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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
6.魔物使いの国
134/268

124.NEWスキルと出立

 少し修正しました。2019/6/25


 改稿中の為、前後の話と齟齬が発生している場合があります。2019/7/4

 俺が読書に耽っていると、前方から影が差す。

 ふと顔を上げるとヌエとエラゼムがおり、それぞれ爆睡中のハーメルとカレルを頭に乗っけている。

 どうやら、マイエリアでの時間は終わりにしようという事らしい。


 俺は読んでいた本を閉じ、アイテムボックスにしまう。

 その代わりにイベント報酬で手に入れたスキルスクロールを取り出す。

 旅立ちの前に全員の強化をしておこう。


 俺はパーティー全員にスキルスクロールを1つずつ使用する。

 今回7つのスキルスクロールを手に入れているが、1つは残しておこうと思う。

 パーティー枠1つ余っているので、もう1匹従魔が増えた時に使おうと思っている。

 スキルスクロールを使用したことで、俺達が覚えたスキルは以下の通りだ。



・ウイング


「付与魔法」LV1  アクティブスキル

 アーツ  

・LV1  身体強化 消費MP10 ・・・アーツを使用すると、魔法力の十分の一(小数は切り捨て)の値を筋力・耐久力・俊敏力に加算する。他人に使用するときは触れる必要がある。

効果時間は1時間。



・ハーメル


「遠見」LV1  パッシブスキル



・ヌエ


「咆哮」LV1  パッシブスキル

 ・大声を発すると低確率で相手に「恐怖」か「動揺」の状態異常を付与する。確率は相手の知力と自分の筋力差に依存する。

スキルレベル×1mの範囲に存在する相手に効果を及ぼす。

 ※状態異常「恐怖」は一定時間行動できなくなる。時間は知力依存。

 ※状態異常「動揺」は一定時間スキルの使用ができなくなる。時間は知力依存。



・エラゼム


「氷魔法」LV1  アクティブスキル

 アーツ  

・LV1  アイスボール 消費MP20 ・・・氷の球を生成し、相手にぶつける。派生魔法である氷魔法初期の技。



・グリモ


「情報」LV1  アクティブスキル

・LV1  会話ログ 消費MP 5・・・自分とプレイヤーないしNPCとの会話を記録しておくログ。ログイン時間で24時間分記録しておくことができる。

 内容を確認するときにだけ消費MPが発生し、ログインしている限り自動的に更新されていく。



・カレル


「運搬」LV1  パッシブスキル

 ・物を装備しない状態で持っているか運んでいる場合、行動阻害を受けにくくなる。効果は筋力依存。



 事前に調べてはいたが、スキルスクロール(ランダム)で覚えるスキルは全く使えないものになる事は少ない。

 ……一応俺達が覚えたスキルも全く使用できないスキルというものは無いが、何匹か微妙なスキルを取得してしまった従魔がいるな。


 俺が覚えた付与スキルはそこそこいいスキルだ。

 グリモのおかげで、俺のMPの総量はなかなか多い。

 これを使って他の従魔を強化していけば、今後の戦闘も少しは楽になるはずだ。


 ハーメルの遠見スキルはヌエも持っているので、説明は割愛する。

 あまりハーメルが持っていても効果が薄いスキルのような気もするが、より斥候系のスキルが増えたことで進化先に期待が持てるかもしれない。


 ヌエの咆哮スキルは使用してみてどうかといったスキルだ。

 この相手というのはどうやら味方は含まれないらしい。

 後はどれくらいの確率で状態付与が発生するかによるが、使用回数に制限が無いのでそれほど高くは無いだろう。


 エラゼムの氷魔法スキルはこの中で一番のレアスキルだろう。

 水魔法と風魔法の教本にチラリと書いてあったが、水魔法と風魔法を一定レベルまで使いこなせるようになると、発現する魔法スキルである。

 派生魔法であるためか消費MPが高めだ。

 エラゼムとの相性は悪そうであるが、物理攻撃しかできなかったエラゼムにとっては初めての遠距離攻撃手段だ。


 次にグリモであるが、情報スキルといった未知数のスキルを習得した。

 どこかで見たような気がすると思ったら、俺が最初のアップデート前に称号「才能を示す者」で習得度を確認した時に表示されていたスキルだ。

 最初のアーツは、聞きそびれたことを確認する時には使えそうだ。

 あまり戦闘には役に立たないだろうが……。


 最後のカレルであるが、今の所どう頑張っても使用する機会は無いだろう。

 この運搬スキルは本来、荷運びをする運搬者や大きな木を伐採する木工師・木こり等の職業についている人が持つスキルだ。

 従魔であれば馬車などを引く馬や牛などが持つと便利なスキルであろう。

 しかし、カレルの大きさでは運べるものが限られる。

 今後の進化に期待といったところだろうか。


 スキルスクロールの結果を確認した俺は従魔達を連れてマイルームを出る。

 転移の扉を抜けて総合ギルドを出るときにはハーメルとカレルも起きており、それぞれの定位置に着く。

 本来はもう少し時間に余裕がある予定であったが、最初に休憩が入ってしまったので早足で王都の外壁に向かう。


 ……………………。


 王都の外壁には4つの門が存在しており、それぞれ東西南北に沿って続いているらしい。

 俺が普段利用しているラビンスに戻るときに向かう門は東側だが、今回は北側の門へと向かう。

 ここの門にも発停所は存在するが、少し様子が違う。


 ラビンス側の門にある発停所にいるモンスターは馬や牛型がほとんどであった。

 しかし、こちら側の発停所には羊型のモンスターやアルパカのようなモンスターがちらほら存在していた。

 やはり、行く先にある国の気候や特色で馬車を引くモンスターにも違いがあるらしい。


 今回は最初の国までは馬車で行こうと思っている。

 イニシリー王国の王都から今回目指す国までの間にはそれほど強いモンスターがいない。俺を含めてレベルが30を超えてるメンバーのレベル上げには不向きなのだ。


 それに道中にある村々は基本的に農村であり、それほど変わり映えはしないらしい。

 農村である事から読書する人も少なく本に関わる施設もないようなので、スルーしても問題ないだろう。


 乗り込んだ馬車には俺のパーティー以外の乗客はおらず、貸切状態だった。

 しばらくして、出発時刻になったようで、馬車がゆっくりと動き出す。

 このゲームを始めて早3か月、俺の本をめぐる旅は穏やかにスタートするのだった。


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