『竜と竜人の国』
風向きが向かい風だったのもあって、目的地に着いたのは夕暮れの直前だった。
「わぁ!」
上空から見下ろすと、白っぽい石材で造られた家々が火の光を浴びて黄金色に輝いている。
そのなかでも高台にある建物群は一際立派で、オフェーリアは思わず目を奪われていた。
「ようこそ、竜の国のドラゴシティへ。
この島には竜と竜人、そしてそこそこの数の他の人族が住んでいる。
国と言うには小さすぎる規模だが、ここはたしかに竜たちの国だ」
そう言うマティアスは心なしか誇らしそうだ。
「そっか、マティアスは竜人だったんだ」
寒さに弱いことから爬虫類系の獣人だとは想像していた。だが鱗ひとつ見せることがなかったのだ。
それが竜人とは恐れ入る。
「純血の竜人じゃないんだ。
祖父の代に人族の血が入ってる」
それは祖母が人族だったと言うことだろうか。
「その頃は竜人が減って……結局血が近すぎて子供が生まれにくくなっていたんだろう。
新しい血を入れるべきだということで、人族との混血が進んだんだ。
あくまでも純血にこだわった家は今はずいぶん拙いことになっている」
医術を司るオフェーリアはピンときた。
「劣勢遺伝?」
「あいかわらず難しい言葉を使うんだな。
でもそれが何を意味しているのかはわかる。
……そうだ。
そういう家はもうほとんど子供が生まれなくなった。ようやく生まれても直後に儚くなったり、病弱で家から一歩も出られないようなことになっている」
竜人族は長命なので一気に人口が減ることはないが将来は……
それもあってこの度の、他種族から妃を迎えることもあっさりと認められたそうだ。
「さて、おしゃべりはこのへんにして降りるとするか」
神殿風の建物の上空をグルグル廻っていた飛竜がゆっくりと地上に向かって降りていく。




