表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/40

復讐35話


 「いえ、決して怪しい者ではありません」



 ユイトはギリギリ理性を保った状態でそう答えた。

 表情は依然笑顔を崩さない。

 後ろにいたユイが驚いた様な表情をしていた。


 (抑えた………?)


 間近で強く感じ取った殺気の大きさからして、おおよそ簡単に押さえつけられるものではなかった。

 少なくとも、ユイはそう考えていた。



 「証拠はあるのか?」



 フランクルは警戒を解かずにユイトにそう尋ねる。

 ここで、ユイトはあるAUSを発動した。

 



 元になったUSは、《圧スル者(ストレッサー)


 対象に威圧をかけ、金縛りにするUS。

 他にも、攻撃の瞬間に使うことで幻覚を作り出したり、分身を見せることが可能。


 これに相反するAUSは、


 《親愛ナル者(ディアー)


 相手を無条件で信用させるAUS。

 矛盾点や明らかに敵だと判断されている場合は状態を解除、または最初から掛からない。


 また、相手に自分の目を見てもらう必要があるので、条件を満たせない場合このUSは発動しない。


 ちなみに、関所の警備兵はフルフェイスのヘルムを被っているので、これは関所で使えない




 「いえ………あいにく我々は流浪の身。なので身分を証明するものはありません。ですが、どうか信じてもらえないでしょうか」


 「「!!」」



 AUSにより、情報が刷り込まれる。

 ユイトは敵ではない、と。

 信用できる、と。



 「………」



 (よし、成功だ。効力は12時間きっかり。それまでにとりあえず目的は遂行しよう)



 まず、中に乗っていた女が口を開いた。



 「フランクル、あまり疑っては悪いですよ」


 「はっ、申し訳ございません」



 フランクルはユイトたちに頭を下げてこう言った。

 ユイトは心の中で密かにほくそ笑む。



 「すまない。気分を害されたと思う。職務上、少しでも怪しいと思ったら警戒してしまうのだ」


 「いえ、仕方のない事です。我々もこの様に根無し草なので、疑われて当然です」



 ユイトはちらっと兵士達の様子を伺う。

 どうやら警戒は完全に解かれているようだ。

 ユイトは次の段階に入った。


 

 「あの、もし宜しければご案内致しましょうか?」


 「何? 道があるのか?」


 「ええ。商人の方に聞いたのですが、軍はあまり使ってない経路があるようです」



 女とフランクルは顔を見合わせる。



 「知っていましたか?」


 「いえ、普段ここは管轄外なので、私はあまり詳しくは知らないのです」



 女は少し思案して、ユイトにこう言った。



 「では、案内を頼んでもよろしいでしょうか?」


 「ええ。お任せください」



 フランクルはかなり高位の騎士。

 つまり、そんな彼が護衛をしている彼女はかなりの重要人物だと言う事だ。

 だったら関所も簡単に切り抜けられる。

 貴族や王族には緩い様になっているのだ。



 これが計画の一つ。

 そして、 次の目的。


 それは、王都に再び入ること。

 そして——————

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ