『再会』
変わらぬ、緑がかった黒髪に赤褐色の瞳。
「あなたは少し老けたわね。マティアス」
何十年ぶりだろうか。
もうとっくに縁が切れたと思っていた相手だ。
「おっと、忘れていた。
ようこそフェリア王女様。
本日はお迎えに参上致しました」
腰を確保していた手を離し、マティアスは跪いて頭を下げた。
同行していた騎士団もいつの間にかそれに倣っている。
「嫌だわ……何か仰々しい。
せめてマティアスくらいはいつも通りでいて」
「了解!
俺もその方が気が楽だ」
立ち上がったマティアスがそのままオフェーリアを案内して町中を歩き始めた。
今までオフェーリアたちが居たのはいわゆる貴族たちが多く住む区画に隣接する広場のようなところだ。
そこから移動を始めた一行は首都の外に向かっているようには思えない。
それに未だ徒歩である。
この一行なら最低でも騎獣が用意されているはずなのに何かおかしい。
……そして到着したのは、度々首都に来ていたオフェーリアでも訪れた事のない場所だった。
「ここは……?」
見たところコロッセオに似た造りのようだが、まったく別物だ。
そして大きな気配が複数あって、何か落ち着かない場所だ。
詳しく【探査】してみようとしたところ、マティアスに導かれ奥に向かった。
「!!」
いきなり頭上を大きな影が横切り、オフェーリアは思わず後退った。
そんな彼女を引き寄せたマティアスはようやく明るさに慣れたオフェーリアに、まるで紹介する様に手を差し出した。
「国にはあれに乗って帰る」
ホバリングしていた、一際立派な“それ”が2人の目の前に降りてくる。
“それ”は見事な紅い飛竜だった。




