表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/98

魔境ティベル①

 魔境ティベル───そこには『死者の指輪』というレアなマジックアイテムが祀られていると言われる。


 マリアお気に入りの小悪魔パトラはルシフェル達の動きに勘づいてはいたが、アイテム探しに夢中で参戦はしなかった。彼女は既に幾つものレアアイテム、超レアアイテムを手に入れており、ここティベルの隠しアイテムには興味がなく、とりあえず寄ってみただけであった。

 

 セーラ達がティベルに着くと、小悪魔パトラが有翼人バルタンの大軍を相手にたった一人で戦っていた。


「助けなきゃ!」


 あの悪魔の娘とは一度戦っている、敵だとは理解していたが、多勢に無勢をセーラは見過ごすことが出来なかった。


« 聖邪守護幕(エクストリーム) »



 パトラの周りに薄い膜が張り、バルタンのウィンドショットを防いだ。

「……智天使セーラ」

 睨みつけるようにセーラの名を呼んだパトラは、チッと舌打ちをし、爆炎魔法によりバルタンどもを蹴散らした。


「久しぶりね。何のつもり?」

「パトラちゃん! おひさっ♡」

「マ、マリア?」

 気さくに話しかけるマリアを見て驚くセーラ。


「あの地図は役に立ってるかな」

 マリアが訊ねる。

「えぇ、レアアイテム探し、楽しいわ」

「と、友達なの? マリア」

 コソコソと小声で聞くセーラ。

「あたしたち友達だよねっパトラちゃん」

「……人間と悪魔が友達なんて」

「関係ないよ!」

「とりあえず、助けは要らなかったけど、あの大群はうざかったから、どうも。借りを作ったわね」

 パトラはあっけらかんと言った。セーラ達に対して敵意は無いようであった。


「秘宝はもうゲットした?」

 マリアが先立って話しかける。

「ここのは興味ない、レア以上は死者の指輪くらいだから」

 パトラが普通に答える。

「ふむ。死者の指輪、ネクロマンサーをリッチに転生させるマジックアイテムだな」

 カイが得意気に解説する。

「リッチって、骸骨のアンデッドでしょ?」

 セーラが心配そうに訊く。

「うん、物理と魔法の耐性が尋常ではないけど、神聖系には格別に弱く、何故か雷撃系にも少し弱い」

「まさかカイ、リッチになりたい?」

「いやもうアンデッドは勘弁だ……マリアも悲しむし」

「マリアのためね、こいつぅー」

「ちがっ///……まぁアイテムは手に入れておいて損は無いな」


 カイはパトラを見る。バグに因るとはいえ、圧倒的な魔力を手にした経験から、カイはもうパトラに怯えなかった。

「パトラさん、アイテム探しを手伝ってくれないか」

「何故わたしが……」

「借りたままじゃ嫌だろう? セーラも構わないよな」


「パトラちゃーーん♡♡♡」

 マリアが飛びつく。パトラの小柄な身体をぎゅーっと抱きしめ頬ずりし、サラサラの蒼い髪を撫で回す。

「ちょっ、離せ」

「可愛い♡可愛い♡」

「わかった、同行するから離れて!」

「やったあ!! これで仲間だねっ」


 かくしてパトラは敵の手から助けられた借りを返すため、ここ魔境ティベルを探索するセーラ達パーティに加わる事となったのであった。


お読みいただきありがとうございました。

↓↓ブクマ、星評価ぜひお願いします。励みになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ