95.Dランクダンジョン攻略の準備
この1週間、俺は様々なDランクダンジョンに挑戦していた。
中ボスに挑戦して、帰還用の魔法陣でダンジョンから脱出を繰り返している。
ダンジョンによっては、中ボスフロアに引き返すこともできるので、そういったダンジョンは先を覗いてから帰るようにした。
俺が下調べして、攻略しやすそうなダンジョンは粗方、中ボスまでクリアしたと思う。
おかげで、グリモのレベルも10台後半になっている。
ハーメルたちもそれぞれ、スキルのレベルが上がっている。
特にハーメルはヌエやエラゼムが持つ、迷彩スキルを取得した。
ハーメルは隠者スキルと迷彩スキルに加え、種族特性である隠遁を持っている。
体も小さいので、なかなか見つけるのは難しいだろう。
この1週間のダンジョン攻略で手に入れた素材はイトス達に渡してある。
目的は、予備の装備とハーメルの新たな装備だ。
生産系のスキルをほとんど持っていない俺は、ダンジョン内だと戦闘で傷ついた装備を修復するのが難しい。
覚える事はできるがレベル上げをする気もないので、消費アイテムの類で簡易修理しているのが現状だ。
それなら、持っていく数を増やそうというわけだ。
そして、ハーメルの装備だがパジャマを卒業することにした。
理由は迷彩スキルを覚えたことだ。
黒の体色に白のパジャマでは迷彩スキルの効果を十分に発揮できない。
隠密用の新装備をミーシャに頼む事にしたのだ。
ちなみに、パジャマ自体はハーメルが気に入っているので、本来の使用用途通りに寝間着として使う予定だ。
ミーシャにそれを伝えると、それならハーメル用の布団を作りますと息巻いていた。
お金は出せないといったのだが、別に要らないと言われてしまったので任せる事にした。
装備ができるまで、Dランクダンジョンの攻略はひとまず休憩だ。
今週のダンジョン攻略で、制覇するダンジョンの目星もつけた。
イトス達の連絡があるまで、王都の図書館で読書を楽しむとしよう。
俺はエラゼム達を連れて王都行きの馬車に乗る。
しばらく王都で読書をしているとイトスから連絡があった。
装備ができたので、来週の頭に取りに来てほしいそうだ。
受け渡し場所はラビンスでどうかと書いてある。
俺はイトスに了解のメールを送る。
今日、ラビンスに行くのは無理なのでおとなしく読書を続けることにした。
……………………。
次の週になり、俺はラビンスに来ていた。
イトスとミーシャから、頼んでいた装備を受け取る。
そして、ハーメルは新装備に着替えさせた。
忍者の上衣(ネズミ用) 真っ黒な布で作られた上衣。暗闇に紛れやすい。
耐久値 150
耐久力 +10
重量 1
隠密系スキルに補正(微)
忍者の袴(ネズミ用) 真っ黒な布で作られた袴。暗闇に紛れやすい。
耐久値 150
俊敏力 +5
重量 1
隠密系スキルに補正(微)
忍者の頭巾(ネズミ用) 真っ黒な布で作られた頭巾。暗闇に紛れやすい。
耐久値 100
耐久力 +5
重量 1
隠密系スキルに補正(微)
小さなわらじ(ネズミ用) 藁で編まれた小さなわらじ。
耐久値 70
俊敏力 +5
重量 1
能力は注文通り、隠密系スキルの効果と俊敏力を強化する装備になっている。
見た目についてはミーシャに任せた結果だ。
これで、より和物が揃ってしまった。後は、俺とグリモくらいか。
俺はイトス達にお礼を言い、代金を払う。
代金を払いながら、イトス達と世間話をする。
どうやら、初心者の領域は脱したらしく、ドンハールさんから少しずつ作り物の依頼をもらえるようになったらしい。
今まで作ったものは第2陣の人たちに売られる事になったそうだ。
そうすると、今後は従魔たちの装備を作る時間は取れないかな?
俺がそう言うと、二人は自分たちに任せてほしいと言ってくれた。
以前に和風クランのノブナガさんが言っていたが、俺の従魔は珍しい種類のモンスターばかりらしい。
そういうモンスターの装備を作るのは面白いらしく、これからも頼んでほしいと言われた。
結果、これからも2人に装備を依頼していくことになりそうだ。
ただし、エラゼムが使う刀については和風クランに頼むことは伝えた。
イトスもこれについては了承してくれた。
話し合いも終わったので、2人とはここで別れた。
イトス達からもらった装備のテストの為、Dランクダンジョンに潜る。
今回はお馴染みの迷宮ダンジョンだ。
どのフロアにいても帰還できるのでテストには最適なのだ。
俺は迷宮ダンジョンに向かう。
イトス達からもらった装備を全てテストした。
大体今使っている装備と同じぐらいの使い心地だ。
ハーメルの装備についてはもともと気づかれることが少なかったので、少し動きが早くなった以外は効果を感じることができなかった。
まぁ、今後の活躍に期待だ。
Dランクダンジョン攻略の準備は、グリモの進化を残して完了したと言っていいだろう。
このまま、グリモのレベルアップを目指していこう。
俺はそのまま迷宮ダンジョンでの戦闘を繰り返すのだった。




