123.報酬アイテムの選択
アイテム一覧を一通り調べ終えた俺は一息つく。
大雑把にアイテムを確認するだけで、ログイン時間の大半を使ってしまったな。
貢献ポイントランキングにランクインするぐらいにはポイントがあるので、ほとんどのアイテムを手に入れる事ができる様だ。
ちなみにアイテムが被ったら嫌だったので、ランキング報酬であるランダムボックスは先に開封してある。
……結果はお察しである。
気を取り直してアイテムの選定に戻る。
俺のポイントで手に入らないアイテムの中には、レベルリセットと引き換えに種族を変更できるアイテムや特殊な上位職業になれるイベントが発生するという紹介状等があった。
どれもプレイヤーたちが血眼になって探しているアイテムだ。
ラピスさんが所属するクラン辺りなら取得できる人もいるかもしれない。
……このアイテム一覧を見ていると様々な情報を読み取ることができる。
例えば、種族変更のアイテムであるがこれは上位種族になるアイテムではなく、あくまで種族の変更用のアイテムである。
しかし、上位職業の鍵になるアイテムはこの一覧に存在する。
このことから難易度的には上位職業に転職するより、上位種族に進化する方が難易度は高いだろうと推測できる。
後は種族を変更するアイテムの価値が異様に高いような気がする。
この手の種族選択するゲームは種族が合わなかった時の救済処置として、種族変更が容易だったり他のアバターを作成できるようになることが多いと聞いたことがある。
しかし、イベントの上位陣がレベルリセットのリスクを覚悟して、ようやく種族が変更できるようになっているのは珍しいはずだ。
このことから運営はあまり種族の変更を推奨していないのだろうとわかる。
……だいぶ思考がズレてしまった。
とりあえず考察はこの辺りにして、交換するアイテムの選定を始める。
テイマーに関するアイテムを物色している時に、従魔が進化するときに使用することで、特殊な進化を促すアイテムも存在していた。
親切設計なのか、従魔に使った時の例が書いてあった。
面白いところでは『近未来の可能性』というアイテムなんてものがあった。
従魔の進化一覧にロボットのようなデジタルチックな進化先が増えるようである。
例えの中にインテリジェンス・ブック系の進化先があり、見た目がタブレットのような電子端末のモンスターになったりする様だ。
司書にまつわるアイテムはあまり多くないようである。
気になるところでは、司書の目録に挟むことで効果を発揮する栞や、目録をしまって置けるホルダーくらいだろうか?
司書限定というわけでは無いが、魔法の教本や小説などもあった。
……………………。
ログアウトした俺は昼食をとる。
春花はいまだログインしているようだったので、一人で食べた。
春花用の昼食を用意した後、再びログインした。
マイルームでは従魔達が思い思いに過ごしている。
俺は昼食をとりながら考えていたアイテムを選択することにした。
・マイエリア(大)
20000P
・スキルスクロール(ランダム)×7
1000P×7= 7000P
・家具引き換え券×3
1000P×3= 3000P
・小説×2
15+18P= 33P
俺が選んだアイテムはこんな感じだ。
運営の意向なのかイベントのために特別に用意されたアイテムは少なく、ポイントを大量に消費するので選択しなかった。
そのため、テイマーひいては戦闘に役立つアイテムを多く選んだ。
司書に関わるアイテムが少なかったというのもあるが、先に進むための先行投資という意味合いが強い。
まず、マイエリアは従魔の居住スペースの確保だ。
仕方なく従魔達を部屋で待機させているが、大柄のエラゼムや空を飛ぶヌエなどは窮屈に感じているかもしれない。
そのうえ、今後の進化先や新しい従魔のサイズによっては部屋に入らない可能性もある。
エリアの購入はそれなりにお金がかかるので手に入れられる時に手に入れておくことにした。
続いてスキルスクロールであるが、指定したスキルを手に入れられるものもあった。
しかし、ランダムの物より倍のポイントを消費したのでやめておいた。
これは俺だけでなく従魔達にも1つは使う予定だ。
今回のイベントで俺たちのパーティーの戦闘能力はまだまだ低いと実感することができた。
安直ではあるが、手札を増やしておいて損は無いという判断だ。
それに従魔達のスキルを増やしておけば、進化するときに選択肢が増えるかもしれない。
従魔達には特殊進化用アイテムという選択肢もあったが、特に進化先のこだわりがあるわけでもなかったので決めきれず断念した。
残りのポイントが微妙だったので、家具引き換え券と初見と思われるタイトルで消費ポイントの少ない小説を2冊選択した。
家具引き換え券については、すぐに交換はせず欲しいものができたら交換しようと思う。
これでアイテムの選定は終了した。
ウインドウの決定ボタンをタップして、アイテムを受け取る。
するとウインドウの表示が切り替わり、エリアの設定画面が現れた。
俺の従魔達はカレル以外で特にどこがいいという事は無いはずなので、無難な草原エリアを指定する。
エリアの指定が終わると次にオプションの選択に入る。
俺は自分の所有するマイルームと直接行き来できる扉をつける事にした。
これ以外のオプションは料金が発生するので、必要に応じてつければいいだろう。
エリアの設定を完了すると、普段転移の扉で行き来している扉の反対側にもう一つの扉が現れる。
俺は従魔達に声をかけてマイエリアの見学に向かう。
新しくできた扉を開けてマイエリアの様子をうかがう。
特にオプションなどを追加したわけでは無いので、ただただ草原が広がっていた。
あまりにも何もないのでかなりの違和感を覚える。
……今後、資金に余裕ができたら何か追加しよう。
ちなみにマイエリアの大きさであるが、最大を選択した。
具体的な大きさを言えば、10km四方だったはずだ。
これだけの大きさがあればどんな従魔が仲間になっても、窮屈になる事は無いだろう。……ないよな?
俺と一緒に来た従魔達と言えば、新しいエリアで思い思いに羽を伸ばしている。
ハーメルは大草原の中で日向ぼっこしながら寝ているし、ヌエも思いっきり空を飛び回っている。
カレルは草原を突っ走り、エラゼムは斧の素振りをしていた。
グリモだけは動くことができないので、俺の手の中にいる。
俺は苦笑しながら開けた扉側に振り返る。
視界の先にはマイルームと同じ大きさ位のウッドハウスがあり、俺達が通ってきた扉が開け放たれている。
……部屋を増築したらこの小屋も大きくなるだろうか?
マイエリアの確認が終わった俺はマイルームに戻り、先ほど手に入れた本を読み始める。
本当はマイエリアを設定したらそのまま旅に出るつもりだったが、従魔達が遊びだしてしまったので、少し休憩を入れる事にした。
一応、王都を出て最初に向かう町までは結構近いはずなので大丈夫だろう。
俺は外からかすかに聞こえてくるハーメルの寝息を聞きながら苦笑いを浮かべるのだった。




