後日談 狛田 琴音編 悪意
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇狛田 琴音 悪意
案内された部屋は女性4人の部屋だった・・・
「良かった・・・」
そう呟いた私をキョトンとした表情でみつめる袴田さん達、慌てて何でもないと取り繕う
夕飯迄少し時間があるので、今回の目的でもある企業弁護士についてのレポートの為、課題の要点をおさらいをしようと袴田さんらを誘ったが・・・
「えぇぇ?琴音ちゃんそれマジ言ってんの?そんなの去年、明憲達が出したのを見せてもらって、適当にアレンジして出せばいいじゃん!」
「あはは!そうそう、それが目的で相馬君達とこの旅行を提案したんだからぁ~」
私は頭が真っ白になる・・・最悪だ・・・この子らは最初から真面目に課題に取り組むつもりも無い・・・
「じゃ・・企業弁護士を体験させてくれるっていう地方の営業所に明日行くって話しも・・・・」
「そんなん最初から無いし、行くわけないじゃん!!あははは」
私は絶望する・・・剣兄には私が真面目に頑張ってる姿を見て貰おうって・・・それなのに・・・私はまた間違えるの・・・そんなの・・嫌だ!!
「わ、私帰ります!!」
そう皆に伝え自分の荷物を持ち部屋を飛びだした
「あ、ちょっ!!」
後ろから袴田さんの声が聞こえるが私は旅館の受付で費用を清算しようスタッフの人を探してると・・・
「琴音ちゃぁ~ん、咲からさっき聞いたよぉ~?駄目だよ?皆をこまらせちゃ」
「そうだよぉ?折角自然豊かな所に旅行に来たんだしぃ琴音ちゃんも、もっと開放的になってぇ・・へへへ」
男4人が私の行く手をふさぐ様に立っていた・・・
「ほらほら、荷物は僕らが預かるから」
そう言うと一人の男が私のカバンに手を掛ける・・・
「止めて下さい!!大声で人を呼びます!!」
カバンを渡すまいと必死に抵抗するが相馬君らは止めてくれる気配はない
「だれかぁぁぁだれか居ませんかぁぁぁだれかぁぁぁ」
大声で旅館の受付の奥へ声を掛けるが返事がない・・・
「あぁこの旅館・・今の時期は人手が足りなくて午後4時以降は誰も居なくなるんだよぉ?ほら、そこに書いてあるでしょ?」
振り返り受付の方を見ると確かにそんな事が書いてある・・・が、その上に直通って書いてある受話器を見つけた
「!?」
私は振り返り受話器を取ると「もしもしぃ!?」しかしカチャっと相馬君が本体のリセットを指で押して発信音が途切れる
「琴音ちゃん?どこに電話するのぉ?だめだよぉ~人手の少ない旅館の人に迷惑をかけちゃ」
そう言いながら私と徐々に距離を詰めてくる
「や、やめて下さい・・・相馬さんには袴田さんが・・・彼女さんがいるじゃないですか!?」
「えぇ~?何か勘違いしてるみたいだけどぉ俺達、真面目に研修旅行をしにきてるんだよ?やだなぁ~琴音ちゃんなにか警戒してる?」
そう言いながらも相馬くん達の表情からは邪な気配しか感じない・・・
「私・・・真面目に課題に取り組むつもりで来たのに・・・こんなやり方間違ってます!」
そう強く言うと、相馬君達男連中は白けた様な表情をして
【ドンッ!】
と、強く電話の置いてあった机を叩いた
「なぁいい加減にしろよ?何今更いい子ぶってんだぁ?知ってんだぞ?お前の母親が風俗の店で働いてて家にも碌に帰ってないってぇ」
「なっ!?」
急に決別したはずの母親の話しが出てきて驚く・・・一体誰が・・いや何処から・・・
「そうそうwどうせお前も色んな男に股開いて金稼いでたんだろぉ?だったら課題を融通する俺達へもサービスしてくれてもいいんじゃね?」
「お母さんは関係ない!私はあの人と違う!!とうに縁も切ってるし一緒に住んでも無い、一緒にしないで!!」
そう強く反論するが、そんな事は知った事では無いと相馬君らは私に顔を近づけて不気味に笑う
「へぇ~そんな事言っていいのかぁ?大学でお前の母親の事うっかり周りに言いふらしちゃうかもよぉ~?」
「ぎゃはは、そんな事いってぇ明憲と崇哉はコイツの母親の居る風俗の店に行って抜いて貰ったんだろぉ?」
そう後ろの仲間が黒原くんの肩を叩きながら私の母親の事を馬鹿にする
「いやぁそれがよぉコイツの母親って言うから相当歳行ってると思ったけど、結構若作りでさぁお金に困ってるのか1万追加したら本番ヤラせてくれるつうから延長して3回もヤリまくったわぁw」
黒原くんから縁を切ったとは言え自分の母親のそんな情けない話を聞かされ、涙が零れる
「あれぇぇ?どうしたの琴音ちゃん?泣いちゃったぁ?クククお母さんは一生懸命働いて借金返してるんだからぁ褒めて上げないとねぇ~・・・てか崇哉そういう事はもっと早く教えろよ俺もあのババアと本番したくなったじゃねぇか!」
相馬くんは腰をかくかく動かし卑猥な動きで爆笑していた
「わ、私はあの人とはとうに縁を切ってるって言ってるじゃないですか!私にはお兄ちゃん・・・家族は居ませんから大学で言いふらすなら好きにしてください!!」
「てめぇ自分の状況わかってのか?今日はこの旅館貸し切りで乱交パーティするって事で皆集まってんだぞぉ?お前が抜けたら一人あぶれるだろうがぁ!」
急に言葉遣いが荒くなり理不尽な理由を大声で叫ぶこの男が私にはどうしょうもなく不気味で気持ちの悪い生き物の様に思え吐き気を抑えきれず
おえぇぇぇぇ
胃の中のモノを目の前に吐き出してしまった
「げぇぇ、きったねぇぇ何急に吐いてやがる!!」
運よく私から距離を取ってくれたのを見逃さず、私は持って来た着替えの入ったカバンを男達に投げつけると裏に見えた勝手口に向かって走りだした
「あ、てめぇぇぇ!!」
男達は私の吐いた汚物を避けながら、私の後を追いかけて来たが勝手口にあった誰のか分からないクロックスは一足しか無くそれを履いて飛び出した後を追いかける事は出来なかった様だ
とはいえ、玄関まで距離は無いので直ぐに自分達の靴に履き替え追いかけてくるだろうことは明らかだった
私は必死に走りにくい靴で土地勘の無い田舎道をひたすら逃げた




