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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
5.Dランクダンジョン攻略と第二回イベント
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113.洞窟エリアの課題

 洞窟の中を進んでいくと、何組かのパーティーとすれ違う。

 俺がエリア外に放り出されていないことと、すれ違うプレイヤーの悔しそうな表情からこのエリアの課題はいまだクリアされていないようだ。


 しばらく歩いていると、少し開けた場所に出てくる。

 そこには何組かのパーティーがたむろしており、皆一様に壁画らしきものを眺めていた。

 その脇には巨人のプレイヤー1人が、ようやく入れるくらいの細道がある。

 細道の入り口にはご丁寧に「この先チェックポイント」と書いてあった。

 おそらく、制限時間はあそこに踏み込んでから減っていくのだろう。


 俺はプレイヤーの集団が何を熱心に見ているか確認する。

 そこにはよく子供が遊びで作る迷路のようなものが書かれていた。

 プレイヤーたちが熱心に見ていることから、細道の先の経路なのだろう。

 しかし、これならスクショを取れば問題なく攻略できそうなんだが?


 俺はスクショを撮ろうとメニューを開く。しかし、そこである違和感に気づいた。

 メニューの中でステータスとログアウトの項目以外が選択できないのだ。

 どうやら、この辺りがプレイヤーたちを苦しめている要因らしい。


 これではパーティーメンバーを置いていって、連絡を取りながらの攻略も難しいだろう。

 俺はそこまで考えたところで、ある事が気になった。

 試しに隠密スキルを発動してみる。すると、スキルは問題なく発動した。

 どうやらスキルの発動については、制限がされていないようだ。

 俺はある作戦を実行する事にした。


 俺は隠密スキルを発動させながら、壁画の前に近づく。

 こういった場所では他のクランを邪魔をするために、壁画の前を陣取っているグループがいそうなものだがそういったグループは見受けられない。

 今はクリアされているチェックポイントも少ないから、それどころではないのかもしれない。


 俺は壁画の前までいき、新しく覚えたアーツである精神感応を発動する。

 対象は今回エリアの課題に挑んでもらうハーメルだ。他の従魔については待機してもらっている。

 問題なくハーメルと意思疎通ができる事を確認したので、さっそく行動に移る事にした。

 

「……ハーメル。今回はお前に頑張ってもらう事になるが、よろしく頼むぞ」

「……チュウ!」


 俺はハーメルを細道に突入させる。

 基本的にはハーメルには、俺の指示した方向に直進してもらうように言ってある。

 要するに、俺がここからハーメルをナビゲートするわけだ。

 気分はスパイ(ハーメル)をサポートするオペレーター(俺)といった感じだ。


 他のプレイヤーが連絡できない中で、俺達だけが連絡できるのはズルな気がするが、できてしまうものは仕方ない。

 それに、おそらくではあるがプレイヤー間でも連絡を取り合うスキルはあるような気がする。

 ……あったところでプレイヤーがそのスキルを取るメリットは薄いかもしれないが。


「……チュウ!」


 俺が頭の中で誰ともわからない相手に言い訳をしていると、ハーメルから声をかけられる。

 どうやら最初の突き当りに到着したようだ。

 さて、ハーメルをしっかりナビゲートするとしよう。

 俺は壁画を見ながら、ハーメルに指示を飛ばしていく。


 ……………………。


「……ハーメル。そこの突き当たりを左だ」

「……チュウ!」


 そろそろハーメルが中に入って8分が経過しようというところ。

 すでにチェックポイントまでの曲がり角は残すところ5つといったところだ。

 ここに来るまでに何組かのパーティーとすれ違ったようだ。

 何故それがわかるかというと、ハーメルが時々眉間? に皺を寄せて息をひそめている時があったからだ。


 道の大きさが巨人のプレイヤー1人分では、すれ違うのも一苦労だろう。

 それに、誰かとすれ違うという事は道を間違えている可能性を考えてしまう。

 疑念を持ったままでは、進む足も遅くなってしまい余計に時間がかかる事になる。

どうやら他のプレイヤーがなかなかチェックポイントにたどり着けていないのには、そういった理由もあるようだ。


 そんなことを考えているうちに、ハーメルが最後のコーナーに差し掛かる。分かれ道は無く、そのコーナーの先がチェックポイントなので指示は出していない。

 そして……。


 ≪このエリアはクラン「お気楽」の陣地になりました。クラン「お気楽」に所属するプレイヤーはメールにてエリアの詳細を確認することができます。クラン「お気楽」以外に所属するプレイヤーはエリア外に強制転移されます。≫


 周りのプレイヤーが驚愕の表情を浮かべながら、強制転移させられていく。

 先ほどまで壁画の前でたむろしていたプレイヤーはほとんどいなくなった。

 一応、何人かプレイヤーが残っており、俺と同じクランに所属するプレイヤーもこの洞窟エリアの課題に挑戦していたようである。


 俺はメニューを開いてメールを確認してみる。

 クラン「お気楽」の陣地になったところで、先ほどまでのメニュー画面にあった使用制限が解除されているため、問題なくメールを確認できる。


 どうやらこのエリアは以前の森エリアと違うようで、資源ではなく施設が付いてくる陣地らしい。

 この陣地の施設は安全な補給経路と書いてあった。


 詳しく読んでみると、この陣地を持つクランが所有する陣地同士が地下通路で結ばれる。

 すると、クランに所属するプレイヤーだけが通る事の出来る地下通路としてこの陣地が機能するという事らしい。

 もちろん2日目の陣取り合戦で、ここを奪われれば他の陣地につながった通路は無くなるようだ。

 

「お兄----ちゃーーーーん!」


 俺が説明を読み終えたところで聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 声のする方に視線を向けると、先ほどまでなかった穴が壁に開いていた。

 どうやら早速、他の陣地とつながったようだ。

 

 俺は苦笑しながら、先ほどの声の主を出迎える事にするのだった。


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