表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/98

ゲーミングマウス

開発者のマウス(ゲーミングマウス)にゃ」

 ミニオルドは衣服のポケットから秘密道具を取り出した。

「そ、そのマウスは」

「これを使わんとアップはできにゃい」

 オルドは自慢げに、何の変哲もない白いワイヤレスマウスをカイの眼前に突きつけた。

(なんてことだ、今までのオレの苦悩はいったい)


「例えばこのハデス、不幸の元凶がもう復活ちている」

 オルドは持参のマウスを操作してキャラクターデータのファイルを開く。

「混沌の魔導師…ダニーさんも言っていた」

「ダニーが来たんでちか?」

「話すと少々長くなりますが…」

「後でゆっくり聞きまつ。他言ちないように」


(他にも箱庭に転移しているプレイヤーが残っているかもしれないからな……)

 そう独り言を呟いたオルドの声音は、ふざけるのを少し控えた真面目なものに変わっていた。


「このハデスとセーラには深い因縁がある」

「オルドさん、普通に喋れるんじゃないすか」

「あー、ごほん、わつぃが今できることはかなり制限されている。アプリを使って弄れるのは個人の、ごく最近の記憶、強制できるのは直近の些細な行動のみでちゅ。でもハデスは果てしなく永く生きているからね、とりあえず奴の中のセーラに関する記憶はほぼ消去できるはずだ。何かと邪魔であろう」

 話しながらオルドは完全に以前の口調に戻っていた。


 消去→保存→元に戻す(アップロード)

 …… …… …… …… …… …… ……

 …… 転送完了。


「これで奴の記憶からセーラに関わる情報があらかた消えたはずだ」

「マジすか、こんなあっさりと…、オルドさん、他にオレ達に優位になるような改変はできますか? 悪魔の属性を中立に変えるとか」

「昔はそれもできただろうが、アプリの機能が正常でない今は無理だな」

「カイがむちゃくちゃ強くなるのは?」

 マリアが口を挟む。

「それは、別人にでもならぬ限り無理だ」

「何らかの要因で能力ステータスの数値が大きく増えたり変わったりとかあり得ませんか」

「ふむ、そういったバグも稀には起きるが、予測不可能だからな、ひたすら待つしかないだろう」



 ──そして、三人はあれこれ可能性を探って、小一時間ほど話し合った。

(オルドは全てを説明はしなかった)

 期待した効果がすぐに望めそうもない事を理解したカイが肩を落としていると、室内に強烈な魔気が発生し、パトラが到着した。


「あ、あ、あの時の悪魔!」

 カイはがたんと音を立てて椅子から立ち上がった。

「この前の可愛い小悪魔ちゃん♡」

 マリアも立ち上がり手を合わせて喜ぶ。


「お前たち、何かしたわね」

 パトラが威圧的に問い詰める。

「その機械、調べさせてもらう。抵抗すれば命はないと思ってね」

「小さな悪魔ちゃん、私はマリア。あなたは確かパトラってお名前よね?」

「……そうだけど」

「パトラちゃん。お姉さんとお友達にならない?」

「は?」

「マリア! 何を言ってるんだ、そいつは悪魔だぞ、友達になんか……」

 マリアの強さは欲望に忠実なところにあった。宝物を目の前にすると何事にも臆さなくなる。そしてその強欲さはパトラも負けてはいなかった。

「セーラだって友達になれたわ」

 そう言うとマリアは、オルドの荷物を漁って盗んだマジックアイテム『箱庭秘宝地図(トレジャー・マップ)』をパトラに示した。


お読みいただきありがとうございました。

↓↓ブクマ、星評価ぜひお願いします。励みになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ