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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
5.Dランクダンジョン攻略と第二回イベント
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114.クランの方針

 俺が新しくできた通路に目を向けると、ちょうど通路からハルが出て来るところだった。

 ハルは俺の立っているところまで走ってきて話し始める。


「お兄ちゃん! どういう事! なんでこんな短時間に2つもチェックポイントを攻略しているの!」

「まあ、待て。どうしたんだ、急に……。というか、なんで俺が2つのチェックポイントを攻略したことになっているんだ」


 俺が攻略したチェックポイントはここが初めてのはずだ。

 その前にいた森エリアはボスたちのパーティーが攻略したことになっているはずである。

 そもそも、どうやって俺がチェックポイントの課題をクリアしたことを知っているのだろうか?


 俺が首を傾げていると、ハルも落ち着いてきたようで説明をしてくれた。

 どうやら、クランのマスターと副マスターには、俺達がもらったメールの他にもう一つメールが来ていたそうだ。

 クランマスター及び副マスターにはイベント中限定のログ機能が追加されているらしい。

 そのログにはクランの陣地獲得の情報が随時更新されるそうだ。


 ハルはクランを作ったパーティーにいるので、当然メンバーの中にクランマスターと副マスターがいる。

 時々ログを確認していたら、森エリアの攻略がログに記録された。

 ログには攻略したパーティーの他に、協力者の欄に俺の名前が記載されていたそうだ。


 そして、ここのチェックポイントの課題をクリアしたことで、再びログに名前が記載されたというわけだ。

 都合のいいことに、俺が手に入れた陣地の恩恵が安全な経路だったので、走って状況を聞きに来たそうだ。


 それ以外にこの洞窟エリアに関する情報も教えてもらった。

ここの洞窟エリアは資源や施設のようなものが見受けられなかったのでどこのクランもそこまで熱心にクリアは目指していなかったらしい。

 ノブナガさんたちがあっさり引いたことも、洞窟の中で妨害が無かったのもこの辺りが理由らしい。


 ハルが説明を終えたところで、タイヨーさんを含めて何人か見知ったプレイヤーのいる集団がハルの出てきた通路から現れた。

 どうやら、ハルを追いかけてパーティーメンバーやクランに所属しているプレイヤーもここにやってきたようだ。


 洞窟の中にやってきたハルたちはちょうどいいという事で、そのまま話し合いを始めた。

 話し合いと言っても、ガッツリと話を詰めるようなものではなく、今後の方針についてどうするか大まかに決めようという事らしい。

 俺も話し合いの結果が気になったので、プレイヤーの輪の外側で聞き耳を立てる。


 話し合いの結果、ひとまず手当たり次第に陣地を手に入れる事にしたらしい。

 理由は俺が手に入れた洞窟エリアの地下通路だ。

 チェックポイントは基本的に隣接しておらず、間に戦闘可能エリアが存在する。

 他のクランが侵入できない安全な通路を確保できるというのは、2日目の陣取り合戦では大きなアドバンテージになるという事だ。


 本来はあまり離れた陣地を取ってしまうと、防衛がやりにくくなってしまう。

 プレイヤーの行き来に時間がかかるうえ、戦闘可能エリアを通過する距離が長くなり、やられるリスクも上昇するからだ。


 しかし、この地下通路があれば話は別である。

 ハルたちの話では、ここに来る前にハルたちがいたエリアは、この洞窟からそこそこ離れた場所のエリアだったらしい。

 だが、ハルが走り出してからそれほど時間もかからずにこの空間にたどり着いたそうだ。

 つまり、いくらか移動距離が短縮されている可能性が高いという事だ。

 

 このことから、沢山の陣地を手に入れておいて様々な施設や資源を確保しておいた方が、2日目の陣取り合戦で有利だろうという事に落ち着いた。

 あたり前な結論な気もするが、場合によっては2日目に相手陣地を奪取しまくる作戦もありだと思う。

 今回は安全経路を確保できている事から、とりあえず手当たり次第陣地を確保してから取捨選択しても遅くないだろうという結論に至ったわけだ。


 作戦も決まったところで、それぞれの通路へとプレイヤーたちが散っていく。

 ハルに一緒に行かないかと誘われたが断った。

 今の所、一緒に行動するメリットは少ない。それよりもいろいろな場所に散らばって必要な時に連絡を入れて協力を仰ぐ方が得策だろう。

 俺は迷路から戻ってきたハーメルを労い、入って来た洞窟の入り口からこの陣地を出る事にした。


 ……………………。


 その後、いくつかのチェックポイントで課題に挑戦したが、なかなかクリアには至らない。

 2つの課題に挑戦していたため、どうしても他エリアに入るころには先客がいた。

 その為、途中から参戦してもすぐに他のプレイヤーが課題をクリアしてしまい、外にはじき出されてしまう。

 そして、時間を使ったがゆえに次のチェックポイントでも不利になるという悪循環に突入してしまった。


 そうしてしばらく、チェックポイントのあるエリアを転々としていた頃、ハルから連絡が入った。

 俺はハーメルたちと森エリアで採取しておいた果物を食べながら内容を確認する。


 どうやら、チェックポイントの残っているエリアはほとんど残っていないらしく、残ったエリアに協力的なプレイヤーを向かわせている最中らしい。

 俺にも向かってほしいと頼んでくるのかと思いきや、どうも少し違った。


 どうやらハルのパーティーを中心に攻略しようとしているエリアがあり、その課題をクリアするのに協力してほしいそうだ。

 そこは何を隠そう、俺が最初に避けたあの幾何学模様が入った黒いピラミッドのような建造物だった。


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