復讐28話
「アンタ………なん、で………」
「決まってるだろ? 出るんだよ」
ユイトは少女に指をさした。
「お前も」
「え………」
「お前の眼は俺と同じだ」
「!」
ユイトも、同じ事を思っていたのだ。
一緒だと。
少女は自分と同類だと感じていたのだ。
「復讐したいって言ったよな」
「………でももう、私が復讐すべき奴らはたぶんもう………」
「復讐出来ないから、生きる理由がないってか?」
「………そうよ。無いわよ。生きる理由なんて、もう何処にも無いわよ! 力も、仲間も、帰る場所だってない!! 空っぽなのよ!? その上空っぽした連中もいないのよ!? じゃあもう生きる理由なんて何処にも無いじゃ無いッ!!!!」
少女は声を荒げてユイトにそう言った。
「………だから死にたいって? 冗談じゃねぇ。だったらなんで今まで生き長らえてきたんだ!!
」
ユイトは、まさに少女が考えていたところをついてきた。
「そっ、それは………っ」
「死にたく無いんだろ? だったら生きればいいだろうが。何で無理に死にたがる。普通に生きればいいだろ」
「簡単に言わないでよ!!」
「いいや簡単さ。お前が唯ややこしく考えてるだけ。何も無い自分が嫌で、でもまた同じことになることが怖くて言い訳をしてるだけだろ。だから探せって言ってんだ。今まで生きてきた時にはやりたいことなんざすぐ見つかっただろ?」
「そんな事、覚えてない!! もうずっと前に忘れちゃったの! 私はもう、自分が誰かさえ覚えてない………私は、私は! 生きる目的も、理由も、何もないの………っ!!」
ユイトは、少女の言い分を理解している。
だが、全く納得はしていない。
だからまだいい続ける。
「それを探すんだ」
「………どうやって」
「生きるだけでいい」
「見つかるわけがない」
「見つかるさ」
「何でそう言い切れるの?」
「俺が、一緒に探すからだ」
ユイトは一歩前に出てこう言った。
「何もないんだろ? だったら来い。俺の復讐を手伝え。言っとくが拒否はさせない。せっかく俺の味方になり得る人間を見つけたんだ。勝手に死ぬなんて俺が許さん」
ユイトの言い分は、ひどく自分勝手で、ワガママとしか言いようが無かった。
だが、ユイトは本気でそれを言っている。
「勝手こと………言ってんじゃ無いわよ!!」
「逆に聞くが、したいことがあるのか? ねぇだろ。今散々ここで言ってたんだ。だから、俺はお前に目的を与える。復讐だけじゃ無い。俺はお前に、生きる理由を与え続けてやる。だから来い」
ユイトは、少女の腕を無理矢理引っ張り上げて、肩を抱いた。
「もう二度と死にたいなんて言えないようにしてやるよ」




