別することはできる。

 しかし、どれが良くてどれが悪いのかわからないのである程度いろんな状態の鉱石を集める。

 大きい物、小さい物、亀裂が入っている物、割れている物それはもう様々なものを拾いつくす。


 ログイン時間が残り1時間ほどに迫ったところで、炭鉱を出てシャーロットさんの工房へと戻る。

 シャーロットさんに時間が無いことを伝えると、俺が持ってきた鉱石の判定はやっておいてくれるそうだ。

 俺はシャーロットさんにお礼を言った後、一度ログアウトすることにした。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 炭鉱って、燃料が取れるんじゃ無かったですか? ココは宝石や鉱物が取れるから鉱山だと思います。
[気になる点] 炭鉱でピッケル持って鉱石を掘る鷺沢文香。 イメージから離れて来たー、と思ったけど想像するとアリな気がして来た。
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