132.従魔の進化 2回目
気持ちを持ち直した俺は、運営から送られて来たメールの内容を確認する。
『ウィンターイベント 「冬の大討伐祭」を開始します。
創造神インフ様が異世界の旅人たちのために、世界規模の催しを開催しました。
各地にこの季節限定のモンスターが出現するようになり、討伐数に応じて報酬を手に入れる事ができます。
その他にも、いたるところで期間限定のクエストが発生しているので、皆さん奮ってご参加ください。』
大雑把に説明するとこんな感じの説明がされていた。
ウィンターイベントとあるように、おそらく冬にちなんだモンスターやクエストが発生しているものと思われる。
詳しい説明はその下に書かれており、基本的には予告されていた内容と同じことが書かれていた。
ただし、どのモンスターがイベント用のモンスターか明記されていない。
俺は事前にモンスターの分布を調べていたので、調べた中にいないモンスターがイベント用のモンスターであると判断できる。
準備を整えた俺はマイルームを出てこの街を出た。
岸嶋との約束が済んだのでいつまでもこの街にいる理由は無い。
チェーンクエストの本を保管している図書館がある首都に向けて出発することにした。
……………………。
≪従魔グリモがレベルアップしました。≫
≪従魔カレルがレベルアップしました。≫
≪テイマーのレベルが上がりました。≫
≪従魔ハーメルがレベルアップしました。≫
≪従魔エラゼムがレベルアップしました。≫
≪従魔ヌエがレベルアップしました。≫
≪熟練度が一定に達したため、スキル「闇魔法」がレベルアップしました。≫
≪従魔ハーメルの練度が一定に達したため、スキル「睡眠」がレベルアップしました。≫
≪イベントポイントが3ポイント加算されます。≫
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首都を目指す道中で様々なモンスターと戦闘している。
普段と気候が違うためか魔物図鑑に載っていたモンスターはあまり出現しておらず、イベント限定らしきモンスターと戦闘することが多かった。
イベントモンスターは雪や冬に類するものが多い。
雪だるまのようなモンスターやトナカイのようなモンスター、珍しいところでは雪の結晶の形をしたモンスターまで存在した。
しかも、このイベントモンスターたちはテイムの対象にできる。
運営のメールにウィンターイベントとあったので、この時期になったら定期的に発生するイベントなのだろう。
手に入れる事は難しいが、時期を待てば平等にチャンスがあるのでテイムもありということだろうか?
イベント期間中はいつも以上に気温が下がっているうえ、地面に積もった雪のせいで行動阻害が発生する。
俺のパーティーで影響を受けるのは俺、エラゼム、ハーメルであるが、俺の持つ気候知識スキルで行動阻害が少し軽減されている。
今のところ戦闘にさしたる影響はない。
順調に進めているが一つ気がかりなことがある。
実は俺のMP消費がいつもより多いのだ。
冬を基調としたモンスターが多い為か、火を苦手とするモンスターが多い。
俺のパーティーで火属性の攻撃が行えるのは、火魔法スキルを持つ俺だけなのでMPの減りが早いのだ。
一応、MPポーションは旅のためにストックした分は有るが少し心もとなく感じる。
次の街についたら買い足すことも視野に入れた方がいいだろう。
俺は残りのMPポーションを確認しながら進んでいく。
……………………。
≪従魔ハーメルがレベルアップしました。≫
≪従魔ハーメルのレベルが一定に達しました。種族進化ができます。≫
≪従魔ヌエがレベルアップしました。≫
≪従魔ヌエのレベルが一定に達しました。種族進化ができます。≫
首都を目指し始めてから数日経ったある日、ついに従魔の2回目の進化がやってきた。
レベルの停滞した時期がそこそこ長かったためかハーメルとヌエが同時に40レベルになった。
踏み固められた道の端にある大きな岩のそばまで近寄ると、ハーメルたちのステータス画面から進化先を確認する。
≪従魔ハーメルは進化が可能です。進化先を選択してください。≫
・スパイラット
・シャドーラット
・ハンターラット
・NINJAラット(忍者装備一式を消費)
≪従魔ヌエは進化が可能です。進化先を選択してください。≫
・ミッドナイトクレインリーダー
第1段階の進化同様、ハーメルの進化先は4つでヌエの進化先は1つだけだ。
俺がそれぞれ進化先を選択すると、2体の従魔がまばゆい光に包まれる。
NAME「ハーメル」 ウイングの従魔
種族「NINJAラット ♂」LV40 3UP 種族特性 「隠遁」NEW「下忍」
HP 250 20UP
MP 430 30UP
筋力 13
耐久力 19 1UP
俊敏力 66(+5) 11UP
知力 20 5UP
魔法力 44(+5) 3UP
スキル
「危険察知LV7」「泥術LV8」「隠者LV7」「睡眠LV8」1UP 「逃走LV4」「迷彩LV4」「遠見LV2」NEW「忍術LV1」
装備品
貝殻の杖(ネズミ用)
小さなわらじ(ネズミ用)
総重量 2
NAME「ヌエ」 ウイングの従魔
種族「ミッドナイトクレインリーダー ♀」LV40 4UP 種族特性「飛行」「夜行性」
HP 230 50UP
MP 580 80UP
筋力 31 3UP
耐久力 22(+2) 2UP
俊敏力 53 5UP
知力 26 5UP
魔法力 38(+5) 2UP
スキル
「嘴術LV6」「闇魔法LV7」2UP 「迷彩LV5」1UP 「不動心LV1」 「遠見LV5」1UP 「咆哮LV1」NEW「指揮LV1」
装備品
黒のスカーフ
貝殻のペンダント
総重量 2
ハーメルの見た目は黒に近い灰色の体色に変わったこと以外は特に変化は無い。
しかし、種族特性とスキルには面白いものが追加された。
別に和風でそろえたわけでは無いが、進化項目に出現したそれをどうしても無視することができなかった。
種族特性の下忍は「忍」と付いたスキルにわずかに補正が入るというもので、おそらくこの上にさらに効果の高い種族特性がある事だろう。
そして、この進化の大本命ともいえる忍術スキルであるが、今はそこまで特別感は無い。
忍術スキルはアクティブスキルであるが、最初のアーツが俺の持つ隠密スキルのアーツ「気殺」と同じ効果だからである。
おそらくスキルレベルがアップして新しいアーツが発現すれば、差別化が進んでいくはずなので今後の伸びしろに期待したい。
ヌエの方はと言えば、体の色は変わらないが一回り大きくなった。
スキルの方では俺が以前習得した指揮スキルが追加されている。
一応ナイトクレインの上位種がさらに進化しているので、群れのリーダーとして必要になるスキルを獲得した形だろうか?
進化を終えたところで、ハーメルにはパジャマを装備してもらう。
ミーシャに作ってもらった忍者装備が進化素材として消滅してしまったためだ。
俺はミーシャにハーメルの新しい装備の注文と、進化のためとはいえ装備を消滅させてしまった詫びの連絡をする。
しばらくしてミーシャから返信がくる。
注文を承ったことと消費してしまった事は気にしなくていい、むしろ久しぶりにハーメルに会えるので大歓迎だという趣旨の内容だった。
俺は次にミーシャに会う時の事を想像しながら、心の中でハーメルに向けて合掌するのだった。




