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Past Letter  作者: 東師越
第2章 Always "Sadness" in their hearts
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第27話 ようやく有人島

2ー3 祭りと血と楽園

 翌日の昼過ぎ、キスイウ島の兵団支部に、ルナ達が戻ってきた。


 「これはこれはお早いお帰りで~」


 港にはドグラがたった1人で出迎えに来ていた。


 「あれ?手ぶらですか?王女は?」


 「問題無い」


 「王に報告は?」


 「起きたことを正直に話す、それだけだ」


 「……たとえそうだとしても、王女の身柄を捕らえられなかったのは…長官として、特等聖戦士として、如何なものかと……たかが人間1人ですよ」


 「その人間にどれほどの価値があるかは、お前も理解しているはずだ」


 「さあ?隠し子の存在バラされて名誉なくなって地位追われるのが嫌なんでしょ?」


 「……はぁ……」


 ルナはため息をこぼし、ドグラの左側を横切って支部内に向かっていった。

 ルナの部下達も黙ってルナに着いていった。


 「王女の件はもう、我々に一任するって事でいいんですね?」


 振り返ることなく、ドグラはルナにそう言ってルナの足を止めた。


 「……その必要もなくなる、王の目的はもう達成の一歩手前だ」


 ルナも振り返ることなくドグラにそう言い返し、ドグラを振り向かせた。


 「は?」


 「それでも功績や、ジェノサイドでの地位が欲しいなら勝手にすればいい……俺は手を出さない」


 ルナ達は支部内に入っていった。

 ドグラは少し天を仰いだあと、剣を抜いてデタラメに大振りし、ルナ達の乗ってきた船を横に真っ二つに斬った。


 自分の思い通りに動かないルナや王、ベイル一行への怒りを露わにした一振りだった。


 「……あーそうですか」




   ※ ※ ※ ※ ※




 (ドグラが何をしたいかはよく分からない…だが、おそらくは大したことは無い…問題はリアとランスの方だ、あれらの方が厄介この上ない…俺がいるからといっても面倒見切れないぞ…)


 ルナは考え事をしながら、兵団支部の支部長室、つまりドグラの部屋に入った。


 「よろしいのですか?勝手に入って……」


 「許可は得ている」


 「ドグラ支部長からですか?」


 「本部からだ」


 「っ、分かりました!!我々は何をしましょうか!?」


 2人の兵達は本部という単語を聞いて背筋が伸びた。本部とはコーゴー本部の事だ。

 この2人は人間界の兵団でルナから直属の部下となるよう名指しで指名され、ルナの元で兵として務めている。


 ルナ直属の部下であるため、ルナがいる組織のコーゴー本部もまた自分たちの上の存在なので、緊張感が走った。


 「ああ、じゃあジェノサイドに関する情報や資料を見つけ次第報告、クィーロは隣の資料室、フェリエは地下倉庫、俺はここを探す」


 「「了解!!」」


 そもそも何故人間界の兵団が所有する島の所有する施設を、全く関係ないコーゴー本部から許可を得て、勝手に部屋に入る事が許されているのか。


 そもそもルナはコーゴー本部の命令により人間界で長官として活動し、コーゴー支部の無い人間界での、コーゴーに必要な情報を随時報告している。


 これを王は合意の上で認めている。


 ジェノサイドのように諜報活動をしても構わなかったが、人間界の情報収集だけのためにルナを派遣した訳では無い。


 クルエルと〝ホシノキズナ〟について、より内側から知るためであった。それほどまでに、クルエルと〝ホシノキズナ〟は全世界においても重要視されるモノだという事だ。


 「……はい」


 ルナは机上で鳴る〝言伝貝(ディーシャレ)〟に応答した。


 「もしも~しルナちゃ~ん?穴に出入りしてる~?」


 「切りますね」


 「待って待って!!今度こそ私の問題に正解してもらうから!!」


 (何でこの人が特等聖戦士なんだろうか……)


 「私は今全裸です!!マルかバツか!!」


 「バツ」


 「残念!!私は……ちょっとまだ話してるってちょっ!!……」


 「……ホーウェンさん、ホントに全裸なんですか」


 「知らん、あいつは自室でこの守秘回線をジャックしてるからな」


 「アインさんってゴリゴリの武闘派ですよね」


 「アイン班は精鋭部隊だからな……それで、ベイル・ペプガールとは接触したか?」


 「はい……しかし、我々は甘過ぎました」


 「というと?」


 「……クルエルの力なのか、ベイル・ペプガールの運なのか分かりませんが……ただの一匹狼と想定するのは危険かと」


 ルナはその言葉を言った際、ラルフェウの顔やビオラの顔を思い出し、腹部にくらった拳の痛みも思い出して腹部に左手を添えた。


 「……お前がそこまで言うということは、我々の出番もある、ということだな」


 「ほぼ間違いなく」


 「なら、奴の勝手も許していいな」


 「……え?」


 「今その辺りに、職務を放棄して放浪している2人がいる、そいつらに仕事をさせて来い」


 「……まさか…~また彼女ですか」


 「何故特等聖戦士の女共はこうバカばかりなのやら……」


 「……分かりました、連絡がつき次第どうにかして口説き落としてみます」


 「……え……口説き落とすって……」


 「───」


 いつの間にかルナの連絡先がホーウェンからアインに切り替わっていた。

 アインの言葉を聞いた瞬間に、ルナは急に死んだ魚の目になった。


 「……私今ぁ……暇だからぁ……これ越しにぃ……ルナちゃんの事考えながら〝ピー〟するからちゃんと聞」


 ルナは特に感情を抱くこと無く、無情に通話を切った。


 (……最後の方なんかピーって音が聞こえてきてよく聞こえなかったけど……まあいいか……そもそもあの人に連絡……繋がれば槍の雨でも降りそうだな)




   ※ ※ ※ ※ ※




 一行にビオラが加わってから約2週間後、昼前、アンビティオ号はあらゆる船が停泊する巨大な島に近づいていた。


 「かなり大きな島ですねベイル様、祭りのような事もやってますよ、なので起きてください」


 ベイルはこの2週間一度も起きることなく眠っていた。


 ラルフェウはベイルをどうしても起こせなかったため、レオキスのお手製スクランブルエッグの匂いで釣り、ベイルは瞬時に起きてスクランブルエッグを手掴みで食べ始めた。


 「おはようございます」


 「ん~んんん~」


 ベイルは口いっぱいに頬張りながら返事したため、ラルフェウは聞き取れず首をかしげたが、2秒もすれば考えることは放棄し、ベイルと共に甲板に向かった。


 「飯飯~、やっと人いるとこかよ~」


 「ベイル様、それはどういう感情ですか?」


 「よく分かんねぇよ」


 「もう食料が魚介類以外消えかけてたっすから、助かったっす…」


 「実にその通りだな、腹減った」


 「ベイル様、それはどういう感情ですか?」




   ※ ※ ※ ※ ※




 「ね~ね~クラジューくん♪」


 「ん?…何だ?…」


 「まいにちやってるけどたのし~の~?」


 クラジューは甲板で腕立て伏せをしていた。

 ゾーネはクラジューの左側でしゃがんで腕立て伏せの様子を眺めていた。


 「……楽しいとかじゃねぇな……俺にはこれしかねぇ……1万……ふぅ……ま、ここまできたらさすがに楽しくはなるか」


 クラジューは腕立て伏せを終え、腕立て伏せの途中の状態をキープし始めた。


 「そっか~♪じゃ~うちもやろっかな~♪」


 「おう、最初はまあ2000回くらい、か……ら……」


 ゾーネはわざわざクラジューの顔の前で、面と向かって腕立て伏せを始めた。


 「……ゾーネ……何でわざわざ俺の前に?……」


 「クラジューくんのかおみられるから~♪」


 「お、おう……そうか……」


 クラジューはゾーネの顔を見ながらというのも照れが隠しきれないが、腕立て伏せをする度に揺れる胸の方が気になり、クラジューは思わず手を汗で滑らせ、状態を崩しうつぶせになった。この時顎を強打している。


 「っててて……」


 「だいじょうぶ~?」


 「……ゾーネろ…俺の前で腕立て伏せはやめてくれ……俺が出来なくなっちゃうから」


 「え~……わかった~……」




   ※ ※ ※ ※ ※




 「……おいラルフェウ、何旋回してんだよ行かねぇの?」


 ラルフェウは島の港から遠く離れた場所から島の裏側に旋回し出した。


 「しかし、これだけの数の船では警備もかなりあるかと」


 「ざけんな入れこの野郎!!!」


 「しかし……また彼や彼と並ぶ実力者がいたらどうしますか?」


 この時ラルフェウの言った彼とは、ルナである。


 「……分かった約束する、何かあったら俺が頑張るから」


 「……絶対ですよ」


 「おう!俺は約束を守る男だぜ!」


 「親子みたいっすねー……」


 「まあ俺何もしなくてもビオラがいるし」


 「ワタシは上陸しない」


 ひょんなところから突然ビオラが現れた風だが、ビオラはずっと甲板にいました。


 「何でだよ!?」


 「人混みはまだ……」


 「ナイーブかよ……えぇ~マジで俺じゃ~ん、つーか、お前ら雑魚すぎんだよぉ~自分の命くらい自分で守れよぉ~」


 「今のアナタに言われたくない」


 「そしてラルフェウ~港に停めろよ~そっちの方が面白ぇじゃ~ん」


 「……では上陸しますが、一応港からは離して停めます」


 「ん~まあいいか~」


 ラルフェウは仕方なく、港の少し外れた場所に船を停泊させた。


 それから納得したようにドヤぁとした顔で仁王立ちするベイルに何を思ったか、ビオラはケツを軽く蹴り飛ばし、ベイルは海に落ちた。


 「ベイル様ああああ!!!何故ですかビオラさん!!!」


 「なんかムカついたから」


 しかしベイルは跳び上がり、シュタッと甲板に華麗にビオラの前に着地した。


 「そんな程度の理由で俺のケツ蹴ってんじゃねぇよ!!」


 「わがままな感じが嫌だったから」


 「わがままですぅ~これ俺の船ですぅ~お前は俺の手下ですぅ~」


 「あ?」


 「すみませんでした」


 起きたばかりでテンションがおかしくなっているベイルの頭を冷やしたのは、青く澄んだ海ではなく、ビオラが向けた凍てつく視線だった。


 無意識にベイルは、いつもラルフェウがベイルにやってみせているくらいの美しい姿勢の土下座をビオラにしていた。


 そして今のビオラの殺気を感じ、逆らうのはやめておこうと決心するラルフェウであった。

誰も興味ないと思いますが、ルナ部下ズの名前ようやく公開。


クィーロ 男

好きな食べ物 甘い焼き菓子


フェリエ 女

好きな動物 カエル全般

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