『瀕死』
さすが獣人と言ったところか。
ブランデルグの乗った馬車が先行してから6日。
普通なら生きていないだろう。
「ポーションを浴びているようね」
ブランデルグの服を染めた血の匂いに混じって、ポーションの独特の匂いを感じた。
「偶然か故意か、傷口にポーションがかかったみたいね。
それと経口摂取もしているかな。
【ハイ・ヒール】」
ブランデルグの傍には水筒やカラのポーション瓶が転がっている。
それを見たオフェーリアは、これが彼の命を繋いだのだと理解した。
そして治癒魔法をかけたのだが、でもまだまだ楽観視できない。
「この状態の彼を馬車に乗せて移動するなんてとんでもないことよ。
少なくても今夜はここで野営するから、そのつもりでいて」
頷いたジニーがまずは草刈りの指図を出すと怪力が自慢のファントが得物の戦斧を手にした。
「何本か木を切り倒した方がいいだろう。
せめて馬車が通れるほどには道を開けたい」
この街道はこのあたりでは唯一の幹線道路だ。
すでに冬籠り明けの移動が始まっており、少ないが乗り合い馬車ともすれ違っている。
「そのへんは任せるけど、こっちに木を倒さないでよ」
オフェーリアは【解析】を使ってブランデルグの状態を把握する。
よくもまあ、この状態で生きていたものだがそれにはポーションが大きく関わっていた。
「それでもずっと食べ物を口にしてないし、水分だってほんの少ししか摂れてない。
……刺傷はギリギリ急所を外してたようだけど」
ゲルが出せる場を整備するまで服を脱がせるわけにはいかない。
薄手の羽布団を掛けてこれ以上の体温の低下を防ぐのだ。




