『マティアスへの説明』
「で?どうしたんだ?」
「ん〜
思いもよらず、吹雪に遭遇してね。
足留めされてるの」
「吹雪?
今頃雪が降るのか?」
竜人族が住むこの諸島は、いわゆる亜熱帯に近く年を通じて寒く感じることは稀だ。
まして雪などほとんどのものが見たこともないだろう。
「今年は春の訪れが遅れてて数日待機してたんだけどね、元々野営で一泊する予定だったんだけど、今日はもう無理だし明日もどうなるのか」
「おいおい大丈夫なのか?」
「飛竜と客車ごと結界で包んであるから問題ないわ。
一定の気温を維持できるように魔導ストーブも出してあるしね。
でももしあのままならまずは飛竜が凍死するでしょうね」
あまり寒さに強くないマティアスには身につまされる言葉だ。
「無理させるつもりはないから雪が止むまで今の所で待機するつもりよ。
【ツブネラアロン】の開花の時期に期限があるから少し焦っていたけど、この分ではしばらく保ちそうだからじっくりいくつもり。
無茶はしないから安心して?」
「それを信じられたらいいんだけどな。
なんと言ってもフェリアだからなぁ」
事実オフェーリアはマティアスの予測通り、飛竜便で行けるところまで行ってそのあとは突撃しようと思っている。
そして今は形勢不利になりそうなので話題を変えることにした。
「朝食、まだでしょ?
サンドイッチとか置いていくね」
「【ぼくちゃん】に会っていかないのか?」
「まだ寝てるのに起こしたらかわいそうよ。
また夜にでも顔を出すわ」
そう言ってマティアスの頬にキスすると、オフェーリアは笑顔で転移してしまった。
取り残された形のマティアスはやはり寂しそうだ。




