『御者たちの噂話』
大好評だった【ライスコロッケ】を追加で揚げながら、オフェーリアは男たちの話を聞いていた。
それはとりとめのない噂話が主なのだが、中には気になる話もある。
特に国規模のきな臭い話は避けて通りたいものだが。
「ザバンとワレーシャの国境は時間の問題だな」
「ついに始まるのか。
するとあっち方面の運行は中止だな」
「ザバンはともかくワレーシャには有名な“竜騎兵隊”があるからな。
飛竜便が墜とされたら大変だ」
「空だけじゃないぞ。
小競り合いは以前からあったが、ワレーシャの正規兵がザバン側に進行したそうじゃないか」
「え?俺はザバンがワレーシャ側に攻め込んだって聞いたけど?」
両国の兵力は押し合いへし合いするほど拮抗しているのだろう。
オフェーリアにとって両国とも聞いたことがないし、その位置もわからない、その程度の国だ。
そう、今回バロアに向かうにあたって大陸中部から北部の地図を確かめたが、両国の名には覚えがない。
「それは侵略戦争になりそうなのかしら」
揚げあがったライスコロッケを大皿に追加しながら、オフェーリアは務めて自然に聞いてみた。
「なって欲しくないんだがなぁ」
「この大陸では長いこと、小競り合い以上の争いはなかった。
だがこの2国は軍備を増強し続けていてな、きっとやってみたくなったんだろうな」
何とも呆れ果てる話だが、オフェーリアはこの争いの元には自制の効かない魔法士が絡んでいるのではないかと怪しんでいる。
そのようなことは魔法族ならほぼ100%ないが、今までに魔法族を娶った貴族の末裔などは関知していないのだ。
イカれた奴がいても不思議ではない。
“外“に出した魔法族の系図は、都のそれ専門の部署が管理しているはずなので、オフェーリアは一度報告に戻るつもりだ。




