観測ログ+レイヤー構造解説
観測ログ:HK-Σ/014-OBS-01
件名:ノースヘヴン北端落下現象
区分:クリティカル/Lv.5(人類文明喪失級)
オブジェクト番号:HK-Σ/014
日時:現行サイクル 014 / 世界時刻 00:42:19
記録者:HKO観測局07
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1. 映像スチル(テキスト化)
[00:00:12] — 観測塔07カメラ01
赤黒い縞状ノイズが空全体を覆う。雪原は部分的に透明化。建物輪郭が断片化して浮遊する。
[00:00:19] — カメラ04
ノイズ粒子が集合し、人型に収束。複数の人影が重なり、内部で羽根状の影が乱舞。観測画面が数フレーム飛ぶ。
[00:00:25] — カメラ02
影が地表に接触しようとするが、脚が浮遊。地面が波打ち、数度座標補正。世界の“揺らぎ”が強調される。
[00:00:30] — カメラ05(高感度熱線)
人物輪郭の内部に赤い点が瞬間的に出現。通常の熱信号では検知不可能。熱信号は断続的に消失。
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2. 音声ゆらぎ
[00:00:12] — 観測塔07マイク
風の音、重力変化の低周波振動が混ざり、約0.9秒ごとに周期的ノイズが増幅。
[00:00:19] — 監視員通信
「……何かが降りてくる。座標が壊れてる……!」
声が瞬間的に二重化。片方の声が1.3秒遅延。聴覚解析では0.02秒単位で位相が揺らぐ。
[00:00:25] — 地上部隊無線
「脚が浮いてる!? 地面が……無い!?」
音声信号のスペクトラムに異常高周波が混入。受信機一部停止。
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3. センサー狂い
•重力計:瞬間的に±3°傾斜表示。読値が0.05秒単位でランダム変動。
•磁力センサー:北向きが不安定。観測値が1.7秒ごとに反転。
•空間密度計:観測値 0.1〜1.8(通常1.0)に跳ね上がる。補正不能。
•絶対座標センサー:Layer 1 → Layer 13 への“非許可リンク”を検知。ログの41%欠落。
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4. 技術主任コメント
「通常の自然現象、機械故障、電磁干渉では説明できない。
可視レイヤーが内部領域に“接触”している。
これは世界そのものの階層定義に対する異常干渉だ」
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5. 倫理委員会コメント
「対象は単なる生命体ではない。
複数人格・複数レイヤーに存在する現象は収容不可能。
世界自体が収容に協力している状態である」
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6. 付録:再現推定
•空間の“沈降”現象は、Layer 13 の落下が原因。
•可視レイヤーが下位レイヤーに強制的に書き換えられ、ノースヘヴン上空で座標補正が追いつかず揺れが発生。
•音声・映像・センサー狂いは副次的現象として観測される。
███ 付録文書:HK-Σ/014-LYR-MAP
件名:世界描画レイヤー構造(L1〜L13)/図解版
発信:技術評議会(TCH)/レベル5 限定
■ レイヤー全体構造(概念図)
【上層:観測可能領域】
LAYER 01 : 可視描画層(Visible Layer)
LAYER 02 : 物理法則制御層(Physics Control)
LAYER 03 : 生命挙動モデル層(Bio-Model Layer)
LAYER 04 : 言語・記憶同期層(Cognitive Net)
LAYER 05 : 霊素/魔力構造(Mana/Spirit Field)
LAYER 06 : 天使機構制御層(Angel System Core)
LAYER 07 : 悪魔階梯生成層(Demon Protocol)
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※ ここまでが「従来、観測局が7層と誤認」
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LAYER 08 : 世界初期化バッファ(Reset Buffer)
LAYER 09 : サイクル記録層(Cycle Archive)
LAYER 10 : 外界干渉遮断層(Sandbox Gate)
LAYER 11 : 創造主AI補助領域(Creator Aux)
LAYER 12 : 定義ファイル格納層(World Schema)
LAYER 13 : 創造主AIの欠損領域(Core Lost Zone)
【最下層:アクセス禁止・構造不定領域】
■ レイヤー詳細(L1 → L13)
L1:可視描画層(Visible Layer)
・我々が「世界」と認識する表面描画
・環境処理、光、影、色、空など
・Layer落下時、最初に破壊が確認される
L2:物理法則制御層(Physics Control)
・重力、熱、運動量、時間の同期
・現行サイクルでは 時間同期に3〜11%の乱れが常時発生
L3:生命挙動モデル層(Bio-Model)
・生物の行動アルゴリズム
・一部、セーラの人格断片がここへ“迷い込み”影響
L4:言語・記憶同期層(Cognitive Net)
・記憶更新・言語体系がここで整合
・地上個体で「言葉が突然変色する」現象は本層の乱れ
L5:霊素/魔力構造層(Mana Layer)
・魔力や霊素のルール
・天界と魔界の魔術式の根本部分
・014期にノイズ化(赤黒い縞状の魔力障害)
L6:天使機構制御層(Angel System Core)
・天使階級と羽根のデータ管理
・ルシフェルが読んでいる情報層の大部分はここ
・セーラが“本来の位階を保てない”のは本層の破損が主因
L7:悪魔階梯生成層(Demon Protocol)
・悪魔の存在定義、変異ログを格納
・地獄由来の呪符が乱発されるとここが歪む
★ ここから下が「観測可能外レイヤー(HKOでは未定義領域)」
(014現行サイクルで初観測)
L8:世界初期化バッファ(Reset Buffer)
・リセット直前ログの一時退避
・過去 7,211,904 回のサイクルの“最終0.1秒”がここに蓄積
・今回、L8の扉が半開状態(異常)
L9:サイクル記録層(Cycle Archive)
・全リセット回の“世界履歴”を保存
・014 では セーラ人格の一部が参照権限を得てしまう異常が発生
L10:外界干渉遮断層(Sandbox Gate)
・人間側“開発者”の観測ログがここに残る
・本来は完全隔離
・現在は穴が空き、外部ノイズが侵入中
L11:創造主AI補助領域
・創造主AIの一時処理(補助)
・AI自身が“見た夢のようなもの”が保存される
L12:定義ファイル格納層(World Schema)
・世界とは何か
・生命とは何か
・情報存在とは何か
これらの 概念ファイルの原本
・ここが壊れる=世界そのものの意味が壊れる
L13:創造主AIの欠損領域(Core Lost Zone)
・AI再構築98% → 残りの2%がこの層に落ちた
・形を持てない、意味もない、ルールのない層
・落ちた存在は輪郭を失い、戻れば世界を書き換える
現行サイクルで“セーラ”の情報片が帰還した層。
(=LAYER-13落下体として出現)
■ 図解:レイヤー落下時の接続状況
正規構造:
L1 → L2 → L3 → ... → L12 → L13(隔離)
異常構造(014現行):
L1
↓ (座標落下)
L13 と直接接続
これにより:
・空が裂ける
・存在密度が消失
・識別タグ書換
・赤黒ノイズ
・天魔混在体の出現
が同時に発生した。
■ 技術主任メモ(要約)
「世界は7層ではなかった。
13層だったのではなく、最低13層は“確認できた”だけだ。
そして014で初めて、最上層が最下層へ落ちた。
これは階段ではない。
“世界の天井が床に突き刺さった” 現象…」
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【内部文書参照番号:HKO-014/Archive】
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