ミシェル
「Another storys-2」
箱庭システム運営の裏側2
ミシェルは失踪するまでは同じ箱庭開発者のダニーとしばしば話すことがあった。
ダニーは子供のキャラクターによく転移していた。一生を終える前にまた他の子供に移るという変則的なやり方で、彼は子供時代に戻ろうとした。現実のダニーは不登校気味で辛い青春を過ごしたらしいが、転移先で少しずつ子供らしい明るさを取り戻していった。
そんなダニーをミシェルはいつも微笑ましく見守っていた。箱庭内で彼が培った生の前向きさは本物だと信じていた。
性善説を信じ、全てに肯定的だったミシェルは、ライナスをも更生させられると考えた。
ミシェルにとってもライナスの行う悪事はやはり毒であったようだ。
天使ルーテとして、ミシェルは箱庭内のバグ調査と修正のために転移し、ライナスが制御を担当していた混沌の魔導師に取り入った。そして、魔導師の底知れぬ孤独と悲しみを湛えた自我を哀れみ、不安を感じ、結果的に貪り喰われた。
ミシェルが25歳になった頃であった。
それがライナスの操作であったか、彼の手を離れたハデスの意思であったかは不明だが、ミシェルにとってどれほどの精神的影響を与えたかは想像に難くなかった。
現在ミシェルがリアルのどこで何をしているか、手掛かりはあまり見つかっていないが、いつか姿を見せてくれるだろう。いや、もう既に箱庭内における重要なキャラクターに身を隠しているかもしれない。
天使ルーテの大部分は智天使セーラに受け継がれている。セーラの中にはルーテの記憶や人格があり、セーラの天真爛漫な性格はミシェルにそっくりであった。
ただ一つ違うのは、セーラの属性にあった。
セーラは箱庭神によってハデス由来の因子を取り除かれ、崩壊した身体を再生された。しかし、その全てが除かれたかどうかは些か不明瞭である…。
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