『メダル2』
以前のオフェーリアの進言で兵士たちには一定数のポーションが支給されている。
だが量産品の中級〜上級ポーションでは、太い血管からの出血を止めるので精一杯だったのだろう。
先ほどオフェーリアが使ったのは自身が調薬した純正品の上級ポーションで、その効果は格段のものがあった。
そしてさらに失った腕も再生させる特別なポーションも調薬可能だ。
だがオフェーリアはこの件で悩んでいた。
それは【ぼくちゃん】にそのポーションを使うことによって、周りにその事を知られることだ。
「ただ……
【ぼくちゃん】をこのダンジョンに戻せるか、それは約束できないの」
「それでも、あいつが元気になれるのなら、私たち兵士一同は、寂しいけれど」
ダグルは下を向いてしまったがそれはこの地に駐屯している飛竜隊の兵士すべての想いだろう。
この数ヶ月で彼らと【ぼくちゃん】の間には確かな絆が結ばれていたのだ。
「お尋ねのメダルのことですが」
このメダルとは【ぼくちゃん】をダンジョンの魔獣と区別するためにオフェーリアが与えたものだ。
目立つように革の軽鎧を誂えその胸の部分にメダルを埋め込んだ品だ。
それを現場で見ることがなかった。
「これはおそらくですが、奴らの目的はそのメダルだったのかと思うのです」
目立つようにと金で作成したことが裏目に出たのか、犯人が軽鎧ごと持ちさったようだ。
「それで袈裟斬り……」
軽鎧を剥ぐために力任せに斬りつけられて、実は身体の傷もかなり深かった。
特に鎧に覆われていなかった腹部は、ダグルが駆けつけた時はもう大変なことになっていて、それを中に戻した後も腹圧で飛び出さないように苦労したのだ。




