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人人人皿毒  作者: 禍影
3日目

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登場人物紹介

・津山睦雄:主人公。1から登場。身長は約百七十。かなり筋肉もありがっしりとした体形。やや粗暴。いろいろとこの施設についての理解が深まりつつある。生存。

・南方(本を読んでいた少年):2から登場。年齢は十五歳ぐらい。小麦色の肌をした髪ぼさぼさの美少年。本の虫。津山に殴られたことを少し根に持っている。生存。

・ムクロ:3から登場。うす紫色の髪と瞳をもつツインテールの少女。体は小柄で中学生くらい。目が死んでいる。『お願い』をすることで相手を好きに操ることができる。なぜか津山に好意的。生存。

・防護服:4から登場。防護服のせいで容姿は不明。ハスキーボイス。この実験を監視する研究者の一人。生存。

・芥川幽:7から登場。黒髪の好青年。人に好かれやすい性質。心中志願者。生存。

・彩智(ドクロ服の女):10から登場。ドクロマークが描かれた黒いローブを羽織った、きつい目つきの女。ここで行われる研究や、集められた人物について多くの情報を持つ。神月の知り合いらしい。16で死亡。

・ネズミ服の男:16から登場。趣味の悪いネズミがイラストされたパーカーを着た少年。おそらく中学生。ドクロ服の女を殺した。殺人はムクロに『お願い』されたが故で本意ではなかったらしい。17で死亡。

・綾崎煉:27から登場。頭にピンク色のヘアバンドをつけたチャラチャラした青年。オタクっぽい。五年前からこの実験施設に暮らす強者。生存。

・水木:30から登場。おそらく高校生。全体的にぽわっとした無気力無警戒人間。周りにいる人間のやる気も奪ってしまう『毒』を持つ。日向ぼっこが好き。生存。

・神月貪:32から登場。三十代くらいの冴えないオッサン。左目に一本切り傷がある。彩智の知り合い。『命令』することで強制的に相手を動かせる、かもしれない。実験を終わらせるべく施設内の住人の皆殺しを企む。たぶん生存。

・マリア:44から登場。銀髪碧眼の、聖女のように美しく慈愛に満ち溢れた少女。話すだけで相手に命を捧げなければと思わす包容力を持つ。この施設が作られた発端かもしれない人物。生存。

・丸眼鏡:46.5から登場。白衣を着た丸眼鏡の男。津山をこの施設に連れてきた張本人、かもしれない。

・百合子:名前だけ登場。津山のクラスメイト。

「睦雄さん、起きてください。そろそろ私の膝が限界です。睦雄さん、起きてください。そろそろ私の膝が限界です。睦雄さん、起きてください。そろそろ私の膝が限界です。睦雄さん、起きて――」

「……うるせぇ」

 ぺちぺちと頬を叩かれる感覚と、エンドレスで繰り返される死神のように冷たい声。誰がやっているかはほとんど分かっていたが、目を開けて思い描く人物だったことを視認すると、改めて最悪の気分に陥った。

「二日連続、最初に目にしたのがムクロの顔か……」

「何か文句があるみたいな言い方ですね。喧嘩なら買いますよ」

 相も変わらずうつろな瞳。そんな顔で喧嘩を買うとか言われても、ちょっと変わった冗談だとしか思えない。まあ、こいつは本気で言っているのだろうが。

 俺は軽く首を曲げつつ体を起こす。気絶する直前の頭痛もすっかりなくなり、体調はすこぶるいい。どうやらムクロの『毒』にはそれなりに耐性ができていたようだ。

 腕や腰も動かし、体が自由に動くことを確認する。

 それから、正座でそんな俺の姿をじっと見ているムクロに目を向けた。

「どうした、俺の顔になんかついてるか?」

「睦雄さん。私はあなたが目覚めるまでずっと、膝枕をしてあげてたんですよ。感謝の言葉の一つぐらい、あってもいいんじゃないでしょうか」

「いや、そもそも何で膝枕してたんだよ。別にそんなこと頼んでないだろ。だいたいお前の細い足じゃあんまり気持ちよく――」

 ふと、得も知れぬ殺気を感じて口をつぐむ。誰か別の狂人が来たのかと思って周りを見回すが、周囲に人影はない。そもそもここはどこかの個室らしく、俺とムクロ以外に人がいたらすぐに気付く程度の狭さ。他に誰か人がいるわけもない。

 ではどこから殺気が放たれているのだろうとキョロキョロしていると、ムクロが抑揚のない口調で言った。

「睦雄さんは恩知らずな人ですね。私なりに誠意を示したというのに、感謝の言葉もないとは。少し腹が立ったので、今日は睦雄さんの手伝いはしてあげません」

 すっと音も無く立ちあがると、ウサギの人形を引きずりながら部屋を出て行く。

 唖然としながらその姿を見送った俺は、ムクロの姿が視界からなくなっても一分近く動けずにいた。

「……まさか、殺気を放ってたのって……。いや、俺の勘違いだよな」

 まだ寝ぼけているのか。俺はそれからさらに数分の間固まり続けていた。


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