『誘拐屋とは』
「【誘拐屋】?それなに?」
「文字通り、誘拐屋だ。
金を持ってそうな奴を誘拐してきて、身代金を取って解放する。
そういう商売だ。
まあ、盗賊の一種だな」
「そんな連中がいるんだ」
「ああ、それで金が取れそうにない者は奴隷商人に売るんだ。
今回は……あのクソガキがそうだな」
先ほど飲んだ薬が効いてきて、うとうとしはじめているブランデルグの傍でオフェーリアとジニーが話し込んでいた。
「なるほどね。
じゃあ無理に探さなくてもいいかな。
もうそれなりに日数が経っているし、ひょっとしたら受け渡しも終わってるかも」
商人2人は裕福そうだったし、役人も貴族ではないようだが育ちが良さそうだった。
行商人は……あまりよくわからない。
オフェーリアは一応空から捜索するつもりだったが急ぐ必要はなさそうだ。
その日の夜には大小のゲルが2つ増え、ここは小さな野営地と化していた。
全体を結界で囲んでいるため、全体がひとつの家のようでもある。
そこにはゲルとゲルの間にタープを張って専用の台所まで作られていた。
そこで今、オフェーリアが夕食を作っている。
「今日はグラタンだよ。
たーっぷり作ったから遠慮なく食べてね」
他には茹で玉子やハムがたくさん入ったポテトサラダ、コールスロー、一口ハンバーグなどがある。
これに焼きたてパンを加えたのが今夜の夕食となる。
「私はブランデルグに持っていくから、先に食べてちょうだい」
彼のための食事は、消化の良い粥だ。
これはリゾット用の米をさらにトロトロになるまで煮て、生クリームを加えて味を整えたものだ。
これをブランデルグは嬉しそうに舌鼓を打ったのだ。




