表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
1.彼がゲームをする動機
13/268

12.学校での出来事とちょッとしたトラブル

旧23.24です。

 ログアウトした俺は風呂に入った後そのまま寝ることにした。

 妹の春花がおそらくギリギリまでやるはずなのでそれに備えて早めに寝ることにする…

 朝、意外にも妹は朝早く起きていた。


「昨日は私の当番である夕食をやってもらったからね。次は私の番だよ!」


 どうやら昨日の失敗を取り返したいようだ。

 普段から元気だが今日は妙にテンションが高い。

 昨日の会話からゲームをやらない選択肢は無い。おそらくあまり寝れていないことで空元気になっているのだろう。授業中に寝ないことを祈ろう。


 俺のクラスでもそこそこの人数がウトウトしながら授業を受けていた。たぶん、春花と同じ状態だな。

 それに休憩時間になると会話の内容がabundant feasibility onlineの話で持ち切りだ。

 もうすぐ大型連休ということもありゲーム内で合流しようなどと話をしているようだ。

 すると俺のほうに女学生が歩いてくる。委員長の冨士崎凜香(ふじさき りんか)だ。


「みんな話題のゲームではしゃぎすぎね。授業に全然集中できてないわ。大型連休が近いということはその前にテストがあるっていうのに」


 溜息をつきながらそんなことを言う。


「仕方ないさ、それこそ自己責任だろ。それで赤点とって補習。結果的にゲームの時間が削れても誰のせいでもない自分のせいなわけだしな」

「そうね。そういえば昨日急いで帰宅したようだけど何かあったの? あんまり焦ってるとこ見ないから不思議だったの」


 いままで読書ばかりしていたからか俺がゲームをするという発想がないようだ。

 別に隠すようなことではないのでしゃべっても構わないだろう。


「あぁ、妹との約束でな。俺もabundant feasibility onlineを始めたから、ゲーム内で会うためにログインするタイミングを合わせる必要があったんだよ」

「あら、あなたもやっているのね。意外だわ、さっきの話じゃないけどテストは大丈夫?」


 多少驚いたようだが、そこまで関心がないのかテストの話に戻る。


「ああ、俺は宿題以外ほとんど家で勉強しないからな」


 自慢じゃないが家で勉強しなくてもそれなりの点数が取れる。

 というか読書や家事の邪魔にならないよう授業をしっかり聞いて再度勉強しなくてもいいようにこころがけている。……妹の勉強をみることはよくあるが。


「それであの点数は周りに喧嘩売っているわね。でも、ゲームを始めたら読書の時間が減るんじゃない?」

「それはな、…………」


 俺はゲームを始めた動機を話す。


「ふふ、あなたらしいわね。確かにそれなら納得だわ。今日の様子を見る限り大丈夫そうだけど、ほどほどにね」

「ああ、心配してくれてありがとう」


 休憩時間終了のチャイムが鳴ったので冨士崎は自分の席に戻っていった。

 放課後、今日も今日とて自宅に直帰することにした。

 家に帰ると玄関に妹の靴があったのですでにログインしていることだろう。俺もさっそく戸締りをしてログインすることにした。


……


「チュウーーー、チュチュウ」


 ログインしてすぐにハーメルが挨拶してくる。どうやら連れている従魔は主人がログアウトすると一緒に消えて、ログインと同時に現れるようだ。

 俺は掃除道具をまとめてハーメルを肩に乗せると総合ギルドに向かうことにした。

 ギルドにつくとカウンターにはレーナさんともう一人の受付嬢しかいなかった。どうやら最初の町を拠点とするプレイヤーが減ったため増員は無くなったようだ。

 クエストの受注は自動でやってくれるが報告は素材の査定などがあるのでカウンターへの報告となっている。

 俺はレーナさんの列に並ぶ。

しばらくすると俺の番になる。


「こんにちは。クエストの完了報告に来ました。掃除道具を返しますね」

「こんにちは。溝掃除のクエストでしたね。報酬は1000ラーンになります。ずいぶんと広い範囲をやっていただけたようですね。誠にありがとうございます」


≪町中クエスト 溝掃除 をクリアしました。報酬 1000ラーンをお受け取りください。≫

≪貢献ポイントが1溜まりました。≫


 この溝掃除であるが、まじめに取り組めばそこそこの報酬になるようだ。

FランクからEランクになるには5ポイント必要だったはずだから、あと4回町中クエストを受けなければならない。

そんなことを考えているとレーナさんが


「その肩で寝ているネズミさんはなんですか?」


 ほほえましそうな顔して俺に声をかけてくる。

 チラッと肩を見てみるとハーメルが鼻提灯を作って寝息を立てていた。

 やけに静かだと思ったら、ぐっすり寝ていたらしい。

 まあ必要になったら起こすとしよう。


「ああ、溝掃除中に捕まえてテイムしたんだ。こいつはマッドラットのハーメルという」

「そうですか!かわいらしいですね。それならテイマーギルドへの登録をお勧めします。従魔登録もそのギルドで行っています」


 詳しく聞くとテイマーギルドはテイムモンスターが1匹でもいれば、登録だけなら可能で他のギルドより敷居が低い。理由としては従魔の管理をする必要があるため、他の条件をつけて入りにくくしてしまうと、野良のテイマーがトラブルを起こしたときの対応がややこしくなるそうだ。

 そのため従魔ができたらテイマーギルドに入ることを勧められる。もちろん入らなければ従魔が起こしたトラブルはすべて自分で対応しなければならなくなる。

 俺とレーナさんがそんな話をしていると後ろから声がかかる。


「なぁ、あんたいつまで話しているつもりだ?」

 

そういわれたので振り返るとチャラチャラした金髪エルフがいた。

どうやらこちらが話し込んでしまったので後ろで待っている彼が待ちくたびれたようだ。


「すいません、すぐ移動しますね」


そういって俺はレーナさんに挨拶してその場を離れようとする。しかし


「待った。ついでだから聞きたいんだが、あんた受付嬢と親しく話ができてたよな?どうしたらそんなに親しくなれるんだ?」


 カウンターに用があったのではなかったのか?男がそんなことを聞いてくる。

 聞かれても困る。レーナさんと親しくなったきっかけは資料室の清掃なのでおそらく他の人にはできない。とりあえず無難に答える。


「あなたの後ろにも人が並んでいるので手短に行きますよ。普通に会話して仲良くなっただけですよ。それとそういうことに関わる称号を持っているだけです」

「ナビさんのお気に入りか!だがそれだけでは無理だろう?他のやつが同じ称号を持っていたが、ここまで受付嬢が楽しそうに会話していたところを見たことがないぞ。」


 なおも食い下がってくるチャラエルフ。さすがにこれ以上は周りの迷惑になる。


「そんな事言われてもそれ以上にはやっていないのでわかりませんよ?さすがにこれ以上は周りの迷惑になりますよ?それでは俺はこれで失礼します」

「待ちやがれ!情報を独り占めする気だな!そっちがその気なら、うがっ……」


 チャラエルフがいきなり突っ伏す。向き的に後ろの人にどつかれたようだ。


「何しやが、、、、ひっ」


 そいつはそれ以上口にできなかった。後ろで並んでいただろう人達全員ににらまれればさすがにうかつなことはしゃべれないだろう。


「さっきあそこにいるやつをどかしたのはまぁまだわかる。たしかにあの辺で止めなければ長くなるだろうとは予想できる。だがそのあとはなんだ!自分が冷たくあしらわれてか知らないがそっちのやつにつっかかってんじゃねぇよ。気になるのはわかるが、ある程度話してもらっておいてその態度は何だよ。それにそいつと話するなら列から抜けろよ。お前が一番迷惑だろ」


 おそらくどついたであろう人物がそういうと後ろの人たちも頷く。


「はっ、それにそんな称号がついちまったら余計に難しいだろうな?」

そういわれて初めて気づいたが、チャラエルフの頭の上に表示が出ていた。


 「チンピラ」 周りへの迷惑行為を行った者の称号。

 効果 ・・・この称号を認識されるたびにNPCの友好度が減少


「なっ。ちっ」


 チャラエルフは舌打ちすると足早にギルドから立ち去った。

 あれでは仲良くなりたいとは思えないわな。そう思いつつ俺は「隠密」スキルのアーツ「気殺」を発動する。

 さすがにここまで騒ぎになってゆっくりするのは難しいので、狙っていたクエストを受注して総合ギルドを後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ