99.卵の鑑定
少し変更しました。
≪山登りダンジョンボスのドロップ品を提示しました。ダンジョンランクがDランクに昇格しました。ギルドカードをご確認ください。≫
ギルドカード
ダンジョンランク D
初級ダンジョン以外のダンジョン攻略の証明はボスのドロップ品を総合ギルドのカウンターに提示すればいい。
俺は山登りダンジョンのボスだった白い蛇のドロップ品をカウンターにいる職員に提示した。
ギルド職員が以前出した水晶によりダンジョンランクの更新手続きをしてもらう。
これで晴れてダンジョンランクがDランクになった。
これでようやくこの国から出て、他の国へ旅に出る目途がつけられそうである。
本当は王都に戻りたいところだが、時間的に難しい。
ランクアップの手続きを終えた俺は一度、マイルームに戻る事にした。
マイルームに戻った俺はアイテムボックスを整理していた。
アイテムを保管庫に移しつつ、使った装備のメンテナンスを行う。
ハーメルたちもそれぞれダンジョンの疲れを取るように休憩している。
粗方整理が終わったところで、お待ちかねのアイテムを取り出す。
滝の裏側にあった洞窟で手に入れたモンスターの卵だ。
一応、孵化させる事ができれば5体目の従魔となる。
しかし、この卵から生まれてくるモンスターが何なのかわからない。
このモンスターエッグは水棲のモンスターが生まれてくると書いてあった。
場合によっては、水槽などを準備する必要があるかもしれない。
卵の鑑定は、テイマーギルドか鑑定スキルを持った人に見てもらう方法がある。
とりあえず、テイマーギルドで卵の鑑定を依頼するか。
俺はハーメルたちを置いてマイルームを出て、ラビンスのテイマーギルドへ向かう。
テイマーギルドに着いた俺はギルド職員に声をかける。
ギルド職員にダンジョン内でモンスターエッグを見つけたので、鑑定してほしいと伝える。
すると、以前エラゼムがいたホールに続く廊下とは違う通路に案内される。
案内された先には扉があり、職員に促されて中に入る。
そこはどうやら小さな部屋のようで、めぼしいものは真ん中にあるテーブルだけだった。
テーブルの上にはふわふわとしたクッションのようなものが置かれている。
おそらく、あれに卵を置くことになるのだろう。
俺はギルド職員とともにテーブルのそばまで向かう。
ギルド職員と俺はテーブルをはさんで向かい合わせにイスに座る。
そこで俺は、テイマーギルドでのモンスターエッグの鑑定について説明を受けた。
テイマーギルドでの鑑定は、払った料金によってどこまでの情報を調べるか決めることができるらしい。
最低の料金では、生まれてくるモンスターの系統のみわかる。
最高金額での鑑定は生まれてくるモンスターの種類やステータスだけでなく、雄雌や所持しているスキルまでわかるらしい。
俺は最低料金から1つ上の鑑定をしてもらう事にした。
今回ほしい情報は、生まれてくるモンスターを育てるのに必要なものがあるかどうかだ。
この料金でわかる内容は、生まれてくるモンスターの系統と成体になった時の大きさがわかる。
水槽で足りなければ、マイエリアの購入も視野に入れなければならない。
俺は山登りダンジョンで手に入れたモンスターエッグを取り出す。
取り出したモンスターエッグをテーブルの上のクッションに置く。
すると、ギルド職員が卵に近づいて見分を始める。
…………。
しばらくして、見分していたギルド職員が顔を上げる。
鑑定が終わったらしく、鑑定書を作るという事で一度部屋を出ていく。
少し、時間が経過してギルド職員が部屋に戻ってくる。
俺は戻ってきたギルド職員から1枚の紙を受け取る。
鑑定書の内容を確認すると、料金とモンスターの系統と大まかな大きさが書かれていた。
どうやらモンスターの系統は両生類・爬虫類で大きさは最大80cmくらいらしい。
とりあえず、エリアの購入は必要なさそうかな?
80cmくらいなら、マイルームの本棚から一番離れた場所に水槽を置けば大丈夫だろう。
後で商店街で水槽でも探そうかな?
俺はギルド職員にお礼を言い、部屋を出る。
「あら? 久しぶりね。今日はどうしたの?」
俺がテイマーギルドのカウンター辺りまで戻ってくるとここのギルドマスターであるキレーファに声をかけられる。
俺が来た理由を尋ねられたので、簡単に説明する。
俺がダンジョンの洞窟の中でモンスターエッグを手に入れたことを伝えると、キレーファがダンジョンで手に入るモンスターエッグについて説明してくれた。
ダンジョンのモンスターは基本自然発生するので、本来はダンジョン内でモンスターエッグが見つかることは無い。
しかし、極まれにではあるがモンスターエッグがダンジョン内で発生することがある。
ダンジョンで発生したモンスターエッグは親がいないので、生まれてくるモンスターは鑑定してみないとわからない。
一応、手に入れたダンジョンに沿ったモンスターが出てくるらしい。
……それなら卵から生まれてくるモンスターは水棲とはいえ、魚の可能性は限りなく低かった。
この情報を先に知っていたら鑑定する必要は無かったかもしれない。
俺がちょっと損した気分になっていると、キレーファはフォローとばかりにある情報をくれた。
「あなたが見つけたモンスターエッグは水棲のモンスターが生まれてくるのよね? それならいいものがあるわよ」
そう言ってテイマーギルドのカウンター裏に引っ込んでいった。




