『第五階層、密林』
「やっぱりついて来てるね」
昨夜は第五層への降り口の手前で野営し、今朝一番でここに降りて来た。
第五層は第四層の草原とは打って変わって、鬱陶しいほどの密林だ。
「これだけ視界を遮られると辛いものがあるわよね」
オフェーリアは開口一番そう言った。
さすがの竜人の目でも進路を見通すことができない。
ただ気配を感じる能力に長けている彼らは、魔獣が一定の距離に近づくとその存在を察知できるようだ。
ただそれには多大に精神力を削ぐことになり、結果休憩を多くとることになる。
それでも一行にはオフェーリアがいる。
それはダンジョン行軍としては反則かもしれないが、彼女の【探査】能力で最初から次の階層への降り口の位置はわかっている。
そして魔獣の分布もわかっているのでそれに応じて進むことが出来るのだ。
「……これは今日は早い目に野営地を造った方がいいわ」
「よし、今夜の野営地は……」
「マティアス、どちらにしてももう少し更地を増やさなきゃダメよ。
……しょうがないわね、まあどちらにしてもこれから使うことになるか」
またブツブツと呟きはじめたオフェーリアを生暖かい目で見ていた兵士たちだったが、次の瞬間強風が吹き荒れその後の目の前の状況に、自分の目を疑った。
「フェリア様……」
「本当なら皆に伐採してもらうところなんだけど、もう疲れたしちょっとお手伝いさせてもらったわ。
このくらいあれば3張りくらい問題ないでしょう?」
オフェーリアの放った【ウインドカッター】は、あたりの木を伐採し、それなりの土地を確保していた。さらに伐採された木は倒れることなくオフェーリアの異空間収納に収められている。
その後、きびきびとした兵士たちの手で3張りのゲルが設置された。
そして前夜、前々夜と同じように一匹の魔獣の訪を受けることになった。




