第903話 再び、野営地へ
野営地に戻る準備をしていた翌日には、エイデンたちが戻ってきた。かなりお疲れ様、な感じだった。特にネドリさんが。
そして今日、私は再び、野営地へと向かうことになった。今回のメインの同行者は、エイデン、ノワール、マリン。
他には、獣人の村の若手冒険者チーム、狼獣人のドゴルくん、ナードくん、メンレーちゃん、ロムルくん、それに兎獣人のニコラちゃんと人族のランドくんが加わった合計6名。今ではパーティ名は『狼の咆哮』というのになったそう。Cランク目前らしい。
そこに、なんとオババさんと薬師見習いのベシーちゃんとリンダちゃんも同行することになった。
野営地周辺は、ホワイトウルフたちが見回ってくれているから危険は少ないとはいえ、大丈夫なのか、心配だったのだけれど、オババさんいわく、この時季の獣人の国の森にしか生えていない薬草を採りに行きたいのだそう。
今回ネドリさんとガズゥはお休みだ。
最初は行く気だったけれど、さすがにお疲れがにじみ出ている顔を見たら、同行してくれるようには言えなかった。
野営地周辺に、面倒そうな人がきたら、エイデンに吹き飛ばしてもらえばいいか、と、少し物騒なことを考えてしまった。
こんな大人数を運べるのか、心配だったのだけれど、ギャジー翁が魔道具の馬車の魔法陣を書き換えてくれたおかげで、ほぼ全員が乗れるほど車内がかなり広くなった。
――さすが異世界クオリティ。(遠い目)
実際には、御者台のところにはドゴルくんと、ナードくんが乗って、大騒ぎしていたらしい。中にいた私たちにはわからなかったけれど、エイデンが呆れたように言っていた。
村から野営地までエイデン航空で直行したおかげで、二時間ちょっとで着いてしまった。
ガランと何もない野営地だったけれど、小さな光の玉はうじゃうじゃしている。森の精霊たちが皆移動してきたんじゃないか、と思うくらいの明るさに、思わず目を閉じてしまう。
「おやまぁ。随分と明るくなったもんですねぇ」
薄暗い森のイメージがあったのか、オババさんが驚きの声をあげる。オババさんには精霊は見えていないから、単純に明るくなったのだと思う。
「この辺りは精霊たちが増えているから、オババさんが欲しい薬草も見つかるかな」
「そうだといいんですけどねぇ」
オババさんは、ベシーちゃんとリンダちゃんを連れて、野営地の外へと向かっていく。その後をホワイトウルフたちがついていく。
彼らがいれば大丈夫だろう。
「サツキ様、俺たちも周辺を見てきますね」
ドゴルくんが手をあげて言う。御者台ではしゃいでいたのに、まだ元気があるようだ。
「うん、いってらっしゃい」
『狼の咆哮』の面々を見送ると、野営地を見回す。
前回は短期間だったから、テントや馬車での生活だったけれど、時間がかかりそうな今回は。
「ログハウスを作っちゃおう」
どうせタブレットの『収納』には、在庫がありあまっているのだ。(遠い目)
「だったら俺は、あっちの様子を見てくるか」
ムスッとした顔のエイデンが、ふわりと飛び上がったかと思ったら、大きな古龍の姿となって飛んで行った。
「えー、俺も見に行きたかったー」
「ノワール、五月の護衛は誰がするのよ」
「あ」
今、この野営地にはちびっ子姿のノワールとマリンしかいない。
「ま、まぁ、私はここにいれば問題はないから、行きたければ行ってきていいよ?」
「う、うー」
散々悩んだノワールだったけれど、結局、行かずにマリンと私の作業を見ることにしたらしい。
その間に、私は大きなログハウスを一軒、建ててしまったけれどね。





