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扉の先。視界に飛び込んできたのは、最初いた部屋とほとんど同じの真っ白な空間だった。空間、と表現するのは、部屋と呼ぶにはあまりにもそこが広かったから。そして、ベッドやソファ、本、テーブル、人、椅子、時計、食器、キッチン、トイレ、などなど。とにかく、物や設備があまりにも無作為に点在していたからだ。
まるで子供が考え無しに作り上げた、何一つ規則性のない、ただ適当にパーツを並べただけのような空間。
長く見続けているとここが本当に現実なのか怪しくなる気さえする。
だが、俺のやることは今はたった一つ。真っ先に目についたやつをぶん殴ること。
こんな意味不明な空間にも、幸いなことにパラパラと人が存在している。
俺はこの空間に響き渡るくらい大きく床を踏み込みながら、一番近くにいた、立って本を読んでいる少年を殴り飛ばした。
殴られるとは予想していなかったのか。いや、そもそも俺の接近に気づいてすらいなかったのか、信じられないくらい勢いよく少年は吹っ飛んだ。
心がスカッとする素晴らしい手ごたえ。
怒りや苛立ちが少し収まるのを感じた俺は、改めてこの空間を見渡し、首をひねった。
「ここは一体何なんだ?」




