『アグジェント4』
「あー、こちらはいいけどあちら……行政区の方は勝手に閉じたら拙いわよね。
どうしましょう」
「はあ、ちょっと連絡をとってみましょうかの」
そう言ってアグジェントは懐から鳩をデフォルメしたような魔導具を取り出した。
そしてそれに向かって事の次第を呟くと、まるで本物の鳩にする様に空に向かって放ったのだ。
「何か変わった手段よね。
相手が唯人で魔法を使うことができなかったら、こういう形になるのね」
「一応、ここビドーのトップは領主殿でしてな、直接やりとりするのにはこれが一番早いのですよ」
「まぁ、少しくらいなら待ってあげてもいいけど。
ちょっとお茶でもしようか」
アグジェントの返事を待たずにオフェーリアは慣れた手つきでテーブルと椅子を出す。
今回はテーブルクロスも敷いて茶器を取り出し始めた。
「これはダイアナ姉様から結婚祝いに頂いた、ロイヤルツァーデントのティーセットなの。
私のお気に入りなのよ」
「え?!
け、結婚なさったのですか?」
高価なブランドものの茶器ではなく、アグジェントが反応したのは【結婚】の方だった。
「ええ、そうなの。
相手はずっと前にダンジョンの護衛を依頼した冒険者でね。
今は小国の王をしてるのよ」
「それは……ご結婚おめでとうございます」
何とか祝いの言葉を口にしたが、あまりの衝撃から立ち直れない。
彼が以前聞いたところでは、当時ですでに2度婚約解消になっていて、もう結婚する気はないと言っていたはずだった。
「一応新婚なんだけどね。
私たちの大切な存在が傷つけられて、だからどうしても【ツブネラアロン】が欲しいのよ」
なので協力しなさいと、まるで脅迫されているような気持ちになる。




