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『ダンジョン行、第一夜』

 マティアスが途中で危惧した通り、やはり初日は予定通りにはいかなかった。

 ようやく辿り着いたのは3層と4層の間の階段の手前。ここは地面が平らなので今夜の夜営場所となったのだ。

 そしてまず彼が目を剥いたのは、オフェーリアがウッドハウスを出した事だ。


「……これって、ダルタン隊長の家の庭にあったやつ、か?」


「そうよ。

 基本、私は家を持ち歩くの」


 なるほど使用者制限がかかっているはずだ。このウッドハウスは高度な魔導具なのだ。


「あなたのテントもなるべく近くにお出しなさいな。

 一緒に結界で囲むから」


 そう言ったオフェーリアはすでに食卓であるテーブルと椅子、そして魔導コンロと作業台を出していた。


「よく見ていてね。

 結界石はこうして使うのよ」


 そうは言ってもただ単に四方に石を置くだけだ。

 最後にある場所の石と密着させて石を置くと、もうそれで結界が張られているのだという。

 マティアスは好奇心からあちこちをペタペタと触ってみたが、たしかに見えない壁で囲われている。


「これは……なんとも便利なものだな」


「そうでしょ?

 この中にいれば夜の見張りも必要なし。

 あなたのようなソロの人には必需品だと思うのよ」


 なるほど、使い方次第では画期的な魔導具となるだろう。


「どのくらいの衝撃に耐えられるんだ?」


「ファイヤードラゴンのブレス一撃、二撃はアウトよ」


「それは凄いな」


「だから今夜は夜番はいらないわよ」




 マティアスが自分のテントを張っている間に夕食の準備が終わっていた。

 そのテーブルの上の料理を見て、また度肝を抜かれる。

 ゴロゴロと肉の入ったブラウンシチュー、最近は普段の食事でも見かけることが少なくなった生野菜をふんだんに使ったサラダ。

 他にも見たことのない料理が並んでいる。


「あなたは大柄だし、たくさん食べるでしょう?

 さあ、お腹いっぱい食べてちょうだい」


「なあ、見たこともないものが並んでいるのだが?」


「ああ、揚げ物は初めて?

 これはフープ鳥のもも肉に下味をつけて、油で揚げてあるの。

【から揚げ】って言うのよ。

 まだ熱いから気をつけて」


 マティアスが何よりも早く手を付けたのは【から揚げ】だった。


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