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第11章ー6

 場面が変わります。

 史実と異なる形で「張作霖爆殺事件」が勃発します。

 そうした事態が済南市周辺では起こっていた頃、張作霖は北京からの脱出を決断していた。

 日米両政府から内々に長城線以北は奉天派が確保し、長城線以南は国共合作により成立した中国新政府が確保する、長城線以北に中国新政府軍が侵入しようとしたら、日米は本格的な軍事介入を行う、という意向が張作霖に示されていた。

 張作霖は、この日米両政府の意向に従うことに決めた。


 実際、中国新政府軍の攻勢は、山東省でこそ足踏みしていたが、河北省の省境を越え、北京へとひたひたと迫る一方だった。

 張作霖率いる奉天派単独では、中国新政府軍の攻勢を凌ぐことは不可能で、奉天派を主軸とする北京政府から、奉天派以外は先を急ぐように中国新政府に寝返っていた。

 そのような情勢を見た張作霖は1928年6月3日、北京から脱出、奉天へと特別列車で向かった。

 そして、6月4日早朝、奉天近郊の皇姑屯にて、張作霖が乗った特別列車は爆発した。

 そのため、張作霖は重傷を負い、その日の内に亡くなった。

 20世紀の謎の一つとされる「張作霖爆殺事件」の勃発である。


 この「張作霖爆殺事件」については、実行犯は未だに闇の中のままである。

 一番、有力とされているのは、韓国軍と米国の一部勢力(国務省乃至軍部)が結託して、張作霖爆殺事件を引き起こしたという説である。

 この説の根拠の一つとされているのが、日本の田中義一首相が「張作霖爆殺事件」勃発当初は、今上天皇陛下に対して、直接、真相解明を約束したにも関わらず、結局は尻すぼみになって、天皇陛下の不興を買い、田中内閣総辞職に至ったことである。

 それなら、日本軍が引き起こしたのでは(実際、そういう少数説が今でもある。)、という見方があるが、当時の陸軍は秋山好古元帥と白川陸相が完全に抑えているし、海軍は済南事件に忙殺されており、それを起こす人物が見当たらない。

 一方、韓国や米国には、その動機が充分にあった。


 韓国、特に韓国軍の一部は、このままでは、奉天派が崩壊し、鴨緑江以北が完全に国共合作により成立した中国新政府に制圧されるのではないか、と懸念していた。

 また、米国内の一部にも、立憲民政党の躍進等により、日本が国内に引き籠り、満蒙一帯の大陸権益の確保に積極的な態度を示さなくなるのでは、という疑惑があった。

 そのために、韓国と米国が手を組み、張作霖を爆殺し、満蒙を混乱状態に陥らせることで、満蒙の治安維持を大義名分に、韓国軍に鴨緑江を越えさせ、満蒙を制圧しようとして、張作霖を爆殺したのでは、という説が強いのである。

 それを米国なり、韓国なりから、極秘に明かされた田中首相は、同盟国への信義と天皇陛下への忠誠の板挟みになり、内閣総辞職に至ったとするのである。


 一方、コミンテルンや中国新政府が、張作霖を爆殺したという説もある。

 この説だと、田中首相は、真実糾明がうまく行かないことを天皇陛下に責められ、内閣総辞職に至ったということになる。

 実際、張作霖は北京政府の首魁として行動しており、「南京事件」の後、北京に駐在していたソ連政府の外交官を拘束、北京のソ連大使館内の捜索を行い、このために北京政府とソ連政府の国交は断絶している。

 この件の報復等のために、張作霖は爆殺されたとするのである。


 また、半トンデモ説として、息子の張学良が、張作霖を爆殺したという説もある。

 実際、郭松齢が馮玉祥と手を組んで挙兵した際、郭松齢は張学良を担ごうともしており、張学良と張作霖の父子関係はしっくりいっていなかった。

 こうしたことから、張学良が、張作霖を爆殺したというのである。


 実際、「張作霖爆殺事件」の後、張学良は迅速に行動しており、行動が怪しいのは確かなのだ。 

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