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人人人皿毒  作者: 禍影
4日目-2

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「おい、起きろ」

「ん……」

 気遣いや遠慮という言葉とは無縁な力で、体が揺さぶられる。

 それと同時に頭部へのずきずきとする強い痛みを自覚し、俺は顔をしかめながら体を起こした。

「くそ、何なんだよこの痛み……」

「知るか。それより早く状況を説明しろ。ムクロはどこに行った」

「この声……南方か」

 頭に手を当てながら声の方に目を向ける。

 予想通りそこにいたのは南方だったが、驚くことに頭から血を流し、ぱっと見大怪我野郎になっていた。

「お前、頭から血出てるぞ」

「そんなこと言われなくても分かってる。それに頭から血を流しているのは君も同じだ」

「あ、マジか」

 頭に当てていた手を見てみると、確かに血が付いていた。というか、今現在も血が顔に垂れてくる感覚がある。

「……俺、いつから血流してたんだ? やばいんじゃね?」

「知るか――と言いたいところだが、まだ数分と経ってないはずだ。今すぐ止血すれば死ぬことはないだろう」

「ならいいか。んじゃ、頼むわ」

 俺が手を差し出すと、南方は思いっきり渋面を浮かべた。

「は? 何で僕がそんなことしなくちゃならない。勝手にやれ」

「あ? だから止血するためにタオルかなんか寄こせって言ってんだよ」

「そんなもの僕が持ってると思うか」

「じゃあどうやって止血すんだよ」

「君が着てる服を脱いでタオル代わりにでもすればいいだろ」

「ちっ……まあそうするしかねえか」

 渋々俺は上の服を脱ぎ、それで血が出てると思われる個所を強く押さえつけた。

 一方南方は特に止血しようとはせず、改めて何が起きたのかを尋ねてきた。

「それで、ムクロはどこに行った」

「知らねえよ。んなもん誘拐した奴に聞いてくれ?」

 痛みのせいでまともに話す気も起きず、適当に答え返す。

 真面目に答えろと怒鳴られるかと思ったが、予想に反し南方は安堵の息を吐いた。

「どうやら、最悪の展開ではなかったらしいな」

「そりゃどういう意味だよ」

 意味ありげな言葉が気にかかり視線を向ける。

 南方は垂れてくる血を拭いながら、

「単に、裏切者が松原だけでなくムクロもかと心配していただけだ」

「ああ、そういう……」

 こいつの懸念を理解した俺は、流石にまともに話さないといけないかと、姿勢を正した。

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