『お茶会への勧め』
時間を持て余したオフェーリアは情報収集をすることにした。
もちろん宮殿から出て町をうろつくわけにはいかないので、その対象は自分付きの女官になる。
なので手ずからお茶を淹れて、略式のお茶会と洒落込む事とした。
「あの……
本当に私もよろしいのでしょうか……」
オフェーリアに付けられた女官の中でも一番下位の女官、主に下働きをしている彼女、リリが狼狽えている。
「いいの、いいの。
マナーも教えてあげるし、もちろんお茶の淹れ方も覚えてもらうわ。
ダルメリア、例えば中大陸の宮廷文化などは、こちらに伝わっているのかしら?」
「いいえ、残念ながら」
「じゃあ、女性が好みそうなものから取り入れていきましょうよ。
まずはお茶やお菓子ね。
きっと楽しいわよ」
オフェーリアはまず魔導コンロを取り出した。
「あなたたちが使っているコンロと同じかしら?」
「いえ、フェリア様。
この島では、魔導具はほとんどありません。
お湯を沸かしたり、煮炊きは竈門でしております」
竜の国とは相当に古めかしい風習を続けているようだ。
「では私たちの周りだけでも変えていきません?
まずはお湯を沸かしてみましょう」
魔導コンロに引き続き、何もない空間から現れた瀟洒なケトルに【ウォーター】で作った水を入れる。
そして今ここにいる5名の女官たちにコンロの使い方を教え、ひとりずつ試させてみる。
特にリリは何度も何度も試していた。
「これはそれほど難しいものではないの。
ただ動力源である魔石を定期的に取り替える必要はあるわ」
湯を沸かしている間にティーポットや茶葉の入った瓶、匙などを取り出す。
「お湯はしっかりと沸騰させてね」
この時オフェーリア付きの5名の女官たちは、今まで知らなかった世界に足を踏み入れたのだった。




