『どしゃ降りの雨』
「ますます酷くなってきたわねぇ」
昼下がりの今、まさにバケツをひっくり返した如く降り続く雨、そしてあたりは薄暗く本当に昼間なのか疑いたくなってくる。
「まあ、しょうがないわね」
そう言って部屋の内側から鍵をかけたオフェーリアは、都の図書館の一角にあるウッドハウスに転移して来た。
今日はここで、採取してきてそのまま異空間収納に放り込んでいた薬草の下ごしらえをするつもりでいる。
薬草はそのままで使用できるものは少なく、そのほとんどが乾燥させて粉末にしたり、煎じたりして調薬することができる。
さらに陽西大陸独特の毒を持つ魔獣や植物などは、取り扱いに慎重さが必要になってくる。
「まあ夕食までの時間にできると言えば、せいぜい乾燥くらいでしょうけど」
入念に【乾燥】魔法で水分を飛ばし、専用の箱に収めていく。
時間を見計らって下に降りていくと、同じ乗り合い馬車の乗客と護衛の冒険者のほかに別口の旅人たちも集まって来ていて、何人かはもうエールを注文して喉を潤している。
ゆっくりと視線を巡らせていると、ファントが手を振ってこちらにくるよう合図をしていた。
「席を取っておいたよ。
こっちで俺たちと食べよう」
乗客は乗客同士固まっているようだ。
だがオフェーリアは御者や護衛の連中の方に馴染んでいた。
それを見越した護衛冒険者たちがわかりやすいアピールをしたようだ。
「どうもありがとう。
やっぱり私、あちらの人たちと打ち解けられる気がしない」
「まあ、無理に合わせようとしなくていいんじゃないか?
フェリアちゃんもお客なんだからさ」
珍しくワランが声をかけてきた。
そして彼に椅子を引いてもらい席に着いたオフェーリアは、運ばれてくる夕食を楽しみにしている。




