『野営!』
今回は飛竜と客車という大型の対象物があるため、それなりの大きさの結界を張らなければならない。
おもむろに走り始めたオフェーリアに男たちは目を丸くして見ているしかなかった。
「はい、これで完成!」
最後に石をひとつ置くと、同時に結界魔法を展開させる。
これでオフェーリア以外のものが結界石に触れることはできない。
「フェリア殿、これはいったい……」
吹きつけていた冷たい風がピタリと止み、驚いた飛竜が顔を上げる。
この結界は停留所の発着場よりも規模が大きく、その高さも飛竜が翼を伸ばすことができるように配慮した。
「結界を張りました。
魔導ストーブもいくつか出しますし、これで凍えることはないと思います。
私は自分のゲルを出しますので皆さんは客車を使ってくださってもいいですよ」
オフェーリアは慣れた様子でゲルを出し、魔導ストーブと魔導コンロを設置した。
「焚き火は煙が出るからやめておきましょう。
あ、雪が降り出しましたね」
コンロには寸胴鍋がかけられて夕食の準備が始まった。
「ありあわせですけど皆さんも一緒にどうぞ。
今、テーブルを出しますね」
こんな野営は見たことはおろか聞いたこともない。
眼前の少女がエルフゆえなのか、その非常識さに畏れ入る。
だがテーブルに人数分の椅子、そして追加の魔導オーブンなどが出されては、もう野営地と言うよりダイニングキッチンのようだ。
そこでオフェーリアはてきぱきと支度する。
「あ、お手伝いします」
最初に我に返ったのは添乗員の職員だった。
「じゃあこれを持っていって」
大皿に盛られたホロホロ鳥のから揚げが渡される。次にオーブンで温めたロールパン、続いてボイルしたソーセージと続く。
最後に熱々のクリームシチューと、オフェーリア以外の男たちにとってはずいぶんなごちそうだ。




