『ゲルでの晩餐』
もうこのくらいの時間になると、縦穴の底はそれなりに冷えてくる。
だがオフェーリアたちのいるゲルは魔導コンロや魔導オーブンの出す熱でちょうど良い室温になっていた。
「【ぼくちゃん】の好きなクリームシチューだよ。
ソーセージももちろん美味しいけど、おいもがホクホクで美味しいの。
【ぼくちゃん】、フーフーしてたくさん食べてね」
介添えにダグルが付いているとはいえ【ぼくちゃん】はスプーンやフォークを上手に使う。
彼はどうやら、人族の3〜4才の子供ほどの知能を持っているようで、その仕草は幼児のそれだ。
だが、以前は手掴みだったのが、器用にスプーンを使うようになって食事の幅が増えた。
このクリームシチューなども前は野菜を比較的小さく切って食器から直接啜っていたが、今はゴロゴロ大きめの野菜をそのまま口にすることができて、食感を楽しめるようになっている。
「ンーンー、キュー」
「ほら、ちゃんと噛まないと喉を詰めちゃうよ」
ベタベタになった口元は、マティアスがナプキンで拭いてやる。
「次も【ぼくちゃん】の大好物、ハンバーグだよ!!」
魔導オーブンから引き出された天板の上には、美味しそうに焼けたハンバーグが並んでいる。
すぐに次の天板と差し替えると、目玉焼きやパイナップルのバターソテーなどをトッピングして各自にサーブしていく。
「お?!
この目玉焼きの半熟具合いが最高だな!」
フォークで崩しても流れない、だが熱を通しすぎてパサパサではない。
オーソドックスなソースがよく合って【ぼくちゃん】の食欲は爆上がりだ。
「このパイナップルのソースもたまらないな。
甘味と酸味とバターの風味が混ざっていいバランスだ。
一見子供向けに見えるがこれはなかなか……」
「ふふん!
次を食べて驚かないでよ!」
オフェーリアの鼻息が荒い。




