復讐15話
「呪われた遺産………か。まさかゴミ捨て場の森にそんなモンがあったとはな………」
ユージンの聞いた話によると、呪われた遺産とは、各国の勇者の残した財宝やら武器やらの事らしい。
だが、気になる点がある。
「何故他国の勇者の遺産がうちの国にあるんだ?」
そう、“各国の”と言う事は、他国も含まれる。
過去の勇者と言えば、魔王を討伐できなかった勇者達だ。
死んでいるのは確かだが、その遺産がうちの国にあるとは考えにくい。
「………実は遺産じゃない………? だが、何故そんな嘘をつく必要がある?」
ユージンが考えたのは、それが財宝でもなんでもないと言う可能性だ。
大いにありうる。
あそこは用済みになった者を処分するための場所だ。
「過去挑んだ者………いるのか? そう言えばあのおっさん達………」
さっき、こんな話題も出ていた。
今回の勇者達を財宝回収に行かせるかもしれない。
今回の勇者と言うのはユージン達のことだろう。
この国で最も強いパーティにいたのだ。
行かせても何ら不思議はない。
と、普通は考える。
ゴミ捨て場、歴代勇者、財宝………
これらの情報から、ユージンはこう考えた。
「まさか………俺も処分するつもりか………?」
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暗い部屋で、謎の黒服4人が座っていた。
「まさか、魔王が討伐されるとは………思ってもみなかった」
謎の黒服はそう言った。
「やはり処分しておくべきだったのだ。言っただろう、早めに摘んでおけと」
「いやいや、だって彼不死身だったんだよね? US殺しがいなかったら確実に魔王よりもやばいやつになっていたかもじゃん? その方がうちらとしてが好都合じゃね?」
「異世界人だぞ。我々に逆らった可能性も大いにありうるだろう。現に、逃げた時の奴の顔をみただろう。あの憎悪に満ちた表情を。もし奴が“財宝”を得たとしたら、我々の計画は台無しだぞ」
「そんな都合のいい話があるわけ………」
「奴は“森”に逃げ込んだと聞いた」
「「「!!!」」」
ガタッと椅子から立ち上がる3人。
「それはマズイね………」
「あれは憎悪に執着する」
「つまり今の奴など格好の餌だ」
座っていた1人が立ち上がってこう言う。
「私たちは、“アレ”を世にはなってはならぬ。魔族と人間の均衡が破られた今、“アレ”が世に放たれればたちまち人間は滅びる。私はアレを止めるぞ」
「我も《裁ク者》の名に懸けて」
「《破壊者》の名に懸けて」
「《俯瞰者》の名に懸けて」
「《支配者》の名に懸けて、私たちは《復讐者》を再び葬る」




