『オフェーリアの思い』
「フェリアちゃんの言う通り、ブランの奴は具合がよくないようだ」
「さっき聞いたが、熱が上がってるようだ」
いささか狭いゲルに簡易の寝台が4台、そこには寝袋が置かれている。
外では時折雪がちらつく寒さなのだが、ゲルの中は魔導ストーブもあって凍えることはない。
「御者とその助手の坊やは馬車で泊まっているのか?」
「連中は馬の世話もあるからな」
ここにいる男たちは先ほどオフェーリアから、ここでの野営が長引きそうだと伝えられた。
ブランデルグは肺炎を起こして発熱し、これの治療に暫し時を必要とするそうだ。
「それでだ、ひとつ提案があるんだが、誰が1人を護衛に残して、あとは捜索を再開しないか?」
この件についてはオフェーリアはシビアである。
一応ジニーは彼女の考えを聞いてみたのだが、ブランデルグの治療以外は興味がなくて、はっきり言って『知ったこっちゃない』というスタンスである。
「そうだな。
この周りをもう少し整備して、時間が余ったら行ってみるか」
実はもう身代金の請求と受け渡しについて話し合いをもたれているのを、彼らは知らない。
「やあ、ブランの様子はどうだ?」
おはようの挨拶ののちジニーが訊ねてきて、彼は本当に仲間思いなのだと思った。
「うん、今は落ち着いている。
でもこういう状態の時は夜になったら熱が振り返したりするんだよね」
実は予断を許さない状態だと、オフェーリアの様子から察知する。
「じゃあ、もう少しそこいらの下草を刈るかな。
ゆっくり食事をする場所も必要だろ?」
「ゆっくり腰を据えて治療してあげたいの。
変にそこらの村に連れていってもまともな医者もいないだろうし、薬に関しては私の方が詳しいわ」
村どころかバイショーの町にもそんな能力の高い医者はいないだろう。
「本当、助かる。感謝している」
「なぁに?真剣な顔して。
くすぐったいわよ」
ジニーとブランデルグは長い付き合いだ。
彼は歳の離れた弟のようにかわいがっていたのだ。




