表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/40

復讐28話


 「アンタ………なん、で………」


 「決まってるだろ? 出るんだよ」



 ユイトは少女に指をさした。



 「お前も」


 「え………」


 「お前の眼は俺と同じだ」


 「!」



 ユイトも、同じ事を思っていたのだ。

 一緒だと。

 少女は自分と同類だと感じていたのだ。



 「復讐したいって言ったよな」


 「………でももう、私が復讐すべき奴らはたぶんもう………」


 「復讐出来ないから、生きる理由がないってか?」


 「………そうよ。無いわよ。生きる理由なんて、もう何処にも無いわよ! 力も、仲間も、帰る場所だってない!! 空っぽなのよ!? その上空っぽした連中もいないのよ!? じゃあもう生きる理由なんて何処にも無いじゃ無いッ!!!!」



 少女は声を荒げてユイトにそう言った。



 「………だから死にたいって? 冗談じゃねぇ。だったらなんで今まで生き長らえてきたんだ!!


 ユイトは、まさに少女が考えていたところをついてきた。



 「そっ、それは………っ」


 「死にたく無いんだろ? だったら生きればいいだろうが。何で無理に死にたがる。普通に生きればいいだろ」


 「簡単に言わないでよ!!」


 「いいや簡単さ。お前が唯ややこしく考えてるだけ。何も無い自分が嫌で、でもまた同じことになることが怖くて言い訳をしてるだけだろ。だから探せって言ってんだ。今まで生きてきた時にはやりたいことなんざすぐ見つかっただろ?」


 「そんな事、覚えてない!! もうずっと前に忘れちゃったの! 私はもう、自分が誰かさえ覚えてない………私は、私は! 生きる目的も、理由も、何もないの………っ!!」



 ユイトは、少女の言い分を理解している。

 だが、全く納得はしていない。

 だからまだいい続ける。



 「それを探すんだ」


 「………どうやって」


 「生きるだけでいい」


 「見つかるわけがない」


 「見つかるさ」


 「何でそう言い切れるの?」



 「俺が、一緒に探すからだ」



 ユイトは一歩前に出てこう言った。



 「何もないんだろ? だったら来い。俺の復讐を手伝え。言っとくが拒否はさせない。せっかく俺の味方になり得る人間を見つけたんだ。勝手に死ぬなんて俺が許さん」



 ユイトの言い分は、ひどく自分勝手で、ワガママとしか言いようが無かった。

 だが、ユイトは本気でそれを言っている。



 「勝手こと………言ってんじゃ無いわよ!!」


 「逆に聞くが、したいことがあるのか? ねぇだろ。今散々ここで言ってたんだ。だから、俺はお前に目的を与える。復讐だけじゃ無い。俺はお前に、生きる理由を与え続けてやる。だから来い」



 ユイトは、少女の腕を無理矢理引っ張り上げて、肩を抱いた。



 「もう二度と死にたいなんて言えないようにしてやるよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ