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到達

2013年11月25日(月)


北海道はデッカイドー!

はい、九日目です。


ということで、フェリーから降りましてね。

ついに、北海道に上陸しました!

さて、フェリー乗り場にあった売店で、一応スポーツドリンクを調達しましたし、札幌を目指して、出発しますか。

というか、今のところ雨なんかは降っていないですが、今日はこの後天気が崩れるなんて、嫌な情報があるので、ちょっと心配ですね。


さあ、北海道での初ライドです。


……メチャクチャ寒いです!

というか、上着全部着ているのに、寒いです!

確実に今までで一番寒いです!

というわけで、さすが北海道ですね。


そんなことを感じつつ、進んでいくと、案内板を見つけました。


札幌 60キロ


え、たった60キロで着いちゃうんですか?

ゆっくり行っても、昼過ぎには着いちゃいますね。


……はい、明らかに普通の人とは違う思考になっているという自覚はありますよ。

まあ、これまで普通に一日100キロとか走っていたので、そんなもんか~という感想になってしまいました。

とはいえ、先述した通り、天気が崩れるという話がありますからね。

早く着くならそれでいいだろうということで、あまり寄り道することなく、札幌を目指すことにしました。

まあ、正確には札幌駅をゴールとして、そこを目指します。


とはいえ、食べないことには力が出ないので、いつも通りコンビニでオニギリを買って食べました。

というか、今更ですけど、今回の旅は、自転車で北海道を目指す旅です。

とりあえず、グルメとか観光を考えている方は、間違っても移動手段に自転車を選ばないでくださいね。

北海道まで来て、食べるのがコンビニのオニギリとか、普通におかしいですからね。

いや、コンビニは素晴らしいですよとフォローも入れておきますが、それとこれは違いますからね。


ただ、入ったのは北海道にしかないコンビニなのか、初めて見るコンビニでした。

なので、これだけでも、北海道に来たんだなということを改めて実感しました。


そうして、軽い腹ごしらえを終えたところで、また出発します。

ちなみに、昨夜、酒を結構飲んでしまったので、危ないかなと思っていましたが、特に問題なく走れています。

短時間とはいえ、ぐっすり眠れましたしね。


ただ、とにかく寒いです。

走れば身体も温まるだろうと思っていましたが、そんなことなかったです。

そんなわけで、缶のコーンスープを買って飲みましたが、あまり効果はない感じです。

とはいえ、暑くない分、体力の消耗はそんなになく、何より北海道に入ったことでテンションも上がっているので、普通に走っていて楽しいです。


そうして走っていると、道の駅を発見したため、寄りました。

ウトナイ湖とか書いてあるな~と思いつつ、奥へ行くと、そこには湖がありました。

というか、超キレイです!

広大に広がる湖に白い鳥がいて、まさに自然といった感じです。

ここに寄ったのは何となくでしたが、こんな素晴らしい光景を見ることができて良かったです。


そこを後にして、また走っていると……今度は、湿原の中を走るような場所に出ました。

そこもキレイで、何より初めて見る景色に感動しました。

そこでふと、関東で暮らす自分が、自転車で今ここを走っているという事実を改めて考えましてね。

冷静になればなるほど、バカなことをしていると思い、何だか笑えてきました。


あと、北海道は今のところ山っぽい所がなく、道も平坦です。

そのため、30キロほど、何事もなく進んでいきました。

ただ、さすがにずっと平坦ということもなく、上り坂が来ました。

それに、これまではテンションで誤魔化していましたが、普通に疲れは残っているので、急にばててしまいました。

楽々行けるだろうと思っていましたが、ちょっと甘かったです。


とりあえず、気温が多少上がってきたので、いつも通り上着はギターケースに着させます。

あと、向かう先の空模様が明らかに良くなくて、さすがに不安になりました。

そんなわけで急ぎたかったのですが、さすがに休憩しようと、途中にあったベンチに座りました。


マラソンでも、残り1キロとかで急にばてることがあるんですけど、それと同じ仕組みかもしれないですね。

とはいえ、少し休んだところで……ラストスパート、行きましょう!


そうして走っていると、札幌市に入りました!

でも、駅までは、もう少しあるみたいです。

そして、この辺りから風がやばいことになってきましてね。

普通に、某中古本屋の旗が吹っ飛んでいます。

風に煽られて、車道の方へ追いやられそうになることもあるし、普通に危ないです。


でも、考えてみれば、今までは天気に恵まれてきました。

雨が降ることはありましたが、すぐに止みましたし、雨合羽を使う機会もほとんどなかったです。

強風に吹かれることも、記憶する限り、あまりなかったです。


そんな風に思っていたら、ポツポツと雨が降ってきました。

そして、札幌駅まで、あと少しというところで、本降りになってきました。

ただ、こんな雨も、旅の終わりを表しているように感じてしまいます。


思えば、旅を始めた時は、ゴールを決めていませんでした。

今回の旅、ある意味では、ゴールを探しにいく旅だったのかもしれません。

そのゴールは、もう目の前にあります。


自分は涙もろいので、少しだけ目が潤みました。

本当に色々なことがあったし、ただただ無謀なことをしていたという思いは変わりません。

途中で、無理だと諦めそうになったこともあります。


そんな旅も……これで、終わりです。


2013年11月25日(月) 12時55分14秒


札幌駅に到着しました。


―――――


<サイクルコンピュータのデータ>


操作をミスったのか、北海道に入ったところで初期化されたため、北海道に入ってからの記録です。

また、総合走行距離と総合走行時間は、これまでの記録に今回の記録を足しています。


・アベレージ

速度: 時速14.2キロ

ケイデンス: 58


・マックス

速度: 時速38.0キロ

ケイデンス: 111


走行距離: 64.8キロ



総合走行距離: 738.4キロ


総合走行時間: 50時間04分02秒


―――――



しかし、物語はもう少しだけ続くんじゃ。


とりあえず、昨夜フェリーで会った人に連絡しようと思いましてね。

ただ、なかなか公衆電話が見つからない……と辺りを探索していたら、近くに道庁とか時計台があることを知りました。

これは、行くしかないでしょう!


まあ、雨に打たれつつでしたけど、観光名所でもありますしね。

こうして、観光っぽいことをするの、この旅で初めてかもです。


……むしろ、ここまで色々な所を走ってきたのに、観光っぽいこと、全然していないのは、どうなんでしょう?


そんな思いを持ちながら観光しつつ探索していたら、公衆電話を見つけました。

しかし、手持ちの10円玉が1枚しかなくて、さすがに心細いです。

そんなわけで、120円の缶コーヒーを買うことにします。

200円で買ったので、3枚は10円玉が手に入ると思ったら、空気を読んだのか、全部10円玉で出てきたので、8枚も手に入りました。

何はともあれ、メモした電話番号にかけましょう。


……出ませんね。

まあ、うるさい所にいて、連絡が来ても気付かないかもとか言っていましたしね。

しょうがないので、飯でも食べましょう。

というか、何を食べましょうかね。

せっかく北海道まで来たし……蟹を食べましょう!


ということで、近くにあった蟹のお店に入りました。

まあ、普通にお高いんでしょ~? といった感じのお店で、場違いかなと思ったんですけどね。

蟹釜飯と、タラバ・毛ガニの盛りを頼みました。

というか、この旅に出てから、こんなに奮発した食事を取るのは初めてですね。

まあ、当たり前ですけど、とにかく美味しいです!

こういう時は、あれがこうとか、そんな食レポみたいな言葉はいりません!

ただただ、美味しいという感想だけでいいんです!


そうして食事を終えると、また昨夜フェリーで会った人に連絡しました。

すると、今度はすぐ電話に出てくれました。

ただ、今は忙しいようで、18時30分頃に、また連絡してほしいとのことでした。


さて、その間に、ネットカフェを探したいです。

というか、この周辺にネットカフェがあるのか、全然調べていないことに気付き、若干焦っています。

そんなわけで、また観光も兼ねて、近くをうろうろしてみました。

とはいえ、この付近にはないのか、ネットカフェは見つかりませんでした。


そうして走っていると、さらに雨が強くなってきました。

そのため、さすがにやばいと、雨合羽を着ました。

それだけでなく、風も強くて、風に煽られて倒れてしまうこともありました。

というか、重いリアバッグと、背中に背負ったミニギターが風に煽られやすいようで、普通に危ないです。

改めて、寄り道などすることなく、早めに札幌駅まで来て正解だったなと思いました。


とりあえず、雨宿りも兼ねて某電化製品店に寄ると、パソコンコーナーのパソコンがインターネットに繋がっていたため、少しだけ借りて、ネットカフェの場所を調べました。

まあ、ネットカフェの場所だけでなく、他にも色々と調べました。


とはいえ、雨も風も強いので、自転車を駐輪場に止めたうえで、荷物をロッカーに入れた後、近場を歩いて回ることぐらいしかできませんでした。

ちなみに、これまで説明していませんでしたが、ギターを濡らすのは良くないので、ギターケースに防水スプレーをかけるなどして、対策しています。

ただ、あまりにも雨が強いので、改めて防水スプレーをかけておきました。


そうして、うろうろしている間に、18時30分を過ぎたので、また昨夜フェリーで会った人に連絡しました。

しかし、残念ながら、この悪天候では……とのことで、今夜どこか飲みにいこうといった話は、なしになってしまいました。

まあ、本当にひどい天気ですからね。


ただ、ずっとここにいるわけにもいかないので、ロッカーから荷物を出した後、自転車に乗り、移動を開始しました。

とはいえ、雨合羽があまり役に立たないほど、すごい雨と風です。

これは、素直にどこかに泊まった方が良さそうです。


……というのは嘘で、ライブバーに行きました。

昨夜、フェリーで話をしていた時、札幌で何をしようかと考え、思い付きで言ったことがありました。

それは、ライブバーで演奏してみたいというものです。

本当に思い付きで言ったんですけど、実際にやってみたいと思い、先ほどパソコンを借りた際、近くにあるライブバーの場所を調べて、こうして来たわけです。


ライブバーには、セッション仲間兼バンドメンバーと、一度だけ行ったことがありますが、結構、常連さんとかが多い場所だと感じました。

そのため、初めて入るライブバーというのは、常連客の多そうな居酒屋に入るより、難易度が高いです。

しかも、こちらは雨でずぶ濡れだし、荷物も多いしってことで、割と迷惑な客ですからね。

とはいえ、せっかくここまで来たしということで、お店に入りました。


客は六人いて、それぞれ二人ずつの三組のようでした。

この時点で、さらに難易度が上がったなと思いつつ、自分のコミュ力を信じます。


「すいません、荷物、この辺りに置いてもいいですかね?」


とりあえず、テーブル席みたいな所を利用している人がいなかったので、そこに荷物を置かせてもらいました。

そして、本来ならそのままテーブル席に着くのが普通なんでしょうけどね。


「ここって、空いていますか?」


一つだけポツンと空いていたカウンター席に座りました。


そうしたら、マスターの方から、

「前に来たことありますか?」

と質問がありましてね。


「いえ、初めてですよ。実は関東から、自転車でここまで来まして……」


ここで、隣に座っていた方が反応しましてね。

「自転車!?」

まあ、そうなりますよね。

冬間近の寒い時期、自転車で関東から北海道まで来るとか、そんな人、珍獣そのものですからね。


でも、そのおかげで色々と話ができましてね。

自分のコミュ力、割と高いのかなと自信がつきました。

ちなみに、話をしている中で、失踪しているとかの話はしないで、普通に有休などを利用して、仕事を休みにしていることにしちゃいました。

まあ、話していた相手がスーツを着ていて、仕事帰りに見えたからです。


それから、女性二人組のうち、一人が帰り、その後は残った女性と、マスターが持っていた地図を見ながら、色々と話しました。

これは最初、自分がどんな経路で来たのかという話が発端だったんですけどね。

その女性は、日本中を転々としていて、九州以外は大体行ったことがあるかもという話になり、今までどこに行ったのかといった話を色々聞けました。


そして、その後は、せっかくギターを持ってきたなら、何か演奏してほしいという話になりましてね。

夢の一つでもあった、自分のオリジナル曲を披露しました。

まあ、慣れないミニギター=リトルマーチンなので、ミスが頻発しましたけどね。

でも、結構好評で、嬉しかったです。


それからベースを借りて、セッションにも参加しましてね。

マスターが常連さんの人生を、シャウトさせながら歌っていて、みんなで大笑いしましたよ。

ちなみに、普段のマスターは至って真面目だそうで、そうそう見られない姿だったそうです。

だから、これが初見の自分に、「普段は違うからね」と何度も言われました。


それから、またみんなで話をしましてね。

その中で印象に残った話がありました。


ある日、「大金が手に入ったら、商売を始めたい」と言っていた客がいたそうです。

それに対して、マスターが「商売できる人は、金がなくてもやっている」と言ったところ、客の反応が微妙で、気まずくなってしまったそうです。

ただ、マスターの言う通りだし、その客も図星というか、その通りだと思って、言葉を失ったんでしょう。


このお店は、創業から三年になるそうです。

資金もそんなにないところから始めて、当初はお客さんが一人しか来なかった日も何度かあり、やっていけるのかと不安だったとのことです。

それでもどうにか続けてきて、最近はお客さんも増えて、実際自分が行った時も、平日の夜だったのに、お客さんは普通にいました。

ただ、このままやっていけるのかと、今でも不安は消えないそうです。

時々、イベントをやっているそうで、その時は入り切れないほどのお客さんが来るそうです。

そのため、店舗を広げようかと考えても、次の日には、そんなにお客さんが来ないわけで、やっぱりダメだと考えてしまうといったことの繰り返しみたいです。

それでも、やりたいことだから、こうしてライブバーのマスターをやっているそうです。

そんな話を聞いていたら、皆さんがマスターのことを真面目だと言っていたこと、納得できました。


こうした自営業のお店って、お客さんというか、特に常連さんも含めたうえで、お店ができているというんですかね。

こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、ローカルの良さってあるじゃないですか。

そういったことも含め、ここはお客さんもいい人ばかりで、自分はなかなか来ることができないものの、また来たいと思える素敵なお店でした。

だから、マスターのやりたいことをまだまだやってもらいたいと心から思いました。


その後、また別のお客さんが来て、その人から何か聴かせてと言われたので、またオリジナル曲を披露しました。


そんなこんなで、深夜2時過ぎまで飲んじゃいましてね。

もしかしたら、このライブバーのこと、自作小説に載せてしまうかもと話したところ、許可をもらえたので、こうして書いています。


そして、そんなライブバーを後にすると、ネットカフェに向かうことにしました。

なお、酒を飲んだ後、自転車に乗るのは飲酒運転なので、絶対にやらないでください。

自分は、ライブバーに入ったにもかかわらず、一切酒を飲んでいないという設定を付与したうえで、自転車に乗ります。

ちなみに、もう雨は止んでいました。


それより……強風のせいか、自転車が普通に倒れていて、しかもまたハンドルが曲がっているんですけど?


自転車旅を始めてから二日目に、思い切り自転車をひっくり返してしまった時と同じ現象です。

そのため、前回同様に力業で戻しました。

うん、ハンドルが曲がる仕様なんでしょうね。

そして、濡れた雨合羽は、自転車の後部に、何かを挟める仕組みがあったので、そこに挟んでみました。


さあ、行きます!

ただ、思ったよりも距離があるようで、なかなかネットカフェが見つからないです。


ドサッ!


ん? 何か後ろで音がしたんですけど?

あ、雨合羽が落ちていますね。


というのを、何回か繰り返しつつ、ネットカフェを発見しました。

そんなわけで、今夜はこのネットカフェで休み、起きた後は、少しだけ札幌駅周辺を回り……家に帰ることにします。

そうして、色々とまたインターネットで調べた後、寝ることにしました。


そんな一日でした。


―――――


<サイクルコンピュータのデータ>


・アベレージ

速度: 時速11.8キロ

ケイデンス: 56


・マックス

速度: 時速38.0キロ

ケイデンス: 111


走行距離: 25.0キロ



総合走行距離: 763.4キロ


総合走行時間: 53時間02分44秒

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