表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

復讐26話


 ユイトは回復が済み、飛び回って体の調子を確かめている。

 バッチリ動くようになったようだ。



 「仕上げだ」



 試しに床を殴って調子を見る。

 床に小さなクレーターが出来た。

 どうやら調子は完全に戻ったらしい。



 「よし、戻った………!」



 ユイトは振り返って少女を見た。

 偶然少女もユイトを見ていたようなので、2人は目があった。

 じっと見ていると、少女が目を逸らしたので、ユイトは不思議に思った。

 このまま黙ったままの訳にもいかないので、とりあえず会話を試みる。



 「で、どうするんだ?」



 ユイトは突然そう切り出した。



 「どうするって?」


 「ここから出るんだろ? 俺ももうそろそろ出て行くつもりだ。結構長居したからな」



 すると、



 「何? 付いてきて欲しいの?」



 少女はニヤニヤしながらそう言った。



 「そんなんじゃない。俺は今からこの国に復讐する。お前もこの国を恨んでるなら付いてくるのもありだと思っただけだ」



 少女はふっと柔らかい笑顔を浮かべた。



 「ありがとう。でも、今の私が付いて行ってもお荷物になるだけよ。仮にもアンタは恩人なんだから迷惑をかけるつもりは無いわ。私の復讐は私が果たす」


 「そうか………うん、そうだよな。わかった」



 ユイトは出発の準備を始めた。

 外はどうなっているだろうか。

 やはり、民衆はユイトの事を敵視しているだろう。

 しかし、ユイトにとっては、その方が都合がいい。

 相手が悪ければ悪いほど、復讐はしやすいものだ。






 「これで全部か………」



 ユイトは出口に向かう。



 「それじゃあ、また」


 「さようなら」



 少女はユイトにひらひらと手を振った。

 ユイトはそれを見て、上へ登って行く。

 その様子を少女はずっと見ていた。


 しばらくすると少女は、出口から離れてまた奥へ戻って行った。






 「私の復讐、か………」



 ユイトの頭の中で、その言葉がぐるぐると回っていた。


 復讐。

 ユイトには、それを行う力がある。

 しかし、あの少女はどうだ?

 何もないじゃないか。


 だが、あの目は本気の眼だった。

 そう思うと、なおの事放っては置けなかったのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ