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『訪問者』

 宿屋全体を結界で包んでいるため、宿屋側は外で起きていることに気づかない。

 外との接点は中庭だけで、そこだけが外を窺うことができた。


「?」


 いつものようにそれぞれの個室にいる老人たちに薬湯を配っていたオフェーリアの動きが止まった。そして比較的元気な老婆に後を任せると表通りに面する部屋に急いだ。


「おや、お嬢さん、どうしたね?」


 もちろんこの部屋にも避難してきた老人たちがいたが、オフェーリアは窓際に急ぐと鎧戸の隙間から外を覗いてみた。

 このような場合のため、ここだけ板を打ち付けてしまわずにおいていたのだ。


「……やっぱり」


 先ほどから結界に対して過度な干渉してくるものがいる。それらはハンマーなどで扉を打ち壊そうと何度も何度も叩きつけている。


「お爺さん、お婆さん、ちょっとこの部屋に問題があるので移ってもらうわ。

 そちらの準備ができるまでに持ち物を纏めて置いてもらえるかしら」


「もちろん。すぐに退く用意する。

 お嬢さん、大丈夫かい?」


「ここは結界が張ってあるから大丈夫よ。

 でも万が一に備えて、ね?」


 かろうじて笑顔を見せるが余裕はない。

 すぐに下に降りるとジョーンズを探した。

 次いで女将に新たな部屋割りを頼むとゲルに戻り転移して、外の全貌を確かめることにした。


「なるほど、今は少し吹雪が収まっているのね」


 白いローブを纏ったオフェーリアが宿屋のあるあたりの上空に浮かんでいる。

 そして下を見下ろしているのだが下にいる連中がそのことに気づくことはない。


「そして団体さんでやってきたのは、だあれ?」


 ざっと見て50人はいるだろうか。

 それなりの装備は着けているが前回受け入れた門の番兵などとは違うようだ。



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