『空振り?』
「とりあえず……
せっかく淹れてもらったのでいただきましょうか」
オフェーリアがソーサーに手を伸ばす。
そしてそのソーサーを手にカップを取り上げて一口。同時にこめかみがピクリとする。
オフェーリアは上品な手つきで紅茶をテーブルに戻すと、異空間収納からクッキーやフィナンシェ、マドレーヌなどを取り出した。
「おや、これは懐かしい」
オフェーリア専用の菓子を包むための油紙、その模様に目を細める。
ロバットはオフェーリアの餌付けによって甘党になったのだ。
「ん〜
このバターの風味がたまらないですね。
ついつい食べ過ぎてしまいそうです」
ひと味足らなかった紅茶も、なんとかなりそうだ。
「じゃあ【賄賂】で、まとまった数を渡しておきましょうか」
何かの時の進物用に箱詰めになった焼き菓子詰め合わせをテーブルにつんでいく。
「どうぞ、お納め下さい」
「これはこれはご丁寧にありがとうございます」
形式ばったやり取りのあと、ふたりは揃って笑い出した。
「キューーッ!!」
わずかな場のゆらぎを、その動物的な感覚で捉えた【ぼくちゃん】が大きく鳴いた。
「なんだ?!」
マティアスが振り返ると今朝ぶりのオフェーリアの姿がある。
【ぼくちゃん】は飛びつき、マティアスは素早く立ち上がった。
「ただいま〜」
「思ったよりも早かったな。
……その顔は思うようにはいかなかったか?」
「うーん、ここ数年の記録も見てもらってるんだけど、駄目かな〜
もうこれは直に採取に行かなくちゃダメかね」
それも時期的に期限がある。
「もう夕食は食べた?」
「いや、まだだ」
「じゃあ、作り置きだけど一緒に食べようか」




