『デロンカ・イード=ファスの商業ギルド』
【デロンカ・イード】第一の町、『デロンカ・イード=ファス』
以前来たときは半年ほどしか滞在していなかったが、町の姿は今もその頃と変わりないようだ。
オフェーリアは門内の広場の端を横切りながら、すぐ目の前に並んでいる各ギルドの中の【商業ギルド】に向かっている。
今日はまず商業ギルドに話を通して、冒険者ギルドは後にする。
瀟洒な両開きの扉の左右には警備の者が立っていて黙礼してきた。
「いらっしゃいませ」
中に入っていくとカウンターテーブルの向こうで仕事をしていた職員が顔を上げて挨拶してくる。
「こんにちは」
オフェーリアも挨拶を返しながら空いている窓口に近づいていった。
そこにいたのは若い男性の職員だった。彼はこのギルドに勤務し始めて2年目の、ようやく仕事が出来る様になってきた新人さんだ。
「こんにちは。
本日はどのような御用件でしょうか?」
「ある素材を探しています。
でもまずは【オークション部】の担当者をお願いします」
新人の彼が滅多に耳にしない【オークション部】と言う部署だった。
正直言ってどうすれば良いのかよくわからない。
そんな、口をカパっと開けて固まっている彼に助け舟を出したのは、隣の窓口の中堅女性職員だった。
「よろしければどうぞこちらに。
お話は私が引き継がせていただきます」
ちょうど前の案件から戻って来た彼女がフォローする形となってオフェーリアからの不興を避けられることになった。
「失礼ですが、ギルドカードはお持ちですか?」
オフェーリアはローブの中の腰のベルトに付けたポーチ型のアイテムバッグから取り出すふりをして、異空間収納からカードを取り出した。
それは商業ギルドと冒険者ギルドの情報が併合された、ひと昔どころか何十年も前の仕様だった。
「お預かりします」




