15 同級生との再会
ある日
『マナ久しぶり
久しぶりに会わない??』
専門学校時代の同級生・麻美から連絡が来た。
お店の定休日の17時から名古屋駅で待ち合わせになった。
会うのは卒業以来で1年くらいぶりだ。
麻美は名古屋で有名な家族経営のケーキ屋に、マナは東京のホテルに就職が決まり、お互い第一希望だったため泣いて喜んでいた……。
(麻美に会ったら雅ホテル辞めたこと言わないと……)
名駅の定番の待ち合わせ場所、金時計前で待っていると
「マナーお待たせー」
「麻美?」
麻美は上下スーツ姿で走ってきた。
走ってきた勢いで麻美から、女性らしい香水の香りがした。
「少し遅れてごめんー今仕事終わったのー」
「久しぶり、予約したお店行こっか」
───
お店につきドリンクで乾杯した
「実は……あのお店3ヶ月で私辞めたの」
「そうなんだ」
「今は名駅の会社で事務職してる」
麻美はグイッとドリンクを飲んだ後、
「私が働いていたパティスリーヨシダ、まじでやばかったの。なんかもう、ドロドロでシェフの吉田さん、スーシェフの女性と不倫してて」
「私最初知らなくてシェフにいろいろ聞いてたら、その女性スーシェフに目つけられちゃって、道具無くされたり、財布の中身抜かれたり」
そして、大きくため息をつき
「仲間はずれにされちゃって……なんかもう女性独特の陰湿な感じ……疲れちゃった」
「そうなんだ……私は今年の2月に雅ホテル辞めて今は愛知県のケーキ屋さんで働いてもうすぐ2ヶ月になるよ」
「マナすごいなー、パティシエ続けてるんだ そういえば、うちらのクラス25人くらいいたじゃん、この1年で半分以上辞めたらしいよ」
「えっそうなの?」
「99%……なんの数字か知ってる?」
マナは不思議そうな顔をする
「パティシエ10年目離職率99% 1年目で70%近く辞めるんだって3年で90%、過酷だよね」
「そうなんだ…知らなかった……」
(私も松永さんに出会ってなかったら、違う仕事探してたかもしれない……)
「今の私はー、会社の先輩と毎週合コン行って、良い彼氏見つけて早く結婚するのが目標」ふふと笑う
「そっか…」
「マナは今気になる人とかいないの?」
ニヤニヤして聞いてくる。
麻美は学生時代からよくモテて、皆の恋バナが大好きだった。
一瞬松永の顔が浮かんだが……。
「……いないよ」
「今度合コンセッティングしようか? マナ可愛いしー、建築関係の人とか、将来有望な人探しとくよ」
「うーん……遠慮しておくよ」
「マナ、友達だから言うけど、パティシエの仕事続けるのも素晴らしいけど、女性の幸せも考えてね」
ニコっと笑う
麻美と学生時代の失敗話、先生達の話で二人で笑いながら話した。
気づいたらマナの終電の時間が迫った。
名鉄の改札口で
「マナ、私が結婚したら私のウエディングケーキ作ってね。え~と、今彼氏作ってー、最低2年くらい付き合いたいよね……2年後くらいかな」
ははと笑う
「2年後くらいにウエディングケーキ作れるように頑張るね」
麻美はマナの姿が見えなくなるまで手を振った。
終電の名鉄に乗り
電車の景色が高層ビルの光から
全体が暗く光がまばらになっていく
(そういえば…松永さん今彼女とかいるのかな…)
マナはふと思いながら帰宅した。
次回へ続く




